EU、対中武器輸出解禁の動き・・仏独枢軸と日米台。
2005年 02月 07日
☆対中武器禁輸解除を・仏国防相
アリヨマリ仏国防相は3日講演し、
対中武器禁輸を「解除すべきだ」と
改めて仏政府の立場を強調した。
「中国は外交、政治、経済のあらゆる面で
完全に国際社会の一員になろうとしており、
不信感を示す禁輸措置は好ましくない」と指摘。
解除しても「危険な武器の厳格な輸出制限が可能」
との考えを示した。
9、10日に南仏ニースで開く、
北大西洋条約機構(NATO)国防相非公式会合でも
対中武器禁輸が話題になる見通し。
「仏と同じ考えを持つ国は増えている」として、
米国に理解を求める意向だ。
対中武器禁輸を巡っては、
昨年12月の欧州連合(EU)と中国との首脳会議でも
即時解除は見送り、協議を継続するとしている。
(日経新聞)
この問題は日本の国益に直結する問題。
もっとマスコミは大きく取り上げるべき。
日本のみならず、
中国の軍事的圧力にさらされている台湾も
この問題に相当危機感を持っており、
米国を通じて、EUに輸出禁止の継続を働きかけている。
*EUの対中武器輸出解禁 台湾、米に懸念表明
米国は米国で、
常々、EUに対して輸出解禁反対を訴えており、
先日も米下院で解禁反対の決議が採択された。
この問題に関しては
台湾・日本・米国は利害が共通する。
なんせ、中国の「短期」「中期」「長期」の
それぞれの仮想敵がこの三カ国だからね。
日本は残念ながら、
EUに対しては何の外交カードを持ってないため、
直接の圧力はほとんど無理。
せいぜい、口頭で反対を伝えるだけ。
残念な話しだけど、
経済のみで政治・軍事の世界的なパワーを持ってない以上、
EUの動きを指をくわえて見ているしかない。
このEUの対中武器輸出解禁の動きは、
上記ニュースにあるように
中心となってるのはフランス、そしてドイツ。
これは武器輸出という商売の話しだけではなくて、
米一国覇権主義に対抗し、
EUをそれに拮抗する勢力として台頭させるという、
仏独枢軸の戦略の一環でもある。
彼らは中国・ロシアを抱き込み、
欧・中・露の連合で米国に対抗しようとしている。
イラク戦争の直後から、この動きは明確になってきた。
すでに中国とはガリレオ計画を通じて、
天空において手を握りあっている。
*中国、EU「ガリレオ計画」に参入・・天空の欧中同盟。
しかし、EU内部も決して一枚岩ではない。
反米を隠さない仏独と、
欧米の間で身を引き裂かれそうな英国。
また、中国の人権抑圧のからみで、
EU内の人権派は中国に対して批判的である。
日本がやれるとしたら、
自由と人権の部分をもっと前面に出すこと。
欧州や全世界に対して、
中国の人権抑圧と彼らが一党独裁国家であることを述べ、
対中武器輸出解禁の非を訴えることでしょうね。
もはやこの期に及んで中国への遠慮は一切不要。
そろそろ腹をくくるべき。
かの国が非自由主義国家であることを
声高に全世界に訴えればいい。
それがまた、日本の中国に対する外交カードになる。
*胡主席の議会演説、仏議員の半数近くボイコット
さて、この武器輸出問題は
ある意味、EUにとって大きな試金石となる。
米国の反対を無視して解禁に進むのか、
あるいは米国に配慮して禁止を継続するのか。
これでEUの野望の度合いを計ることが出来るでしょう。
彼らがどれだけ「世界」を望んでいるのか。
それが見えてくるでしょう。
娘通信♪関連過去記事
*日本、対中武器輸出に「反対!」・・外交転換記念日。