安倍幹事長代理インド訪問・・遠交近攻、中国包囲網
2005年 03月 30日
☆インドと天然ガス開発・日本政府、夏にも探査
日本、インド両政府は
ベンガル湾沖合のアンダマン諸島付近で
天然ガスの共同開発に着手することで基本合意した。
今夏にも日本の独自探査を開始し、
早ければ来年から民間主導で共同採鉱を始める。
日本政府は天然ガスの輸入先を多角化するとともに、
エネルギー分野の協力で
インドとの関係強化に弾みを付けたい考えだ。
天然ガス資源開発は
インドを訪問した自民党の安倍晋三幹事長代理が
22日のシン首相らとの会談で大筋合意した。
4月末の小泉純一郎首相の訪印をにらみ、
両政府は詰めの交渉を進める。
(日経新聞)
安倍幹事長代理のインド訪問。
なかなかの歓迎ぶりだったみたいね。
インド側も、日本の保守党のホープの訪印とあって、
政治的思惑も兼ねて大歓迎となったのだろう。
それは日本に対する期待のジェスチャーであり、
同時に中国に対する見せつけでもある。
「ほれほれ、見てみろ、中国よ」ってな感じ。
インドの仮想敵は2つ。
1、パキスタン
2、中国
パキスタンは眼前の小敵であり、
中国は遠方の大敵。
最近、中国と反目している日本は
「遠交近攻」策の一環としてインドへ接近し始めている。
4月末には小泉首相のインド訪問が予定されており、
安倍訪印はその露払い。
アジア一帯の地図を俯瞰して見るならば、
最近の中国の東南アジア・南アジアへの進出は凄まじい。
今年1月、米ワシントン・タイムズ紙は、
中国がエネルギー戦略の一環として、
中東から南シナ海までのシーレーン沿岸国に
海軍基地やコンテナ港施設などを
積極的に建設していると報じた。
同紙が入手した米国防総省の内部文書によると、
中国は、ペルシャ湾に近い、
パキスタンのグォダール港に海軍基地を建設中で、
そこには既に中国の諜報(ちょうほう)部門が設置され、
ホルムズ海峡やアラビア海を通行する船舶の
監視を行っているという。
ミャンマーにも海軍基地を建設しているほか、
マラッカ海峡に近いベンガル湾の島々にも
情報収集施設を設置したとのこと。
ワシントン・タイムズの分析によると、
この中国の動きは台湾問題に連動しており、
中国が台湾へ武力侵攻すれば、
米国は中国のシーレーンを封鎖することが考えられるため、
その防御として沿岸各国に基地を建設してるとのこと。
う~ん、まあ外れちゃいないけど、
それだけではないでしょう。
目的はあと2つ。
◇日本と台湾のシーレーン封鎖
◇インド洋の資源確保
上記の中国の基地建設の動きに関しては
メルマガ「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」が詳しい。
そこから情報だけ抜粋します。
パキスタンのグォダール港。
中国政府はパキスタンに資金を提供し、
ここに一大貿易港兼軍港を作ろうとしている。
グォダール港からカラチまでの
高速道路工事が急がれており、
最終的にはアフガニスタンを経て
新彊ウィグル自治区までをつなぐ。
これにも中国は膨大な資金援助を行った。
また、中国はミャンマーとも関係を深めており
アンダマン海沖の二つの島を
ミャンマー政府から租借して海軍基地を構築した。
時は90年代後半から2005年にかけてであり、
日本がせっせと対中ODAを貢いでる間に、
彼らはパキスタンやミャンマーに軍港を造っていた。
さらにインドの隣国バングラディッシュは
中国との古くからの友好国で、
特に軍部同士が仲がいい。
中国製の廉価な武器を
貧国バングラディッシュは必要としている。
中国は、バングラディッシュが生産する、
良質な石炭の鉱区開発を狙っている。
また、バングラディッシュ沖合には
ガス油田が発見されている。
まあ、こんな感じなんですね。
中国は続々とインド洋周辺に進出しつつある。
日本はシーレーン防衛の観点から、
この中国の動きを封殺すべき。
インドと結ぶのも良策だけど、
それ以外に、ミャンマー・バングラディッシュに働きかけて
彼らを親中同盟から脱落させるべき。
すでにミャンマーでは、
インドと中国による綱引きが始まっている。
逆にミャンマーは
両国を天秤にかけて双方から援助を引き出そうとする。
ここらへんはシビアな外交戦。
日本は、ASEANに影響力を強めることにより、
ミャンマーを自勢力圏に組み込み、
インド・バングラディッシュとの友好関係を高めるべき。
これにより、シーレーンを保持し、
中国に対する南方からの封鎖網を構築する。
その意味では、先般のマラッカ海峡の海賊人質事件。
「あ~解放されてよかった♪」で終わっちゃったけど、
本来ならば、それで幕を引いてはいけないよ。
むしろ、これが普通の国ならば、
普通に国益を追求する国ならば、
たとえば、これが中国のような国ならば、
「奇貨おくべし!」とばかりに
海峡の安全通行の保持と海賊撲滅を言い立てて、
インドネシアやマレーシア・シンガポールと組んで、
国際的な海峡警備機構の創設などを行うでしょう。
そしてマラッカ海峡周辺に
自国の勢力を扶植しようと務めるでしょう。
日本は集団的自衛権の絡みで
そういうことが難しいのは百も承知だけど、
それ以前の問題として
政治家から、そういう発想すら出てこないのは
いったいどういうこっちゃ?
戦略的発想で自国を取り巻く状況を見ないと、
いつまでも米国におんぶに抱っこじゃ、
この繁栄も長続きしないでしょう。
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*軍事情報:アンダマン・ニコバル諸島の現状
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by misaki80sw
| 2005-03-30 21:08
| 日本(政治経済)