混迷のイラク、クルド人が分離独立の署名提出。
2004年 12月 26日
☆イラク北部クルド人、独立求め国連に署名提出
イラクのクルド人主要政党筋によると、
同国のクルド人住民代表は今週、
米ニューヨークの国連本部を訪れ、
イラク北部クルド人自治区の分離独立に向けた、
住民投票の実施を求める約200万人の署名を提出した。
署名運動は昨年夏から今夏にかけて、
イラク北部の知識人らを中心に展開。
200万人は、
北部のクルド人人口約350万人の過半数に上る。
同筋は「署名提出のタイミングとしては、
イラク国民議会選挙の選挙戦中の今が、
民意を内外に示す上で最適と判断した」と説明する。
クルド人自治区の2大政党、
クルド愛国同盟とクルド民主党は、
イラク暫定政府を構成する。
署名提出はクルド独立に直結するわけではないが、
多数派のイスラム教シーア派勢力の
優勢が伝えられる国民議会選を前に、
「独立」の選択肢をちらつかせながら、
「自治死守」の姿勢を内外に示す狙いがあるとみられる。
ただ、今回の「クルド独立」の公言は、
国内のアラブ人だけでなく、
多数のクルド人を抱える隣国トルコやイラン、
シリアなどからの反発を呼ぶ恐れがある。
(読売新聞)
この問題は
イラクの混迷をますます深めるだろうね。
クルド人。
中東のトルコ、イラン、イラクに住む民族。
人口は2000万~3000万人で、
アラブ、ペルシャ、トルコに次ぐ、
中東で4番目に多い人口を持つ民族。
しかし、自前の国を持たない世界で最大の民族でもある。
クルド人は、トルコやイラクで
少数民族として独立運動を行い、
政権に弾圧されてきた。
イラクではサダム・フセイン政権に、
毒ガスによる攻撃までも受けた。
湾岸戦争後やイラク戦争中にも
彼らはフセイン政権に対して蜂起し、
米軍に協力してきた。
EU加盟へ交渉中のトルコも、
この国内の少数民族であるクルド人の動きに
神経を尖らせている。
イラク北部のクルド人と一帯となって、
分離独立運動でも起こされたらかなわないからね。
かつてトルコ国内では
クルド人独立を掲げるクルド労働者党(PKK)が
ゲリラ戦を行い、トルコ軍と交戦。
1995年、トルコ軍はイラク領内まで越境し、
イラク北部のPKK拠点を攻撃したことがある。
現在、米軍駐留下のイラクでは、
来る1月の国民議会選に沸き立っているが、
クルド人が独立をちらつかせたことは、
かなりの波及効果を生むでしょう。
かつて米国ではイラク戦争の直後に、
中道派のシンクタンクを中心に
イラク三分割案が検討されていたことがある。
*田中宇の国際ニュース解説:世界大戦の予感
すわち、イラクの三大勢力、
スンニ派、シーア派、そしてクルド人。
これによるイラク分割。
結局、この構想は流れてしまったみたいだけど、
今回のクルド人の動き次第では、
この構想が再燃する可能性もあるね。
*クルド人 - Wikipedia
*クルド人問題研究
*田中宇の国際ニュース解説:
「イラクの分裂は中東全体の崩壊につながる」