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by misaki80sw

カテゴリ:中東関連・対テロ戦争( 15 )

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イラク情勢が再び激化してます。

激化たって
「テロで被害」とか「米兵3名死傷」とか、
イラク発のその種の情報に
ある意味、日本人は慣れすぎてしまって
不感症気味になってる部分がありますが、
ここ数ヶ月小康状態を保っていたイラク情勢が
再び激化しつつあるのは間違いありません。

ここ数ヶ月の情勢を
ざっとおさらいしておきますと、
まず、1月末にイラク国民議会総選挙が行われ、
最大勢力であるシーア派が6割以上の議席を確保し、
第二勢力であるスンニ派は選挙をボイコット。
漁夫の利を得たのは第三勢力であるクルド人で、
シーア派に次ぐ議席を確保した。
人口比20%のスンニ派が議席数は2%、
人口比15%のクルド勢力が議席数28%。

それから3ヶ月以上もかかって組閣人事が行われ、
すったもんだのあげく5月3日に
シーア派+クルド人の二大連合による新政権が発足した。

移行政権の当面の課題は
2005年8月15日までに、
現在のイラク基本法に代わる正式・恒久憲法を
起草・発効すること。
そしてこの憲法に基づき同年12月15日までに
総選挙が実施され、正式政府が誕生する。
ここにイラク戦争後の同国復興プロセスは、
終了するというスケジュールになっている。

だが、暫定憲法である現在のイラク基本法は、
国内18州のうち3州で3分の2以上の反対がある場合、
新憲法が承認されないとの条項を持つ。
そのため各勢力が協調しなければ新憲法の承認はあり得ず、
これは数的に優位であるシーア派の権力保持を防ぐための
米国の苦肉の策でもある。

ジャアファリ首相は
4月28日に移行国民議会に閣僚名簿を提出したが、
石油相や国防相など重要ポストの人選をめぐり、
各勢力間の調整が難航。
結局、首相が国防相、
チャラビ副首相が石油相を暫定的に兼務し、
見切り発車の状態で移行政権はスタートした。

移行政権は首相を含めて計37のポストから成り、
シーア派の統一会派「統一イラク同盟」と
クルド人の統一会派「クルド同盟」のメンバーが閣僚となり、
選挙をボイコットしたスンニ派は
一部の傍流の人たちが少数加わっただけ。

イラク、閣僚宣誓式 移行政府が始動
 石油相ら先送り


で、ここから内戦が激化。
不満たらたらのスンニ派がシーア派を攻撃し、
従来からの反米武装勢力がそれに乗じるかっこうとなった。
移行政府発足後のテロによる死者は、
とうとう430人を超えてしまった。

イラク:シーア派×スンニ派、相次ぐ惨殺は憎悪の連鎖
 宗派間戦争、強まる懸念


宗派対立扇動のテロ激増 移行政府に早くも試練

イラク、3人の聖職者が暗殺される

憲法起草は「反イスラム」スンニ派参加を批判

イラクで武装勢力の攻撃激化、24人が死亡

これに危機感を抱いたライス米国務長官は
イラクを電撃訪問し、
バグダッドでジャアファリ首相と会談した。

ライス米国務長官 イラク訪問
 スンニ派取り込み促す


会談では、イラクの国内治安や憲法起草問題を協議し、
スンニ派勢力の政権への取り込みを促したとのこと。

米国としては
シーア派ではありながら世俗色の強い、
アラウィ暫定政府首相の続投を望んでいた。
しかし、アラウィ氏の「連合会派イラク」は第三党にとどまり、
閣僚には一人も加わっていない。
ここらへん米国としては失望そのものだろう。

一方の駐留米軍は、7日から14日にかけて、
シリア国境の町カイム周辺に、
海兵隊約千人と航空兵力などを投入して、
「マタドール(闘牛士)作戦」と称する大規模作戦を実施。
武装勢力125名を殺害し、39人を拘束した。

米軍がイラク西部で1週間の掃討作戦
 武装勢力125人死亡


米軍は、カイムから中部ラマディに通じる、
ユーフラテス川沿いの街道が
武装勢力の武器弾薬、資金の流入経路とみており、
今回の掃討作戦で、同経路を遮断できたとしている。
 
だが、15日も首都北方バアクーバ中心部で、
地元ディアラ県の県知事の車列を狙った、
自動車爆弾による連続自爆テロが発生。
知事は無事だったものの、計五人が死亡した。

イラク知事襲撃で犯行声明 イラク聖戦アルカイダ組織

さらに、イラク北部から
トルコへの原油パイプラインが破壊され、
原油輸出が全面的に停止した。

イラク北部からトルコへの原油輸出
 破壊攻撃で全面的に停止


また、イラク政府の高官も狙い撃ちされており、

<イラク>車で通勤中の貿易省高官が銃撃され死亡

イラク石油省高官、バグダッドで暗殺

テロリスト達の標的となっている。

このように武装勢力の活動は全く衰えておらず、
これに慌てたジャアファリ首相は13日、
北部のクルド人自治区を除く、
全土に出している非常事態宣言をさらに30日間延長した。

イラク、非常事態を再延長 半月で死者420人以上

さらに英紙「サン」に
フセイン元大統領の下着姿の写真などが掲載され、
イラク人の間で反発が強まっている。

フセイン元大統領下着姿、英紙が掲載
 「捕虜」条約に違反も


「サン」に写真を流したのは駐留米軍人とされ、
大統領を神格化して抵抗する武装勢力に
打撃を与えることが目的とのこと。
しかし、これにより反米感情が盛り上がりを見せ、
ほとんど逆効果となってしまった。

当然のことながら米軍の泥沼状態は続きそうで、
マイヤーズ統合参謀本部議長は4月12日の記者会見で、

 「武装勢力はイラクの新政権打倒を目指して攻撃している。
 この動きが3年、4年、あるいは9年か、
 いずれにせよ長く続く」

と語り、混乱の長期化という見方を示した。

もともと米軍は
ここのところ情勢が小康状態を保っていたこともあり、
イラク情勢に関しては楽観的な見方が支配的だった。
アビザイド米中央軍司令官は3月1日の上院軍事委員会で、

 「武装勢力は一般市民の支持を得られず、
 その力は衰退しつつある」

 「2005年末には、イラク政府の治安部隊が力をつけ、
 治安維持を担うことになるだろう」

と楽勝の予測をした。
まあ、大外れに外れたわけね(笑)。

この治安の悪化とシーア派・スンニ派の確執を横目で見つつ、
第三勢力であるクルド人は独立への動きを一層強めている。
彼らはその過程として自治権の強化を要求している。

その要求の内容とは、

◇10万人の兵力を持つクルド人民兵の維持。

◇民兵の指揮権をクルド自治政府が持つ。

◇中央政府の軍隊が自治区に入る場合は
 自治政府の許可を得る。

◇自治政府が徴税権を持ち、
 中央政府への納税額も自治政府が決める。

◇クルド居住区の境界沿いにある油田地帯、
 キルクークのクルド自治区への編入。

◇石油開発と輸出の主要な権限も自治政府が持つ。

これにはシーア派・スンニ派共に反発しており、
治安の悪化のからみもあって、
自派民兵集団の強化に走っている。

イラク政府はこの対応に苦慮しており、
米国も民兵集団の存続には猛反対している。


さて、就任したばかりのジャファリ首相は
早速、トルコを訪問し、
治安や経済問題を協議したとのこと。

ジャファリ首相がトルコ訪問 治安や経済問題協議

世俗的イスラム国家として
トルコが新生イラクのお手本になるということだろうか。
あるいはクルド人絡みで密約でもかわしたか。

また、隣国イランは
イラク国内のシーア派勢力の伸張にホクホク顔で
早速、外相をイラクに派遣し、
ジャアファリ首相ら移行政府幹部と会談。

イラン外相、関係改善へイラク訪問 移行政府を全面支援

イラン国境からの武装勢力の流入を阻止する、
国境管理の強化を約束するなど、
移行政府への全面支援を表明した。


さてさて、我々日本人にとっては
イラクの人名や組織名ってのは
あまりにもなじみづらく憶えづらい。

よって、ここで付録として
イラクのデータ、
主要人物名などをざっとまとめておきますね。

まず、イラク三大勢力の人口比率ですが、

◇シーア派:60%

◇スンニ派:20%

◇クルド人:15%

となってます。

次に議席の配分ですが、

◇統一イラク同盟(シーア派):140議席

 *イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)と
  アッダワ党、イラク国民会議の統一会派

◇クルディスタン同盟リスト(クルド人):75議席

 *「クルド愛国同盟」と「クルド民主党」の統一会派

◇連合会派イラク(シーア派):40議席

◇イラク人(スンニ派傍流):5議席

総議席275のうち、
シーア派が圧倒的多数です。

最後に各勢力の内訳を書いておきます。

<シーア派>

*最高権威はシスタニ師
 米軍の早期撤退を要求している。

◇イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)
  
 ◎リーダーはハキム師。

 ◎自派から副大統領としてアブドゥルマフディ氏を輩出。

 ◎親イラン

 ◎私兵集団バドル軍を抱える。

◇アッダワ党

 ◎リーダーはジャアファリ氏
  
 ◎ジャアファリ氏は移行政権の首相に就任。

 ◎私兵集団を抱える。

◇イラク国民会議

 ◎リーダーはチャラビ氏。

 ◎チャラビ氏は移行政権の副首相に就任。

 ◎弱小勢力
  
◇連合会派イラク(イラク・リスト)

 ◎リーダーはアラウィ前首相

 ◎シーア派だが世俗色の濃い政党

 ◎親米派

 ◎一人も閣僚に登用されていない。

◇サドル派

 ◎リーダーはサドル師

 ◎反米急進派

 ◎私兵集団マハディ軍を持ち、ナジャフで米軍と戦闘。

 ◎一部が「国民エリート団」として選挙に参加し三議席を獲得


<スンニ派>

*選挙はボイコット。

◇イラク・イスラム聖職者協会

 ◎イラクのスンニ派宗教指導者の連合体
 
 ◎スンニ派の最高権威機関。

◇イラク・イスラム党

 リーダーはモフセン・アブドルハミド氏

◇スンニ派宗教財団

◇旧フセイン派残党


<クルド人>

◇クルド愛国同盟(PUK)

 ◎リーダーはタラバニ氏

 ◎タラバニ氏は移行政権において大統領に就任

◇クルド民主党(KDP)

 ◎リーダーはバルザニ氏

 ◎自派からタイフール国会副議長を輩出

 ◎タイフール氏は、
  1996年にクルド民主党がフセインと手を結んで
  クルド愛国同盟を攻撃した時の司令官

◇クルド人の民兵組織は「バシュマルガ」
 兵力は10万人。


ざっとこんな感じですな。

それぞれの勢力も
かならずしも一枚岩ではなく、
穏健派・急進派に割れています。



持田直武 国際ニュース分析:イラクのテロ拡大

持田直武 国際ニュース分析:
 イラク選挙後、混乱の芽は消えず


イラク:Terrorist or Resistance ?:
 「分析・イラク新政権」酒井啓子(世界6月号)


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by misaki80sw | 2005-05-23 01:52 | 中東関連・対テロ戦争
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イラク内相:治安体制確立までには1年半かかる

 イラク暫定政府のナキーブ内相は3日、
 イラク人治安部隊の訓練などが完了し、
 国内の治安維持体制を確立するまで
 1年半はかかるとの見通しを示した。
 イラクに駐留する米軍など外国軍の撤退時期については、
 「政治的問題だ」として明言を避けた。
 バグダッドからの電話会見で米国防総省の記者団に語った。

 ナキーブ氏は、治安体制の整備目標として
 ▽国境警備の強化
 ▽治安部隊の訓練、装備向上
 ▽情報収集体制の拡充
 などを挙げた。

 駐留米軍は、治安維持活動のイラク人部隊への
 早期移管を目指し訓練を行っているが、
 十分な成果が上がっていない。
 3日、米上院軍事委員会の公聴会で証言した、
 ウルフォウィッツ国防副長官は、
 選挙警備で現地部隊は
 「訓練で進歩が出ていることを示した」
 と主張したものの、
 「イラク人部隊は米軍ほどの能力がない。
 やるべきことが多いのは明らかだ」と問題を認めた。

   (毎日新聞)


イラクの泥沼にあえぐ米国。
すでに米兵の死者は千4百人。
一ヶ月の駐留経費は48億ドル(約5千億円)。
重い重い負担。

撤兵への出口を模索する米国だが、
本格政権の発足、行政機構の整備など課題は目白押し。
その中でも治安の回復がやはり最重要事項。
これなくしては米軍は撤退できない。
その際に重要となるのがイラク治安部隊の整備でしょう。

この治安部隊の整備は米軍撤退へのキーポイント。
新生イラク軍という代替兵力を生み出さない限り、
米軍はハッピーエンドでイラクからサヨナラできない。

今年の1月の時点で、
イラク治安部隊の要員は12万7千人。
これは軍、警察、国境警備隊の合計数。
このうち実戦に対応できるのは7千から1万千人。
米軍の支援なしでテロリストと戦える部隊は
数個大隊程度に過ぎない。

遅れるイラク治安部隊の育成

これを一年前の数と比較してみる。

米国防総省の04年1月時点の発表では
イラク人治安部隊は
警察が6万9千人、民兵1万3千人、
国境警備隊1万2千人、新イラク軍千人。
合計9万5千人。

経済用語の解説:イラク人治安維持部隊

一年間でわずかに3万人程度しか増えてない。
国境警備隊・警察の数にさほど変化が無いと仮定して、
軍の増加は3万人ということ。

つまり、治安回復の最重要課題が
この一年間でほとんど達成されていない。
原因の一つには軍人募集に応じるイラク人が少ないこと。
これはゲリラとテロが横行するイラクで
軍人になろうものなら
間違いなく銃火の下をくぐらなければならない。
死傷率も高い。
給料は旧イラク軍よりはもらってるらしいが、
警察官よりは薄給とのこと。
これじゃあ、なり手が無いのも当たり前だわね。

もう一つは軍人として養成しても
いざ戦場に連れて行くと脱走したり、
敵と内通して集団で寝返ってしまってること。
昨年11月、イラク北部モスルで警察部隊の大半が脱走。
中部サマラでは、警察部隊が敵と内通した。
自国を戦場に自国民と戦う。
彼らが暗澹たる気持になるのも無理はない。

イラク暫定政府は、
軍・警察・国境警備隊などの治安部隊を
計27万人にまで増やすことを目標としているが、
こんな感じで目標クリアは夢のまた夢の状態。
上記ニュースのイラク内相の発言、
「治安体制確立までには1年半かかる」は
ちと楽観的すぎますな。

米国もこの現状に頭を痛めており、
旧イラク軍の兵士や将校を積極的に募集して、
軍の陣容を整えるのに必死。
また、NATO諸国に依頼して
イラク軍の訓練を行っている。

NATOはイラクに訓練指導官を
計10カ国から約110人程度派遣している。
また、NATO諸国の国内で、
イラク軍人の訓練に応じる国も増えている。

スペインは地雷除去分野でイラク軍と警察を
国内で訓練する用意のあることを表明。
フランスも国内とペルシャ湾岸・カタールで
憲兵隊約1500人の養成支援にあたる意向を表明。

NATO:イラク治安部隊の訓練支援の強化、加速で合意

米国にとって光明はイラク国民議会選挙の成功で、
これにより新生イラク国家と政権の正統性が確立された。
この意義は大きい。

統治の正統性を確立できれば軍の士気も高まる。
また、入隊する志願者も増えるだろう。
この意味においては、米国にとって
撤兵への一筋の道が見え始めたというところか。
逆にゲリラ側はこれが嫌だから
あれだけ選挙を妨害したわけね。

ただし、前途は依然として多難。
選挙は成功したものの、
シーア派、スンニ派、クルド人。
この3大勢力はうまく融和できるのか?
ひとつになって新イラク国家の建設に邁進できるのか?

難問集積で、ここ1~2年に関しては
米軍のハッピーエンドの撤退はありえそうも無い。
そのまま駐留を続けるか、
政治的決断で、混沌状態を放置したまま、
引きちぎるようにイラクから撤兵するしかなさそうだな。



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by misaki80sw | 2005-02-16 19:57 | 中東関連・対テロ戦争
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イラク選挙当日、バグダッドには米兵3万5000人配置

 イラク駐留米軍は5日、
 今月30日に予定されるイラク国民議会選挙の警備のため、
 投票日当日は首都バグダッドに
 米兵3万5000人を配置する方針を明らかにした。

 バグダッド駐留のキアレリ陸軍少将は会見で、
 「大々的に警備態勢の存在を示す」と述べ、
 米兵をバグダッド市内各地に大勢配置することで、
 反政府勢力による自爆攻撃など選挙妨害を食い止め、
 イラク初の民主的選挙で投票所へ向かう、
 バグダッド市民700万人を守るつもりだと強調した。

 投票日に向けてイラク各地で
 テロ攻撃を激化させている武装勢力に対しては、
 キアレリ少将は「われわれはお前たちを見つけ出す。
 お前たちが動くごとに監視し、話し合っているのを聴き、
 お前たちと戦い、お前たちを打ち破る。
 お前たちはいついかなる時に殺され
 拘束されるかもしれないという、
 そのことをきちんと理解しないまま眠ったり食事したり
 動いたり集まったりしてはいけない。
 ただちに活動をやめよ。
 そうすれば生きのびることができる」
 と強い調子で警告した。

   (CNN)


いよいよ30日にイラク議会選挙。

ここがイラク情勢のキーポイントになりそう。
ニュース中のキアレル少将の言葉、

  われわれはお前たちを見つけ出す。
  お前たちが動くごとに監視し、
  話し合っているのを聴き、
  お前たちと戦い、お前たちを打ち破る。

  ただちに活動をやめよ。
  そうすれば生きのびることができる

強烈だね。
この選挙にかける米国の意気込みを感じるよ。

一方の反米ゲリラ側。
彼らの内情と組織構成に関しては、
外国人テロリストが大半だの、
いやいや、イラク国民が反米に立ち上がっただの、
旧フセイン政権の残党が主力だの、
いろいろな情報が流れている。

私の愛読メルマガ「国際戦略コラム」の12月31日号に、
このゲリラ勢力の内情を伝えるメルマガが紹介されていた。

メルマガ「西方見聞録」Vol.113:
 イラク武装勢力の財布事情


内容がとても興味深かった。

メルマガ「西方見聞録」によると、
イラク各地の武装組織は大きく4つに分かれる。

◇スンニ派のサラフィー

◇アラブ義勇兵が集まるワハビー

◇フセイン政権の残党

◇町のチンピラ等

イラク人だけではなく、
外国人も多く参加している。

この外国人たちの多くは金で雇われる。
メルマガの中では、
レバノンで雇われ、
半年間、イラクで戦っていたという、
一人のゲリラのコメントを載せている。

それによると、
中東各地のモスクでスカウトマンが
口コミで戦士を募集する。
研修を3,4日行い、イラクで実戦投入。
5,6人のグループで行動するとのこと。
月末28、29日になると報酬が支払われる。

報酬の内訳は、

◇日給10ドル
◇夜間手当50ドル前後
◇ファルージャやサマラなどの
 スンニトライアングルでの戦闘手当ては
 50~100ドル前後

◇ロケット弾命中:400ドル
◇迫撃弾命中:100ドル
◇米兵殺害:3000ドル
◇地対空ミサイルによる米機撃墜:2500ドル
◇イラク軍やイラク警官殺害:2000ドル
◇シーア派幹部殺害:1000ドル

とのこと。

なんか生々しいね。

この手のイスラム系傭兵は
中東各地から送り込まれてくるんだろうなあ。

メルマガでは触れてなかったけど、
問題はこれを支える資金だね。
彼らの雇用料は誰が払っているのか?

おそらく何らかのイスラム系の
資金ネットワークがあるんだろうね。
アルカイダなどには、
今でもサウジの富豪などから、
資金が流れているらしい。

あと、周辺諸国のシリア・イランなども、
いろいろと工作をしているでしょう。
彼らはイラクの治安が回復してしまえば、
米国の矛先は自分らに向いてくるということで、
イラクの混沌状態を持続させようとしている。


さて、30日の議会選挙。
米国はこの選挙を成功させて
治安回復の糸口を作りたいと必死だけど、
私は選挙は失敗すると見ている。
スンニ派なんかはボイコットしてるしね。

仮に選挙が成功したとて、
このイラクの混沌は収まらないでしょう。
それは構造的な問題だから。
「イスラム国家を制圧した異教徒米国人」
この根本の部分に全ての混乱の原因がある。

米国がいいとか悪いとか、
旧フセイン政権がいいとか悪いとかの問題じゃない。
米国の大義がどうとか、
大量破壊兵器がどうだとかの問題じゃない。
要は、根本の歴史・風土・宗教・文化・価値観の相違の問題。

これをねじ伏せることは容易じゃないよ。



メルマガ「西方見聞録」

メルマガ「国際戦略コラム」


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by misaki80sw | 2005-01-06 22:55 | 中東関連・対テロ戦争

イラク北部クルド人、独立求め国連に署名提出

 イラクのクルド人主要政党筋によると、
 同国のクルド人住民代表は今週、
 米ニューヨークの国連本部を訪れ、
 イラク北部クルド人自治区の分離独立に向けた、
 住民投票の実施を求める約200万人の署名を提出した。

 署名運動は昨年夏から今夏にかけて、
 イラク北部の知識人らを中心に展開。
 200万人は、
 北部のクルド人人口約350万人の過半数に上る。
 同筋は「署名提出のタイミングとしては、
 イラク国民議会選挙の選挙戦中の今が、
 民意を内外に示す上で最適と判断した」と説明する。

 クルド人自治区の2大政党、
 クルド愛国同盟とクルド民主党は、
 イラク暫定政府を構成する。
 署名提出はクルド独立に直結するわけではないが、
 多数派のイスラム教シーア派勢力の
 優勢が伝えられる国民議会選を前に、
 「独立」の選択肢をちらつかせながら、
 「自治死守」の姿勢を内外に示す狙いがあるとみられる。

 ただ、今回の「クルド独立」の公言は、
 国内のアラブ人だけでなく、
 多数のクルド人を抱える隣国トルコやイラン、
 シリアなどからの反発を呼ぶ恐れがある。

   (読売新聞)


この問題は
イラクの混迷をますます深めるだろうね。

クルド人。
中東のトルコ、イラン、イラクに住む民族。
人口は2000万~3000万人で、
アラブ、ペルシャ、トルコに次ぐ、
中東で4番目に多い人口を持つ民族。
しかし、自前の国を持たない世界で最大の民族でもある。

クルド人は、トルコやイラクで
少数民族として独立運動を行い、
政権に弾圧されてきた。
イラクではサダム・フセイン政権に、
毒ガスによる攻撃までも受けた。

湾岸戦争後やイラク戦争中にも
彼らはフセイン政権に対して蜂起し、
米軍に協力してきた。

EU加盟へ交渉中のトルコも、
この国内の少数民族であるクルド人の動きに
神経を尖らせている。
イラク北部のクルド人と一帯となって、
分離独立運動でも起こされたらかなわないからね。

かつてトルコ国内では
クルド人独立を掲げるクルド労働者党(PKK)が
ゲリラ戦を行い、トルコ軍と交戦。
1995年、トルコ軍はイラク領内まで越境し、
イラク北部のPKK拠点を攻撃したことがある。

現在、米軍駐留下のイラクでは、
来る1月の国民議会選に沸き立っているが、
クルド人が独立をちらつかせたことは、
かなりの波及効果を生むでしょう。

かつて米国ではイラク戦争の直後に、
中道派のシンクタンクを中心に
イラク三分割案が検討されていたことがある。

田中宇の国際ニュース解説:世界大戦の予感

すわち、イラクの三大勢力、
スンニ派、シーア派、そしてクルド人。
これによるイラク分割。
結局、この構想は流れてしまったみたいだけど、
今回のクルド人の動き次第では、
この構想が再燃する可能性もあるね。



クルド人 - Wikipedia

クルド人問題研究

田中宇の国際ニュース解説:
 「イラクの分裂は中東全体の崩壊につながる」

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by misaki80sw | 2004-12-26 21:40 | 中東関連・対テロ戦争
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<米国防長官>米兵らとの対話集会で質問攻め
 クウェート


 ラムズフェルド米国防長官は8日、クウェートで
 イラク軍事作戦に携わる米兵らとの対話集会に参加した。
 兵士らは「装甲輸送車が不足している」
 「従軍期間の強制的な延長はいつ終わるのか」
 など厳しい質問を投げかけた。

 多数の負傷者を生んだ原因の一つとされる装甲車問題で
 同長官は「増産に努めている」と弁明しつつ、
 「装甲を強化しても、吹き飛ばされる戦車もある」
 などと突き放す一幕もあった。
 
 ラムズフェルド長官は
 アフガニスタンでカルザイ大統領の就任式に出席した後、
 インドに向かう途中でクウェートの米軍基地に立ち寄った。
 集会で「厳しい質問もできるぞ」と冗談まじりに語りかけると、
 2000人を超える兵士らは次々に挙手。
 整備担当でテネシー州兵部隊の
 トーマス・ウィルソン技術兵(31)は、
 対イラク開戦から2年近くたつのに、
 「廃品置き場から鉄板や防弾ガラスを探して
 輸送車(の装甲)に使っている」と指摘、
 装甲輸送車の不足を訴えた。

   (毎日新聞)


ラム長官が兵士に責め立てられた「装甲車」問題ってのは、
上の画像の「ハンヴィー(Humvee)」ってやつね。

Humvee。
High Mobility.Multipurpose.Wheeled Vehicleの略。
日本語に訳すと高機動多目的装輪車
あの懐かしの軍用ジープの後継車両。
1985年から実戦配備となった。
米陸軍のみならず、海軍・空軍・海兵隊でも使われている。

映画「ブラックホークダウン」でも出てたけど、
これ、装甲が無いんですよ。
これに乗ってて横や後ろからバンバン打たれると、
たちまち車体は貫通され、蜂の巣になってしまう。

戦場でこれはマズイでしょ。
実際に死傷者続出で
米軍はあわてて装甲型ハンヴィーや、
既存のタイプに装甲を取り付ける、
改造キットを増産している。
ただ、これが急場の需要に追っつかないのよね。


さて、「装甲」続きで話しを続けると、
サマウに駐屯している陸自の派遣部隊。
彼らが使用しているジープタイプの車両が、
「高機動車」と呼ばれるもの。

自衛隊装備品図鑑:高機動車

ほとんどハンヴィーの日本版。
これ、パクリと言われてもしょうがないな。
たしか、トヨタ製だったけ?

で、問題はここからなんですが、
この高機動車も装甲がついてない。
なんと車体は鋼板じゃなくて強化プラスチック!
拳銃弾すら防げない。
これでいいのか、陸自よ?

陸自は装甲タイプの「軽装甲機動車」も持っていて、
これもサマウにも送られているけど、

自衛隊装備品図鑑:軽装甲機動車

全台をこいつで統一すべきだよ。
あるいは米軍のように
高機動車に装甲装着の改造をしなさいよ。

ゲリラが跳梁するイラク。
いくら非戦闘地域と政治用語で呼ばれるサマウでも、
やっぱり戦闘に対する備えは必要でしょ。
こういう強化プラスチックの空寒い車両で隊員を送り出すなよ~。
派遣される側の身にもなれって。

新防衛大綱で
陸自定数は15万人だ何だともめるのもいいけど、
こういう細かいとこに気を使ってほしいわね。
改造したって大した額にはならんでしょ?
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by misaki80sw | 2004-12-12 21:07 | 中東関連・対テロ戦争
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新たな対米テロ警告=大統領選控え、
 「9・11」犯行認める-ビンラディン容疑者


 カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは29日夜、
 国際テロ組織アルカイダの指導者、
 ウサマ・ビンラディン容疑者のビデオ声明を放送、
 この中で同容疑者は
 「ブッシュ(米大統領)は9月11日の事件
 (2001年の米同時テロ)から4年たつというのに、
 いまだに混乱とミスリードを続けている」と
 ブッシュ政権を強く批判した上で、
 「これらの出来事が繰り返される理由はまだある」と述べ、
 新たなテロを警告した。
 
 アルジャジーラによれば、
 ビンラディン容疑者本人による新たなビデオ声明はほぼ2年ぶり。
 声明は同容疑者が自らの存在を誇示するとともに、
 間近に迫った米大統領選挙に
 影響を与えることを狙った可能性がある。 

   (時事通信)


ここで設問。
ビンラディンにとって
米大統領選はどちらが勝った方が都合がいいか?

私はブッシュだと思う。
それはビンラディンの基本戦略を
考察すれば理解できる。

前にも書いたけど、
学校占拠事件とアルカイダ・・非正規戦の時代。
ビンラディンの意図は、

 米国の国力を消耗させることによって
 世界への関与を無くさせ、
 孤立したイスラエルを包囲殲滅すること。
 これが最終目標。
 この目標に対し、先鋭的に手段を構築している。

これだと思う。

泥沼消耗戦。
まさにゲリラの発想で、
弱者が強者を倒すための典型的なパターン。

ビンラディンにとっての
この戦略の「モデル地区」がイラク。
ここで米国の国力を消耗させる。

その意味ではブッシュは都合のいい相手。
好戦的でイラクにこだわり続けてくれそう。
イラクからの撤退を公言するケリーとは違う。
まさに組みやすし相手。

この時期にビンラディンが自らの画像を公開し、
声明を発表したのは、
米国民に「戦時国家」としての意識を取り戻させ、
「テロとの戦い」に関しては圧倒的に
ケリーの支持率を上回っているブッシュを有利に導くこと。
これが狙いだろうね。



娘通信♪関連過去記事
イラク情勢悪化・・米国緊急支出・日本人拉致。
イラク戦争の様々な観点:大量破壊兵器とユーロ建て決済
テロリストと諜報機関、ネット上の攻防戦。
米国防長官、早期のイラク撤退を匂わす・・ラムさん開き直り
学校占拠事件とアルカイダ・・非正規戦の時代。
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by misaki80sw | 2004-10-31 00:31 | 中東関連・対テロ戦争

イラク情勢のニュースをいくつか。

ブッシュ政権、7兆円のイラク戦費緊急申請へ・米紙

 米紙ワシントン・ポストは26日、
 ブッシュ大統領が再選された場合、
 イラク、アフガニスタンでのテロ、反米勢力掃討作戦のために、
 議会に対し700億ドル(約7兆5000億円)規模の
 緊急支出を新たに申請する見通しだと報じた。

 昨年のイラク戦争以来、
 両国の治安安定のために投じられた軍事費の合計は
 2250億ドルに上る計算となり、
 米専門家によると、
 約5000億ドルを使ったベトナム戦争の半分近く、
 2000億ドル弱の第1次世界大戦を突破する規模になるという。

 ブッシュ政権は昨年秋にも875億ドルの緊急支出を求め、
 議会に了承された経緯があるが、それに次ぐ予算規模。
 イラク戦争の泥沼化に警鐘を鳴らす、
 議会の抵抗に遭う可能性もある。

 大型予算の追加支出要請は、
 米軍がイラクで依然、13万人以上の駐留規模を維持、
 反米勢力の掃討作戦が長期化していることが
 背景にあるとみられる。

   (日経新聞)


アフガンを抜きにしたイラクのみの費用で言うと、
2003年1月から2004年5月末までに
米国がイラクでの 進攻・統治に投じた費用は
ほぼ820億ドル(約9兆100億円)。
月平均48億ドル使ってる計算。

米国のイラク戦費:
 2003年1月−2004年5月で9兆円余り−国防総省


で、6月以降からもその調子で使ったと計算すると
その後、約5ヶ月で240億ドル使ったことになり、
合計で1060億ドル。

上記ニュースによると
議会が認めればそれに加えて700億ドル支出するわけで、
これはもの凄い出費だよ。
財源どうするんだろう?
たぶん、国債の増発だろうね。
で、それを日本が買うと(笑)。

イラク情勢の泥沼化は
すでに救いがたいところまで来ており、
在イラク軍は全米軍の15%以上の規模だけど、
これだけ投入しても一向に治安回復の目途が立たない。
米外交官がゲリラの迫撃砲の直撃にあって死亡したり、
米国が将来の治安の柱としている新生イラク軍が
ゲリラの集中的なテロを受け、士気が激減しているらしい。
また、米国では徴兵制復活の噂が囁かれており、
このため若年層のブッシュ支持が減りつつあるという。

田中宇の国際ニュース解説:岐路に立つアメリカの世界戦略


一方でこんなニュースも。

米国務長官、イラン空爆論を否定

 パウエル米国務長官は27日、
 米CNBCテレビのインタビューで
 イスラエルが核開発疑惑のあるイランを
 空爆する可能性について否定的な見解を示した。
 長官は「恐ろしい話も含めて様々な憶測が飛び交っているが、
 私はそのような情報は知らない。
 イスラエルも含めた全世界が
 外交的、平和的な解決を望んでいると思う」と語った。

 イスラエルは1981年にイラクのオシラク核施設を空爆し、
 同国の核開発を阻止した経験がある。
 イランが中距離弾道弾の発射実験を繰り返し、
 イスラエル全土を射程圏内に
 治めたことを誇示していることもあって
 イスラエル内や米ユダヤ人社会では
 イラン空爆を求める声が上がっていた。
 イランは核開発は平和目的だとしている。

   (日経新聞)


イスラエルはイランの核開発やイラクの治安など
中東情勢の悪化に相当やきもきしてるみたいね。

米軍は対イラクゲリラの戦術を
密かにイスラエル軍の教官を
イラクに招いて教わっているとの情報も流れている。
イスラエルはパレスチナゲリラ相手の戦闘で
この種のノウハウは豊富。
米軍の軍事顧問のような役割を果たしているらしい。

あの米軍によるイラク人捕虜の拷問も
その技術を教えたのはイスラエル軍だとの情報が、
公然の秘密として語られている。


さて、日本人がイラクゲリラに拉致された。

この実行犯はザルカウィ派。
別名「メソポタミア・アルカイダ聖戦」。

ザルカウィ派は9月以降、
アジトのあるイラク・バグダッド西方のファルージャで
米軍の攻勢を受け、勢力を弱体化。
そのため10月17日、
ザルカウィはジハード系サイトに声明を出し、
ビンラディンへの忠誠を誓い、アルカイダの傘下に入った。
ここからザルカウィ派の活動は
拉致と斬首にまみれた血生臭い路線を突き進んでいく。

10月24日、ザルカウィ派は
一挙に49人のイラク国軍新兵を殺害した。
イラク警察筋よると、
実行犯らはイラク国軍の制服を着用して、
訓練を終えてそれぞれの出身地に戻ろうとして
3台のミニバスに分乗していた新兵らを襲撃、
地面にうつぶせにさせて頭部に銃弾を撃ち込み射殺した。

路上に国軍兵士49遺体=武装組織が集団処刑か-イラク

そして今回の日本人拉致。

彼らはインターネット上で、
拉致のビデオ映像をアップロードできるようにしており、
その中に日本にサーバがある、
無料のアップロードサイトが入っている。

400字で斬る国際情勢ニュース:
 ザルカウィ派と日本人拉致


よほど日本の事情に精通してるのか、
あるいは日本人に協力者がいるんだろうね。
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by misaki80sw | 2004-10-29 00:09 | 中東関連・対テロ戦争
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「石油プログラム」悪用、仏露中へ不正資金
 米政府のイラク大量破壊兵器報告書


 米国政府がこのほど発表したイラクの
 大量破壊兵器に関する報告書は、
 フセイン政権が一九九〇年代から
 米国主導の攻撃を受ける二〇〇三年三月まで
 国連の「石油食糧交換プログラム」の悪用など
 石油を使って得た約百十億ドルの不正資金を
 国連幹部や安保理常任理事国のフランス、ロシア、
 中国の官民への影響力行使のほか、
 大量破壊兵器開発準備や通常兵器購入に
 使っていた証拠を提示した。
 イラク攻撃を阻止するためのこの買収工作が
 フランスなどの攻撃反対を強めた効用は否定できず、
 イラク開戦をめぐる国際対立の実態に
 新たな光を当てたといえる。

 「イラク大量破壊兵器に関する、
 CIA(中央情報局)長官特別補佐官の包括的報告書」は
 主眼を大量破壊兵器の備蓄の調査としているが、
 全体約一千ページのうち三百ページほどは
 「政権の財政と調達」とされ、
 フセイン政権が国連の経済制裁の下で石油を密輸したり、
 国連の「石油食糧交換プログラム」を悪用して、
 不正に資金を調達し、自国への攻撃の阻止や
 兵器の調達の工作に費やした実態を詳述している。

 九六年末に始まった同プログラムは
 イラクの石油の一定量の輸出を認め、
 その代金でイラク国民の食糧や
 医薬品を買うという趣旨だったが、
 石油の売り手の選択はイラク側に一任され、
 売買の内容を国連側が監督することもなかった。

   (産経新聞)


けっこう長文のニュースなので
興味ある方は元記事をどうぞ。


このニュースに関して
2つの見方が出来ると思う。

1つは、10月6日に発表されたこの報告書が
「結局、イラクに大量破壊兵器は無かったんだ!」と
米国のイラク戦争の正当性を疑わせる結果となったため、
当初からイラク戦争賛成派だった産経新聞が、
「いや、この報告書には
他にも重要なことが書いてあるんだよ」と、
その一つとして「イラクの石油プログラム悪用」に
焦点を当てたということ。

まあ、実際に報告書の趣旨をかいつまんで言うと、

1,イラクに大量破壊兵器は無かった
2,だが、大量破壊兵器を備える意志を持ち、
  そのために様々な手段を行使していた。

この二本立てなんだよね。

日本の報道は「1」の部分のみを
クローズアップしがちだったから、
別に私はイラク戦争賛成派じゃないけど、
公正を欠くのであえて書いときます。

そしてもう1つの観点は、
戦争反対国だった仏露中も、
別に、米の不義を追求する、
白馬の騎士じゃなかったということだね。
彼らにしてもこういうドロドロした裏面があったわけで、
日本の報道は、こういう側面を
もっと言わないと片手落ちだと思う。

「イラクの石油プログラム悪用」と
国連の腐敗・仏露中の不正に関しては
まあ、前々から言い尽くされてきたことで、
すでにイラク戦争前からニュースになっており、
今さら新味のあるネタではない。

米軍がバクダットに侵攻した時に
真っ先にイラク石油省の建物を押さえたのは、
単に石油関係の資料を確保するためだけではなく、
この「石油プログラム悪用」の動かぬ証拠を
握ってやろうとの意図があったと言われている。


私は、米国によるイラク侵攻の動機は
様々な意図が複合してると思ってるけど、
その中で最大の要因は、
「イラクが石油の決済をドルからユーロに切り替えたこと」
これに尽きるんじゃないかな。

2000年11月、イラクは突如として
原油取引をドル建てからユーロ建てに切り換えた。
このユーロ建て石油輸出は他国にも波及し、
イランやベネズエラにも広がっていった。
これは米国にとって大きな衝撃だったと思う。
ヨーロッパ諸国を統合して誕生したEUは
将来的に米国の大きなライバルになると見られていたし、
実際に仏独などはその意志を明確にしていたからね。

原油確保のために各国はドルを必要とし、
米国向けに財・サービスを輸出してドルを調達する。
そのドルは米国債などの購入を通じて米国に投資される。

こうやってドルを環流させることによって
製造業の衰退した米経済はなんとか成り立っている。
いわばドル循環帝国。
これが米国の現状であり、同時に弱点でもある。

サダムフセインに明確な戦略意志があったのか、
それとも単なる嫌がらせだったのか、
彼は石油の決済をユーロ建てにすることで
米国の虎の尾を踏んでしまった。
ここに戦争開戦の大きな要因があったと思う。


あらら、ニュースの趣旨から
完璧に話しがそれちゃいました。
スンマセン (^_^;)



大量破壊兵器なかった 米イラク調査団
 最終報告書、脅威の存在は認める


石油・食糧交換プログラム 欧州企業代表が証言
 「構造的な欠陥あった」


米国を震え上がらせるイラク原油のユーロ建て輸出

イラク侵攻とドル暴落の潜在危機
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by misaki80sw | 2004-10-16 19:01 | 中東関連・対テロ戦争
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私の愛読メルマガ、
「400字で斬る国際情勢ニュース」の10月13日号に
興味深い記事が載っていた。

以下、半分ぐらい転載します。


テロリスト007

 パキスタン治安当局が7月12日、
 国際テロ組織アルカイダのコンピュータ専門家、
 モハメド・ナイーム・ヌール・ハーン
 (Muhammad Naeem Noor Khan、別名アブ・タルハ)を逮捕、
 そのコンピュータの交信記録から、パキスタン、英国などで、
 アルカイダ関係者合計100人近くが一網打尽となり、
 米国のテロ警戒警報引き上げにもつながった。
 この絡みで取り沙汰されるのが"Irhabi007" だ。

 "Irhabi"とはアラビア語でテロリストの意味だ。
 要するに「テロリスト007」というハンドル名、
 もしくはニックネームである。
 米国内の地域教育機関や成人教育機関の誰でもが
 使用可能なコンピュータもしくはサーバを経由して、
 アルカイダやパレスチナ系ヨルダン人テロリスト、
 ザルカウィのテログループの
 宣伝を行っている正体不明の人物だ。
 個人か複数の人間かも不明。

 自分のハンドル名をわざわざテロリストとし、
 それに007を付け加えるあたりは、相当ふざけた人物だ。
 米アーカンソー州高速輸送局のサーバに侵入し、
 そこに残されたアルカイダ宣伝文と同様のものを、
 あちこちにポストしまくっている。
 同高速輸送局のサーバ侵入犯が
 "Irhabi007"なのかどうかは不明だが、
 少なくともアラビア語を母国語とする、
 堪能なハッカーであることは間違いない。

   (400字で斬る国際情勢ニュース)


「テロリスト007」というハッカーの暗躍。
とても興味深く読みました。

アルカイダがネットを巧妙に使っていることは
前々からいろんなニュースで聞いていた。
彼らにしてみればこんな便利なツール、
利用しない手は無いというわけだろう。

遠隔地への情報の伝達、仲間との打ち合わせ、
また自団体の宣伝・広報手段としてのネット。

イラクで外国人を捕まえ斬首して、
その映像をネットに流すことまでやっている。
嫌な言い方だけど現代版の「晒し首」。
昔の戦国大名たちと同じ発想。

アルカイダ以外のテロ組織も
それぞれにネットにサイトをもうけ、
宣伝活動を熱心に行っている。

主なものを上げると、

◇パレスチナ解放人民戦線(PFLP)
◇レバノン:ヒズボラ
◇コロンビア:コロンビア革命軍(FARC)
◇インド:タミル・イーラム解放の虎(LTTE)
◇メキシコ:サパティスタ民族解放軍(FZLN)
◇ペルー:ツパク・アマル革命運動(MRTA)
◇ドイツ赤軍政治囚
◇トルコ:クルド民主党
◇トルコ:革命的人民解放党
◇イギリス:IRA
◇ペルー:センデロルミノソ

だいたいこんな感じ。

これに対して米国などは
「エシュロン」というインターネット監視組織を
英豪加などと連携して作っていることはよく知られている。

エシュロンはおもに、
米国家安全保障局(NSA)と英国の諜報機関GCHQが連携し、
カナダの「通信安全機構」、
オーストラリアの「通信防衛理事会」、
ニュージーランドの「政府通信安全局」などに協力を求め、
世界中のネット情報を収集している。
まさにネット世界のアングロサクソン同盟だね。

たとえば青森県三沢の
米軍基地内にもNSAの出先基地があり、
極東方面のネット情報を傍受している。
ちなみに一番上に掲載している画像はNSAのマークね。

これにテロリスト側も
ネット上では画像に秘密メッセージを埋め込んだりして、
米英などの検索を避けようとしている。

ネットという情報の大海で
この瞬間にも、テロリストと各国諜報部の
熾烈な情報戦が展開されている。



メルマガ:400字で斬る国際情勢ニュース


西日本新聞ワードボックス:エシュロン

エシュロンとNSA

テロ組織の情報戦略に活用されるウェブ

監視ネットワーク『エシュロン』を監視する

画像に埋め込まれた秘密メッセージは検出困難?

教科書に書いてない国際政治学:
 インターネットとテロリズム

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by misaki80sw | 2004-10-15 00:43 | 中東関連・対テロ戦争

カメラ付き携帯NGのサウジ、密輸摘発に躍起

 カメラ付き携帯電話の販売を禁じているサウジアラビアで、
 国外からの流入阻止に躍起の税関当局が、
 密輸を摘発した職員に賞金を出すことを決めた。

 イスラム教の厳格な宗派が支配的な同国では、
 偶像崇拝につながるとして
 写真を問題視する雰囲気が強いが、
 カメラ付き携帯の密輸品は人気が高い。

 密輸への罰金は1台につき、
 1000リヤル(約2万9000円)と高額。
 しかし、靴下に挟んで入国しようとしたり、
 車のバンパーの中に180台も隠したり、
 密輸する側もあの手この手。(カイロ共同)

   (ZAKZAK)


へ~、サウジってカメラ付き携帯は禁止なんだね。
サウジに行く日本人旅行客なんか、
大量に空港で没収されるんじゃないの?

早速「サウジ 写真 偶像崇拝」でグーグルで検索してみると、
いろんなページが引っかかった。
ニュース中にもあるように
「人物撮影」自体が問題視されてるみたいね。
風景とかは大丈夫みたい。

実際、ジェトロ(日本貿易振興機構)のサイトの
「サウジアラビアでのビジネスマナー」なんてのを見ると、

 写真撮影は原則禁止で、特にサウジ女性を撮るのはご法度。
 官庁の建物内はすべて禁煙である。
 アルコール・風俗関係・偶像崇拝につながるものは
 持ち込み厳禁。
 CD・FD・DVDの持ち込みも
 トラブルの元になるので往意が必要だ。

と、書いてある。
CD・DVDも駄目なんだね。

発想の原点は「偶像崇拝禁止」で、

◇肖像を残す
◇肖像を飾る

という感覚を嫌がるみたい。

これだと日本の芸能界のアイドルみたいなのは、
イスラム社会だと悪そのものなんだろう。
実際、アイドルの訳って「偶像」だもんね(笑)。

ただ、同じイスラムでも違いがあって、
サウジアラビアはイスラムの中でも
厳格に教義を信奉するワッハーブ派の影響の強い国。

逆に、イランなどのシーア派の国は
基本的は偶像崇拝に寛容な傾向があるとのこと。
ここらへん、対立するスンナ派から非難されているらしい。

米軍侵攻前にアフガンを統治していたタリバン政権は、
この点を相当厳格にやっていたらしく、
撮影自体が全面的に禁止されていたとのこと。

まあ、こういうところはお国柄だね。

ちなみに偶像崇拝の禁止ということで、
サウジではポケモンは禁止になってるそうだ。
ポケモンが偶像崇拝?
う~ん、ピカチューは崇拝の対象なのか?
そういう風に見えるのかなあ (^_^;


ジェトロセンサー2003年7月号
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by misaki80sw | 2004-09-11 19:49 | 中東関連・対テロ戦争