中国、反日と「人口圧力」・・富国強兵の背景
2005年 05月 19日
☆小泉首相批判、報道せず
対日世論悪化に対応-中国各紙
18日付の
中国共産党機関紙・人民日報など中国主要各紙は、
小泉純一郎首相が靖国神社参拝について
「他国が干渉すべきではない」と述べたことを
強く批判した孔泉・中国外務省報道局長の発言を
報じなかった。
(時事通信)
この「孔泉・中国外務省報道局長の発言」とは、
「単に故人に対する祭祀ということで済む問題ではない。
(日本が)歴史問題に
いかに臨むかという点にかかわる問題だ」
「彼ら(A級戦犯)が罪を犯したという見方は
国際社会の定説。
その両手を中国、アジア人民の鮮血で汚した」
「歴史への反省を真剣に表明しているだけに、
自らの反省の気持ちを行動で表すことを期待している」
これのことですね。
*「血で汚れたA級戦犯」 中国、首相靖国参拝を批判
相も変わらぬ罵詈雑言で
最近は日本人も聞き飽きて
アホらしくて怒る気もおきなくなってきた。
さて、中国メディアは
この孔泉発言を報道しなかったとのこと。
あきらかに、それに触発されて
反日暴動が再度起こることを警戒してるね。
あの反日暴動後、
国際社会における中国のイメージは急落。
とんでもない野蛮国という札がついてしまった。
それ以上に中国政府が警戒してるのは
反日暴動が反政府運動と結びつくこと。
これを警戒して、デモの封じ込めに躍起となっている。
先日の反日暴動が起きた時に
反日が反政府に転化する仕組みについて書きましたが
*中国「反日」という名の公理・・攘夷と倒幕
結局、中国共産党は
己の統治の正統性を維持するために
「反日教育」を大々的に行い、
それが十数年後の今となって
己の手足を自縄自縛することになってしまった。
日本にとっては好機で
小泉首相も堂々と8月15日に靖国に参拝すればいい。
他の対中関係の諸問題においても
決然と日本の正論を主張し、国益を追求すればいい。
彼らは自縄自縛に陥る。
猛烈に批判しようとすると
国内の反日暴動勢力を煽る結果となる。
だから中国は言いたいことが言えなくなる。
あるいは言ったとしても
上記ニュースの如く、国内では報道できなくなる。
日本としては
どっちに転んでもかまわない。
中国政府が対日批判に消極的になるも良し、
対日批判を行って中国国内で反日暴動が再発するも良し。
反日暴動が頻発すれば、
外資のチャイナリスクへの懸念が一層強くなって
中国への出資は冷え込むだろうし、
反日暴動が反政府暴動に転化すれば
かの国の秩序は乱れ、中国の弱体化につながる。
どっちに転んでも全然問題なし。
これほどの好機はそうそうあるもんじゃないよ。
さて、反日暴動とは全く無関係に
最近の中国の富国強兵路線の背景にあるものを
考察してみたいと思います。
あの国が富国強兵路線を取り、
経済成長と対外覇権の拡大と、
エネルギー資源の確保に狂奔しているのも
いろいろと理由はありますが、
その中でも大きな要素が「人口圧力」です。
中国の近代以降の人口増加の速度は凄まじく、
特に中華人民共和国成立後の
毛沢東の「多産政策」によって爆発的に人口が増えていった。
毛沢東は馬寅初(北京大学学長)らの
人口抑制策の提言を退け、
人口は多ければ多いほど生産力の発展にもよいという、
「人口資本説」を打ち出し、多産を奨励した。
中国の国土の居住可能面積は総面積の3割以下で、
この幾何学的な人口増加に危機感をいだいた鄧小平は
毛沢東の死後、路線を転換し、
かの有名な「一人っ子政策」を推奨し始める。
これが功を奏し、人口の爆発にブレーキがかかった。
出生率は先進国並みの2.0未満にまで下落した。
*出生率=1人の女性が生涯に産む子供の数
しかし、ここに別の問題が顕在化した。
それは急速な人口の高齢化である。
日本などに比べて
高齢者人口の比率の低い中国だが、
これから30~40年にわたり、
猛烈な勢いで人口が高齢化のカーブを描き始める。
現在、中国の60歳以上の
高齢者の占める割合は11%に過ぎない。
ところが、国連の推計によれば、
2040年には28%に達するとされている。
これは、日本が70年代から経験した高齢化をしのぐスピード。
人口数で言うと、
推計で2040年の中国人高齢者は約4億人に達する。
日本の総人口の3倍以上であり、
無茶苦茶な数である。
中国自身もこの未来図には慌てているようで、
男女出生比率の不均衡(女児1対男児1.18)もあって、
最近、一人っ子政策の修正を始めている。
地方政府などがその地方の特殊性に則して、
第2子の出産を認めることを許可し始めた。
たとえば上海。
上海は中国最速のペースで少子高齢化が進み、
出生率は2000年時点で0・96、
人口自然増加率は
全国最低のマイナス1・35(全国平均6・01)。
そして平均寿命は最高の78・14歳、
65歳以上の高齢者人口は全体の約15%の200万人。
このままのペースでいけば
2030年に2人に1人が65歳以上になる。
これにビビった上海当局は
手のひらを返すように
第2子出産を奨励する措置を取り始めた。
*中国・上海が出産奨励策、超高齢化恐れ「第2子」容認
この人口の高齢化に中国は危機感を強めている。
高齢化ならぬ超高齢化現象であり、
上海の例に見られるように
中国経済を引っ張っている沿岸部の都市ほどこの傾向が著しい。
中国のマスコミは
これを「白髪都市」と名付けて問題にしている。
中国の発展を牽引しているのは
豊富な労働力であり、
これは中国の為政者自身が自覚している。
この構造の崩壊。
中国では、国家的な社会福祉や年金制度というものがない。
これまでは政府に代わり、企業や役所単位で、
従業員に対する定年後の年金制度が設けられていた。
中国の国営企業は、企業内で病院や学校も運営していた。
しかし、経済の自由化に伴い、
非効率な国営企業の多くは倒産の危機に瀕し、
かろうじて政府の補助金で余命を保っている状態。
そこにこの超高齢化がやってくればどうなるか?
中国の為政者にとって
想像するのも嫌な未来図だろう。
中国にとってチャンスなのは
今後十数年間は、
歴史的な多産多死から少産少死に転換する過程で
子どもも高齢者も少ない、
いわゆる「人口学的ボーナス」の時代を迎えること。
青年層が厚い時代を迎える。
労働人口は、2015年をピークに
中国史上最大の9.2億人に達し、
年平均300万人ずつ増加すると予想されている。
この労働人口の豊富さを活用すれば
現在の如く中国経済を急成長に導くことが可能となる。
ただし、一歩政策を間違えて経済成長が頓挫すれば
膨大な労働人口は、膨大な失業人口へと
転化する可能性もあるけどね。
まあ、そういうわけで
ここ十数年が彼らにとってチャンスなんです。
で、その後は「白髪国家」への道が待っている。
今、ここで経済を成長し、国力を増大させる必要がある。
そして、そのために必要なエネルギー資源確保のために
彼らは軍事力を増大させ、
対外覇権の拡張に努めている。
中国の高齢化は
日本などの先進国のように
豊かさがもたらしたものではない。
国の人為的な人口政策の結果の現象。
つまり、国の豊かさが確立した上での高齢化ではなく、
国が高齢者を養えるだけの
国富のストックが生じた上での高齢化ではなく、
豊かに成るか成らないかが、まだ分からない段階で
すでに高齢化の未来図が確定してしまっている。
だから彼らは焦っている。
だから意地でも豊かになる必要が生じている。
そうなんです、
あの中国のなりふり構わぬ富国強兵路線は
「老後の備え」という馬鹿馬鹿しいまでの
通俗的な発想が根底にあるわけです。
人口が急増するも困難な道。
されど、人口抑圧政策によって超高齢化に進むも困難な道。。
まさに前門の虎と後門の狼って感じで、
進むも退くも厳しい国家的な宿命の中にある中国。
我々日本人としては
彼らの覇権拡張主義の背景にあるものをよく洞察して
日本の国益が彼らの犠牲にされぬように
冷徹な目で中国を見つめていくべきでしょう。
*図録:中国の出生率と死亡率の推移
*図録:中国の人口ピラミッド
*人口爆発より高齢化が心配な中国
一人っ子政策を見直し
*Younglions: Press Room:
老いる前に経済成長を達成できるのか
*中国の人口間題
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by misaki80sw
| 2005-05-19 00:31
| 中国・台湾関連