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by misaki80sw

イラク撤退と米国の新軍事戦略は?


国民議会選挙控えイラクで武装勢力の攻撃相次ぐ

 国民議会選挙を3日後に控えたイラクでは27日、
 選挙妨害を狙った武装勢力による攻撃などで
 イラク人19人と米海兵隊員1人が死亡したほか、
 イスラム教スンニ派地域の投票所が襲撃された。
 
 前日はイラク西部で米軍ヘリが墜落するなどして
 米兵37人が死亡、
 1日の米軍被害としては最多を記録していた。

   (ロイター)


米国、イラクの泥沼にドップリはまっています。

彼らは、この現状をいかに脱するべきか?
また、このイラクの体験を経て、
米国の軍事戦略に変化はあるのか?
あれこれと考えてみました。


<イラクの現状打開策>

この状況の打開には、
単純に、増兵か撤退しかありません。
二者択一です。
現状維持は前途の見えない消耗戦につながるだけです。
ブッシュ政権もこのシビアな状況については
よく認識してると思います。

彼らはおそらく「撤退」を選ぶでしょう。
増兵は現在の米軍の規模から考えて
徴兵制を復活させない限りは不可能です。

徴兵制を復活させれば
間違いなく反戦運動が拡大・激化します。
ブッシュ政権はこの選択は取らないでしょう。

おそらく今年いっぱいをかけて
米軍は徐々に撤退していくでしょう。
ただし、イラクからの完全撤退ではなく、
油田がある北部と南部には駐留し続けると思います。
真ん中のバクダットを中心としたイラク中部を
新政権と新イラク国軍に任せて、
自分らはさっさと引くのではないでしょうか。


<今後の米国の軍事戦略>

さて、イラクで苦戦中の米国ですが、
私は、米国の軍事戦略はこの体験を経て
以下のように変化すると予想します。

彼らはベトナムに続く第二の泥沼にあえいでますが、
これによって、異なる価値観・異文化の国において、
米流の民主主義国家を建設することの困難さを
改めて思い知ったでしょう。
異邦を統治し、異邦を改造する。
これは容易なことではありません。

また、米軍が進めつつあるRMA(軍事革命)化。
この効用と限界も痛感したでしょうね。

侵攻戦の鮮やかな勝利と、
その後の占領統治・ゲリラ掃討戦での泥沼。
RMAは正規軍相手では多大な威力を発揮するが、
侵攻地での都市ゲリラ戦では
その神通力は発揮できないことが明らかになりました。

◇9・11以降の脅威に対する先制攻撃主義

◇現在の米国の国力

◇RMAによって少数精鋭化した米軍

この3要素を勘案するならば、
これからの米国の軍事戦略は
「世界規模のヒットエンドラン」
これにシフトしていくと思います。

「世界規模のヒットエンドラン」
米国にとって国益上重要な一部地域を除き、
米軍は脅威に対しては「侵攻・殲滅・破壊」を専一とし、
目的を達成すれば即座に引き上げる。
戦後の占領統治までは行わない。
その後の治安の回復・産業の復興等に関しては、
その地域の大国や同盟国に任せる。

国益上重要な一部地域とは
たとえば、中東から中央アジアにかけての
油田・ガス田地帯など。
ブッシュ大統領が「自由の拡大を」と明言した地帯です。

それ以外の地域に関しては、
米国は脅威に対して軍事力の投入・破壊殲滅戦だけを行い、
そこから後のことは他者にお任せとなるでしょう。

平たくいうなら、
素早く相手に飛び掛り、
一発でノックアウトし、
また素早く立ち去る。
後の面倒は地域住民でお願いね、と。

これ以上の国力の疲弊を避けつつ、
世界に対する覇権は維持し、
脅威に対しては先制攻撃を加える。
これらの要素を兼ね備えるには
この「ヒットエンドラン」戦略しかないでしょうね。
by misaki80sw | 2005-01-28 23:28 | 米国関連