多摩市、地下パイプによるゴミ収集を廃止。
2004年 12月 03日
☆地下パイプでごみ収集、多摩市が撤退
収集車の代わりに、地下に張り巡らせたパイプを通して
ごみを集める「管路収集」事業を、多摩市が今年度で廃止する。
83年に国のモデル事業として導入され、
「投入口にごみを捨てれば、後はお任せ」
という手軽さが話題を呼んだ。
だが、ごみの扱いが予想を大きく下回り、事業は赤字続き。
リサイクルの流れにも取り残された。
利用する企業は設備の見直しを迫られている。
管路収集が行われてきたのは
多摩センター駅周辺の約82ヘクタール。
パイプの総延長は6640メートルで、
27事業所、7公共施設、544戸の住宅が利用している。
ごみ投入口から捨てられたごみを地下の貯留槽にため、
掃除機の原理で、直径50センチの鉄パイプの中に
時速90キロの空気の流れを作って、ごみを吸い集める。
センターに運ばれたごみは、
コンテナ運送車で清掃工場へ送られる。
(アサヒ・コム)
う~ん、額面だけ見るといかにも未来的で
いいことずくめに見えるんだけどね~
現実ってうまくいかないね。
私も多摩市はちょくちょく遊びに行くけど、
こんなのがあったなんて知らなかったなあ。
今度、じっくり見てみよう。
地下パイプでゴミを集めるこのやり方は、
「ゴミの管路収集」「真空集塵施設」とか呼ばれている。
パイプに空気の圧をかけてゴミをスッと吸い込んでしまう。
同じ原理のやつが
北海道札幌市、千葉ニュータウン、幕張新都心、
新潟県長岡市、兵庫県芦屋市、
茨城県筑波学園都市、横浜みなとみらい21などにもある。
この写真は「みなとみらい」のゴミを送るパイプ↓
で、これがシステムの解説図↓
筑波学園都市のやつね。
コンセプトとしては、
◇その地区一帯に企業や商業施設を大々的に誘致。
↓
◇企業からゴミ一キロあたり数十円の手数料を取る
↓
◇ゴミの管路収集開始。
↓
◆企業はお手軽にゴミを捨てられて大喜び。
◆市はゴミ回収の手間が省けてウハウハだ~
ってな感じの、未来図のはずだったんだけどね・・・
ところが、多摩市の場合、
公団が想定したごみの処理量は1日58トン。
しかし、実際にはピークの97年でも
処理量は1日7・6トンに過ぎず、
現在は6トン程度に減ったとのこと。
ああ、これじゃあ赤字ですな。
誤算だったのは、
◇大々的な企業誘致を行うはずが
不況等で集まらなかったこと。
◇「可燃ゴミ」「不燃ゴミ」の2つの投入口しかなく、
きめ細かな分別が出来ない。
作った当時は、それで十分と思われていた。
◇企業などが段ボールやペットボトルなどの資源ゴミを
リサイクルに回し、有料の管路収集を使わない。
◇でも、施設の維持費だけはガッポリ取られる。
まあ、こんなとこですか。
多摩市以外の導入自治体も
同じ悩みを抱えているところが多いようで、
千葉ニュータウンなども
2010年を目途に廃止するとのこと。
*千葉ニュータウン談話室:
ごみ空気輸送システム、2010年めどに終了
ゴミの収集と処理って
各自治体も頭を悩ませているとこだけど、
この分野は悩みの分野であると同時に、
進歩の分野でもある。
悩みは試行錯誤を生み、
試行錯誤は工夫や新システムの創造を生む。
まさに日進月歩の分野。
多摩市の「管路収集システム」の反省点は、
いったん、こういう大規模システムを作っちゃうと、
状況が変わってニーズに合わなくなっても、
軽快な変更が難しいということ。
採算が取れなくなっても
一定期間は赤字を垂れ流す羽目に陥ってしまう。
あまり固定的な施設やシステムを作ると、
状況の変化について行けなくなるといういい見本だな。
これはゴミ処理に限らず、万機に言えることだね。
*「みなとみらい21」のゴミ、管路収集システム