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by misaki80sw

中国、人民元問題・・チャイナ・バッシングは止まらず


米FRB議長、人民元改革促す…公聴会で証言

 アラン・グリーンスパン米連邦準備制度理事会議長は、
 21日の上院予算委員会の公聴会で証言し、
 中国が通貨・人民元を
 対ドルで低い為替レートに固定している問題について
 「為替(の変動幅を広げる)柔軟化が早いほど、
 中国経済にとって大きな利益になる」と述べ、
 人民元の柔軟化を急ぐべきだとの考えを示した。

 議長は、人民元の不当に低い為替レートが、
 中国の労働生産性の向上を妨げているなどと指摘した。

 ただ、中国政府が人民元改革に踏み出す時期については
 「予測するすべを持たない」と述べた。

   (読売新聞)


人民元の切り上げ問題で
米国がそうとう強硬的になってますね。

世界的にチャイナ・バッシングが起こってます。
発端はあの反日暴動ですが、
その根底には人民元の切り上げ問題がある。

中国当局は人民元に関して
為替の「管理フロート制」を取っている。
これは相場の変動幅に一定の枠を設け、
それを超えた場合に通貨当局が市場に介入するもの。
「固定相場制」と「変動相場制」の
中間的なやり方ではあるが、
実質的にはドルに対する固定相場と変わらない。

中国がこの制度を利用して
輸出偏重政策をとっているのは明白で
輸出がGDPにしめる割合は30%程度もある。
1994年の時点ではこれが21%であり、
安い人民元を使って輸出を振興してきた。

これに苛立っているのは米国で
米国の対中貿易赤字は
昨年は1616億ドルに達しており、
米国内では人民元が
実勢相場よりも約40%低い水準に維持され、
輸出を有利にしていることが
赤字の主因との主張が台頭している。

米国内では、高まる貿易不均衡に対する不満を背景に、
中国に人民元切り上げを求め、
応じなければ中国製品に一律27・5%の関税を課す、
対中報復法案が米上院で採決される見通しとなっている。

人民元切り上げ拒否なら上院採決へ
 米、中国に報復関税


また、米国だけでなくEUも
セーフガード(緊急輸入制限)措置発動の
検討を始めている。

ここのところ、
米要人の人民元切り上げ要請の発言が相次いでおり、
14日にはブッシュ大統領が
人民元の変動相場制への移行を要求。

米大統領「人民元、変動相場制に」
 中国に実質切り上げ要求


また、上記ニュースのように
グリーンスパン米連邦準備制度理事会議長も
人民元改革を中国に促している。

米国としては
この人民元の切り上げ問題は
ここ数年の課題だけど、
今、これがにわかにクローズアップされている背景には
対中貿易赤字の増大もさることながら、
私は米国の対中姿勢全般の変化があると思う。

米国が今までこの問題を手控えてきたのは
イラク情勢をめぐる国際的孤立と
北朝鮮問題で中国の支援を得たかったから。

米国は6ヶ国協議を通じて
中国に北朝鮮を説得させる、
あるいは恫喝する役割を期待してきた。
近隣諸国での核の拡散を恐れる中国と
この部分においては利害が共通すると思っていた。

ところが、ここ数ヶ月、
中国の戦略が変わり始めている。
中国は米国の意向に応じて北を恫喝するよりも
北朝鮮をそのまま生かして
米国への牽制材料に使う方向にシフトし始めている。

背景には、台湾独立問題を巡り
反国家分裂法制定など対外強硬派の勢力が増してきたことと、
2月に日米両国が
例の「2プラス2」で共通戦略目標を打ち出し、
対中包囲戦略を明確にしたことが大きいと思う。

日米「共通戦略目標」発表・・中国封じ込めと攻守同盟

ここらへんあたりから
潮流がガラリと変わり始めた。
中国はこの流れに対し、
六ヶ国協議での対北説得役を
意図的にサポタージュし始めたように思うね。

米国もそれに薄々気づき始め、
じゃあってんで、
人民元切り上げ問題など対中強硬論に傾き始めている。

付言しておくと
日中会談の後、欧米のマスコミ論調は
中国非難と日本擁護に傾いているけど、
これはここ数ヶ月の
チャイナ・バッシングの流れが根底にあり、
首相の謝罪発言など関係ない。

あの演説で日本が堂々と正論を述べ、
日中首脳会談で原則論を貫いたとしても
この論調自体には変化はなかったでしょうね。
むしろ大きいのは反日暴動と
それに対して中国が一切謝罪しなかった影響の方が
決定的でしょう。

さて、焦点の人民元問題ですが、
中国としては微妙な選択。
今、上海などでは外資の流入により、
土地バブルが破裂寸前までいっている。

ちなみに中国全土で04年に不動産価格は、
商業ビルが14・4%、マンションが15・2%上昇、
北京では20・8%も急騰し、
上海では平均が15・8%だったが、
商業中心地は28%も上昇した
上海では不動産価格が上昇の一途をたどる一方で、
賃貸料金が下落を続けている。

流入する外資は
2年前までは香港、台湾の資金だったが、
最近は日本、韓国及びヨーロッパからも
不動産投機資金が雪崩をうって中国へ流入している。

これが人民元の切り上げと共に一斉に流出する可能性が高く、
そういう事態がおきれば
銀行は経営が苦しくなり、取り付け騒ぎに発展しかねない。
そうです、まさにバブル崩壊なんですよ。

中国にとっては苦悶の選択であり、
人民元をこのままにしておくと
国際社会の強硬姿勢を招きかねず、
しかし、切り上げれば
輸出は減るし、バブルも破裂しかねない。
米国もそれが分かっているから、
何か別件の取引材料にしてやってもいいと
圧力をかけまくる。
ここらへんは各国も丁々発止だね。

日本としては
米国の戦略も読み、中国の意図も見透かし、
巧妙に国益を増進させてほしいもの。

中国国内では、すでに反日暴動を受けて
日本企業の撤退と対中投資の手控えが始まっている。

NNA調査:「中国シフトに大きな影響」日企の6割

日本企業の対中リスク感は
かつてないほど高まっており、
この流れは変わらないでしょう。

あの反日暴動ってのは
そういう意味では中国の敵失であり、
日本としては大いに利用すればいいよ。
また、この流れを作り出した遠因は
2月の「日米2プラス2」にあることを
もっともっと自覚すべきでしょう。



G7閉幕 「中国リスク」に強い意思
 人民元改革 議長国声明で踏み込む


中国の不動産バブルは
 どれだけ持ちこたえることができるのか?



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by misaki80sw | 2005-04-27 00:32 | 中国・台湾関連