グーグル蔵書検索、アメリカンナイズと価値観の浸透
2005年 02月 22日
☆ネット図書館構想に反対「米の価値観が支配」と仏
フランス国立図書館のジャンネイ館長は18日までに、
米検索最大手グーグルが進める、
米英の主要大学・図書館と提携した、
オンラインで蔵書を閲覧できるサービス計画について
「米国の価値観の圧倒的な支配をもたらす」として、
反対を表明した。
館長はこれに対抗して
「欧州連合(EU)の指導者がフランスや欧州の側で
同様の(オンライン蔵書閲覧)計画を持つべきだ」と求めた。
フランス公共ラジオによると、館長は
「蔵書に番号を付ける瞬間から権力を感じる。
必ず米国の精神による選択となる」と懸念を示した。
また、ロイター通信に対し、
蔵書の選択が英語の書籍に偏る恐れがあるとして
「私はフランス革命を
米国が選んだ本だけで語らせたくない」と述べ、
価値観と言語の多様性が重要だと強調した。
(共同通信)
なるほどね。
言われてみればそのとおりだね。
そういう発想もあり得るわけか。
去年の12月。
米Googleは、世界の大規模図書館の蔵書をスキャンし、
インターネットから全文検索できるようにする、
プロジェクトを発表した。
これは「Google Print」という機能の拡張版で
現在、Googleと提携関係にある、
◇米ハーバード大学
◇米スタンフォード大学
◇米ミシガン大学
◇英オックスフォード大学
◇ニューヨーク公立図書館
などの、それぞれ数百万冊の蔵書がスキャンされる。
著作権が切れている蔵書は、
書籍全文がGoogleによって公開される。
著作権者が権利を保有している書籍は、
検索語と関連している文書の一部だけを引用表示。
同時に書籍に関する情報も表示されるため、
そこから出版社に注文して書籍を購入できる。
出版社の売上にもつながるとともに、
同時に表示される広告によってGoogleも収入を得る。
また、図書館や大学側は、
自前でデジタル化によって書籍を整理することなく
Google任せで整理できる。
さらに、統一的な検索手法を使って、
世界中の人々が図書館の蔵書を自由に検索できるようになる。
これがいつから正式開始になるかは分からないけど
社会的意義は大きいと思うよ。
世界中のどこからでも大学の蔵書が見れるわけだもんね。
さて、上記ニュースにあるとおり、
フランス国立図書館の館長がこれに反対を表明。
理由は、
「米国の価値観の圧倒的な支配をもたらす」
「必ず米国の精神による選択となる」
いかにもフランス人らしい視点だね。
彼らは米国文化の流入に
ことのほか神経を尖らせている。
大フランスの誇りとでも言おうか。
実際、ごもっともとしか言いようがない。
このGoogleのプロジェクトで米国の大学がメインになれば、
全世界の好学者たちは、
利便性の追求で米国の蔵書にアクセスし、
米国的な価値観を知らず知らずにまとう結果になる。
すでにハリウッド映画や
米国製のテレビ番組・書籍・音楽を通じて
「米国的価値観」は全世界に広まっている。
価値観の浸透というのは恐ろしいもので、
各地の民族や国家が持っている固有の価値基準や文化は、
享楽性と利便性、合理性と科学性の旗のもと、
アメリカンナイズの波に侵食されている。
そして、このGoogle蔵書検索プロジェクトの登場。
仏人館長が異を唱えた気持も理解できるなあ。
「私はフランス革命を
米国が選んだ本だけで語らせたくない」
これを日本的に言うならば、
「明治維新を
米国が選んだ本だけで語らせたくない」
「東京裁判を
米国が選んだ本だけで語らせたくない」
私は寡聞にして、このプロジェクトに
日本から反対の声が上がったのを聞いたことがない。
「これは文化侵略につながりかねない」と。
「これは米流価値観の拡散である」と。
日本人は私も含めてこういう点は鈍感だね。
そういう発想すら浮んでこないんじゃないかな?
*米Google、大図書館の蔵書のほとんどを
検索可能にするプロジェクト
*「1500万冊以上を検索」
米Googleが米英学術機関の蔵書デジタル化
*発表資料:Google社のプレス・リリース(英文)
*Google Print
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*フランス、仏版CNN構想・・国策ニュース戦争。