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by misaki80sw

カテゴリ:その他諸国・国連( 37 )

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プーチン“紅衛兵”6万人集め旗揚げ、野党勢力を敵視

 ロシアで、プーチン大統領への忠誠を誓う、
 官製青少年組織「ナーシ(友軍)」が本格始動した。

 厳格な規律を保ち、
 ほぼすべての左右野党勢力を敵視するこの組織を、
 一部メディアは、文化大革命期の中国の大衆運動に例え、
 クレムリンの“紅衛兵”と呼ぶ。

 「ナーシ」は先月15日、全国30支部から、
 高校生ら約6万人のメンバーをモスクワに集めて
 “旗揚げ興行”の街頭行動を決行、
 圧倒的な動員力を誇示した。
 イズベスチヤ紙によると、
 さらに総帥ワシリー・ヤケメンコ連邦委員らは
 先月30日、クレムリンで
 プーチン大統領との異例の接見を許され、
 大統領自身が後見人であることを示した。

 「ファシズムからの祖国防衛」と不可解な目標を掲げ、
 極左「国民ボリシェビキ党」から、
 民主派の日系女性政治家イリーナ・ハカマダ氏まで、
 ほぼすべての反大統領勢力を敵視する。
 20歳以下の青少年が主体だが、総員数など詳細は不明。

 一部で既に
 「クレムリンの紅衛兵」の呼び名を付けられた。
 だが、紅衛兵運動が当時の毛沢東を崇拝する学生の間で
 自発的に広がったのに対し、
 こちらは、ウラジスラフ・スルコフ大統領府副長官が
 ひそかに作り上げた官製組織だ。

 狙いの一つは、グルジアなど
 旧ソ連圏で民衆蜂起による体制交代が相次いだ状況を踏まえ、
 ロシアで同様事態が起こった時に、
 「ナーシ」を「政権側デモ隊」としてぶつけ、
 反政府蜂起をつぶす点にある模様だ。

 消息筋は、「批判能力を持たない若年の“紅衛兵”で
 権力を守ろうとしている」と読む。

   (読売新聞)


今日は、プーチン政権の動きを中心に
ロシアと中央アジア情勢について書きます。
キーワードは「謀略」。
「謀略」つながりで話しを進めていきます。

さて、上記ニュースですが、
なんとも強烈ですよね~
ロシア版紅衛兵「ナーシ」。
これがいかなる組織であるか、
検索をかけてみたけど全く不明。
実態がいまいちわからない。

ニュースによるとこの組織を作ったのは
ロシア大統領府副長官のウラジスラフ・スルコフ。
大統領府内の序列は上から4番目。

プーチンの側近は
エリツィンから引き継いだ、
新興財閥を背景とするグループと、
旧KGB人脈の2派に分かれる。

現在、プーチン政権の大統領府副長官は2人いて、
イーゴリ・セチンとウラジスラフ・スルコフで
セチンは旧KGB人脈で
「シロビキ」と呼ばれる軍・治安関係派閥の代表格。
ウラジスラフ・スルコフは
エリツィン政権から引き継いだ人材。

ロシア:大統領府を大幅に改変

このウラジスラフ・スルコフは
政権与党である「統一ロシア」の発起人の一人であり、
主にプーチン政権の選挙・議会対策など
国内対策を職務としている。
いわば政権の権力維持担当の補佐官である。

その彼が創設した「ナーシ」。
ここまで言えばこの組織が何に使われるか
理解できると思います。
そうです、権力維持の道具です。
プーチンが大好きな謀略の道具。
紅衛兵?
紅衛兵であり、ヒットラーユーゲント。
あるいはナチスの突撃隊。

過日、ロシア全土で吹き荒れた恩典廃止反対デモ。
ロシア政府が旧ソ連時代の各種恩典を
現金支給に切り替えたことをきっかけに
今年の初頭からデモや集会がロシア全土で頻発。
野党勢力が政府不信任案を提出する事態に発展、
プーチン政権はこれにより窮地に陥った。

ロシア、全土で恩典廃止抗議の25万人デモ・現政権最大

しかし、プーチンは
この反政府運動を切り崩していく。

プーチンは恩典制度廃止の方針を変えず、
恩典に代わる現金支給制度の予算を地方に移管することにより、
地方政府を抗議運動の矢面に立たせた。
混乱拡大を恐れる地方政府は
公共交通の無料乗車制度を復活させ、
年金生活者らの運賃を大幅に割り引くことを決定した。

が、地方政府予算はすでに決定しており、
これら緊急の費用負担を現行予算だけで賄うことはできない。
このため各地の地方首長は、
エリツィン時代からため込んでいる「裏金」を
恩典復活のための緊急支出に充て当座をしのいだ。

ソ連崩壊後、支持率が低迷するエリツィン前大統領は、
地方首長の支持を得る代償として、
地方政府の権限を大幅に拡大させた。
地方首長は警察幹部の任免権なども握り、
「小皇帝」と称されるほどの権勢を誇り、
中央からの統制を形骸化させた。

これに対しプーチンは就任後、
地方首長が上院議員を兼任し国政に影響を与える制度を廃止し、
さらに大統領連邦管区制などの中央集権化政策を推し進め、
地方首長の封じ込めに動いてきた。

彼は恩典廃止に対する抗議運動を利用し、
地方首長がため込んできた「裏金」を吐き出させ、
その力を大幅に削ぐことに成功した。

さらに、当初は
年金生活者がほとんどだった恩典廃止に対する抗議集会に、
徐々に若者らの参加が目立つようになっていった。

これらの若者は揃って

 「オリガルヒ(新興財閥)と、
 政府内にいるその手先を一掃しよう」

とのプラカードを掲げていた。

これもプーチンの謀略であり、
彼は与党「統一ロシア」の青年組織を動員し、
抗議運動の矛先を新興財閥に向けさせようとした。

恩典廃止に対する抗議デモの反政府エネルギーを、
地方首長と新興財閥に対する攻撃に転化し、
その隠然たる影響力を削ごうとする。
嗚呼プーチン、お見事ですな。

上記ニュースの「ナーシ」は
この手のプーチン流謀略の
道具として使われていくのだろうね。


さて、ロシア国外に目を向けてみましょう。
国内では神業の如き威力を発揮しているプーチンの謀略術も
国外では連戦連敗の有様。

今、ロシアの友好国家群が
次々と米国の謀略により親ロシアから脱落しつつある。
グルジア、ウクライナ、キルギス。
この経緯は以前に書きました。

激動のウクライナ情勢:その陰には・・・。

キルギス革命とロシアの憂鬱・・米民主化謀略戦。

さらには先日、
ウズベキスタンでも反政府暴動が勃発、
ウズベキスタン政府はこれを武力弾圧し、
数百人の死者が出た。

無差別発砲を正当化 ウズベク暴動で大統領

この背後にも米国がいたかは不明だけど、
一連の民衆革命が、
ロシアの与党たる中央アジアの独裁国家群を揺るがしている。

最初に革命が起きたグルジアでは
今、次々にロシアの影響力が排除されつつある。
5月30日、ロシアのラブロフ外相と
グルジアのズラビシビリ外相がモスクワで会談し、
グルジア領内に残るロシア軍が
2008年中に撤退を完了することで合意した。

グルジアからのロシア軍撤退、2008年中で合意

この撤退に関しては、
グルジアが再三要望していたにもかかわらず、
ロシアは「費用が無い」などと
無茶苦茶な理由で撤退を拒んでいた。

これに怒ったグルジアが
ロシア軍将兵のグルジア国内での移動制限を行い、
ロシア軍基地を孤立化させるぞ、と脅したため、
やむなくロシアも撤退に同意した。

かつてのロシアならこうも簡単に同意しないだろうね。
「お前が撤退費用を払え」とか
あれこれ難癖をつけるでしょうね。
でも、今のグルジアの背後には米国がいる。
ロシアもこれ以上のいちゃもんは無理と
諦めて撤退を決意した。

さらにウクライナ。
革命に成功したユーシェンコ政権は
EUとNATO加盟に向けて着々と布石を打ちつつある。

現在のウクライナのバックには
米国とEUがついており、
ここにもロシアは手出しができない。
なんせ、ユーシェンコ大統領自身の奥さんが
実は元米政府職員。
シカゴで生まれ、シカゴ大学大学院を卒業後、
レーガン政権下のホワイトハウスや国務省に勤務した。

91年にソ連が解体すると、彼女は米政府を去り、
民間団体「米・ウクライナ基金」の指導者になった。
この組織はウクライナの民主化や市場経済移行を促進する機関で、
米国務省やCIAなどから資金供与を受けていた。

その後、ユーシェンコ氏と結婚。
で、先日のウクライナ革命でユーシェンコは
米国などの西側諸国の支援を受けて大統領になった。

ここらへんの米国の謀略の手口は
先日の記事にも書きましたが、
いかにもあからさまなのが笑える。

次にキルギス。
ここも米国発の民衆革命が成功したが、
今、キルギスは非常に困難な立場にある。
革命が成功したのはいいが、
その余波でイスラム急進派が勢力を伸ばし、
さらに隣国のウズベキスタンでも
イスラム急進派と政権が激突し、
難民が流入、非常に不安定な状態に置かれている。

キルギスの首都ビシケクには米軍の基地がある。
しかし、在留米軍の規模は小さく、
このイスラム急進派と共に戦ってくれるわけではない。
革命を支援した米国だが、
そこまでの面倒は見てくれない。

窮したキルギスは、
「上海協力機構(SCO)」に泣きついた。

「上海協力機構」は
ロシア・中国・中央アジア諸国の六ヶ国からなる、
政治・軍事・経済の協力機構。
イスラム急進派の排除は
上海協力機構の組織目的の一つ。

ウズベキスタン暴動・・上海シックスの衝撃!

キルギス政府は上海協力機構に出兵と駐留を要請した。
キルギス共和国のバキエフ大統領代行は25日、
「ウズベキスタンの反政府暴動で生まれた大量の難民が
キルギス南部に流入しているため、
上海協力機構の加盟国の部隊による駐留に
同意する用意がある」と表明した。

これに対して中国は
現在、出兵を検討しているとのこと。

中国軍、キルギス駐留検討 独立運動の国内波及阻む

中国としては、米国による革命謀略や
イスラム急進派勢力の浸透を防ぐため、
これを受ける可能性は高いと思うね。
実現すれば人民解放軍の外国駐留は初めてとなり、
中国の中央アジアでの権威は増すでしょう。

一方のロシアは出兵するか?
これに関しては報道が伝わってこないので
何とも言えないけど、
中国が出せば、バランス上、さらに沽券上、
ロシアも出さざるを得ないでしょう。

ロシアにしてみれば
米国の謀略で次々と勢力圏を浸食され、
なんだかんだ言いつつ、
中国が漁夫の利を得るのは実にくだらない。
彼らも対抗上、軍を出すことになるんじゃないかな。


さて、「謀略」をキーワードに
プーチン政権をめぐる、
ロシア国内と国外の情勢を見てきました。

国内ではヒットラーユーゲント顔負けの
青少年団体「ナーシ」を組織し、
そのKGB譲りの謀略術で
着々と権力強化の道を歩むプーチン。
この調子でいけば、数年後には終身大統領、
さらには「執政官」などという名の
皇帝もどきになりかねない。

しかし、国外に目を転じれば
ロシアの柔らかい脇腹である中央アジアに
米国の剣が突きつけられ、
さらにイスラム急進勢力の浸透と
中国の覇権拡張に頭を悩ます。

私は中央アジアでは
謀略の時期は過ぎ去ったと思う。
ウズベキスタンの暴動と武力鎮圧、
さらには上海協力機構軍の出兵と駐留で、
軍事力が事を決する時期が来たと思う。

ロシアや中国にしてみれば
米国の謀略に自らも謀略で抗しようとしても
米国の資金や情報力、
さらには民主主義と自由主義経済の理念には勝てず、
「軍事」という手段で対抗するしかない。

中央アジアでの謀略の季節は終わり、
軍事の季節がやってきた。



在ロシア日本国大使館サイト

ユーラシア新世紀:ユシチェンコ夫人にCIAの影

世界日報サポートセンター:
 ロシア地方首長らの裏金の行き先とは?



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キルギス革命とロシアの憂鬱・・米民主化謀略戦。
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by misaki80sw | 2005-06-07 00:49 | その他諸国・国連
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EU憲法、フランス国民がノン

 欧州連合(EU)憲法の是非をめぐって
 29日に行われたフランスの国民投票は即日開票の結果、
 賛成45%、反対55%の大差で憲法批准を否決した。

 同憲法の否決はEUで初めて。
 EU憲法は全加盟国が批准しないと発効しないため、
 憲法は見直しまたは破棄に追い込まれる可能性もある。

 過去半世紀、
 欧州統合をドイツとともにけん引したフランスが
 国民投票で同憲法を否決した影響は大きく、
 欧州統合の停滞でEUは政治危機に直面することになった。

 30日未明(日本時間同日朝)に
 内務省が発表した最終集計結果(確定)によると、
 賛成は45・13%、反対は54・87%。

 今回の国民投票では、
 憲法の内容自体より、EUの行方が問題になり、
 投票率はマーストリヒト条約をめぐる国民投票、
 (1992年9月、70・51%)と
 同程度の69・74%に達した。

 有権者は、国際競争力向上のための構造改革で、
 社会福祉制度の質が低下することを恐れたうえ、
 EU拡大で中・東欧諸国からの安い労働力が流入すれば、
 現在10%超の失業率がさらに高まる、と懸念。
 特に工場労働者や農業関係者らが多数、反対に回った。

   (読売新聞)


フランスでEU憲法否決。

これにはEU統合派の面々はショック大きいだろうね。
なんせフランスはEUの先駆けにあたる、
EUSU(欧州石炭鉄鋼共同体)の頃から、
欧州統合の牽引車として統合を引っ張ってきた存在。
そのフランス国民が否定しようとは・・。

EU=欧州連合 (European Union) は
欧州統合の中心的な役割を果たしている超国家機構。

加盟国は25ヶ国。
アイルランド、イギリス、イタリア、オーストリア、
オランダ、ギリシア、スウェーデン、スペイン、
デンマーク、ドイツ、フィンランド、フランス、ベルギー、
ポルトガル、ルクセンブルク、エストニア、キプロス、
スロバキア、スロベニア、チェコ、ハンガリー、
ポーランド、マルタ、ラトビア、リトアニア。

設立に至る経緯は以下。

◇1951年:欧州石炭鉄鋼共同体 (EUSC)
        ↓
◇1958年:欧州経済共同体 (EEU)
        ↓
◇1967年:欧州共同体 (EC)
        ↓
◇1992年:欧州連合 (EU) *マーストリヒト条約

この流れで拡大してきた。

その組織構成は、

◆欧州理事会(加盟国首脳会議):最高意志決定機関

◆欧州議会:立法

◆欧州委員会:行政

◆欧州裁判所:司法


さて、今回否決されたEUの新憲法。
そもそも、どういう内容なのか?

その骨子をあげておくと、

◇欧州理事会の政策決定方式の変更

◇ヨーロッパ大統領と外相を常時設置。

◇欧州議会に一定の立法権を与える。

◇EUと加盟各国の主権の範囲を規定

◇ヨーロッパ市民基本権憲章を付記。

この5つ。

それぞれ細かく解説します。

<欧州理事会の政策決定方式の変更>

欧州理事会ってのは
EU加盟各国首脳による会議。
EUの最高意思決定機関。

ここで、EUの
外交・軍事・司法・財務・教育等の
政策を決定する。

ここは今まで全会一致で物事を決定してきた。
しかし、EU憲法では
「二重多数決方式」と言うものに変わる。

◇加盟国数の55%の賛成

◇賛成国の人口がEU総人口の65%以上

この2つをクリアしないといけない。

今、EUは25ヶ国だから
55%ってことは14ヶ国以上の賛成が必要。
さらに、この賛成各国の総人口が
EU総人口の65%以上であること。
今のEUの総人口が約4.5億人。
つまり、約3億人は必要ってこと。

この人口加味の多数決方式がミソで
大国が有利になるということ。


<ヨーロッパ大統領と外相を常時設置>

今は各国輪番制の議長のみだが、
新憲法下では大統領と外相を設置。

大統領と外相は欧州理事会の多数決により、
2年半の任期で選ばれ、1回だけ再選が可能。

大統領たって
それほどの権限があるわけではないが
対外的な顔となるし、
欧州理事会の多数決で選ばれることから
EU内の大国(仏・独・英・伊など)の影響力が増す。


<欧州議会に一定の立法権を与える>

欧州議会はEU国民の直接選挙で
選ばれた議員によって構成されている。
732議席で、任期は5年。

今までは議会に予算承認権は与えられていたものの、
政策に関しては単なる諮問機関にすぎなかった。

これが新憲法下では、立法権が与えられる。
ただし、欧州理事会の同意が必要。


<EUと加盟各国の主権の範囲を規定>

1,EUの管轄分野

  ◎ユーロ圏の通貨政策
  ◎共通通商政策、国際通商協定
  ◎関税同盟
  ◎共通漁業政策の下での海洋生物資源保護

2,EUと各国政府の共同分野

  ◎城内市場政策
  ◎自由・安全・裁判の分野
  ◎農業および漁業政策(海洋生物資源保護を除く)
  ◎運輸政策、汎欧州ネットワーク
  ◎エネルギー政策
  ◎社会政策
  ◎経済・社会・地域結束政策
  ◎環境保護政策
  ◎消費者保護政策
  ◎公衆衛生

3,EUが各国の政策の支援、調整、
  補足的な活動を行う分野

  ◎産業政策
  ◎健康保護・増進政策
  ◎教育、職業訓練、青少年保護、スポーツ
  ◎文化
  ◎市民保護


<ヨーロッパ市民基本権憲章を付記>

新憲法では、ヨーロッパ市民の基本的人権を定めた。
刑事上の適正な手続き、死刑の廃止、
プライバシー権、知的財産権の保護など。


ざっとこんなもんでしょうか。

まあ、見て分かると思うけど
この新憲法は、

 「一層の統合を深めましょうね!」

 「大国主導で運営するよ!」

という2つが眼目。

今、EUは25ヶ国に増えてしまって、
その意志決定に、いちいち全会一致でやってたら
それこそ決まるものも決まらない。

これに危機感を感じた仏・独あたりが
新憲法の制定に動いたわけだけど、
肝心のフランス国民がこれを拒否したわけね。

この後、オランダ・イギリス・チェコ、
さらにポーランドで国民投票が行われる。
ここらへんも要注目だけど、
この新憲法草案は、仮に拒否されたとしても
別に廃案になるわけではなく、
そういう規定があるわけではない。

一部を軽く修正した上で
シラクさんあたりが来年に
「もういっぺん投票やりましょう」と言っても
別段、法的には何の問題もないわけで
たぶん彼は、ほとぼりが冷めた頃に
また再投票をしようと思ってるだろうね。


さて、取りあえず、統合化の流れが
いったん頓挫してしまったEUですが、
今度は国際情勢の観点から見てみましょう。

まず、EU自体は統合が遅れるか、
あるいはこのまま中途半端な状態で固定してしまうか、
どっちかだね。

仏での国民投票による否決だけでなく、
隣国のドイツでは、シラク大統領と二人三脚で
EU統合を進めてきたシュレーダー首相が、
今、支持率が急落し、政権存亡の危機に襲われている。
これなんかもEU統合へのマイナス要因となるでしょう。

意外に、各国の国民にとって統合ってのは
国家主権制限への危機意識が強いみたいね。

私は、EUと各国のエネルギーの方向性からすると、
分裂するか中途半端に固定する可能性が半分だと思うし、、
これ以上の統合が進捗するならば
かなり中央集権的な超国家が現出すると予想します。

結局ね、各国の主権意識が強いわけです。
だから失敗する可能性も高いし、
逆に統合化に進むならば
この主権意識や各国の利害を統制しないといけなくなるから、
極端な中央集権国家が出来上がると思うよ。
案外、戦慄の強権ヨーロッパが
誕生するような気がします。

次に各国の思惑ですが、
米国とロシアはニヤリ、中国ガッカリ、
ってとこでしょうか。

米国は、EU統合化に伴い、
欧州に対して自分のコントロールが
効きづらくなることを恐れている。
イラク戦争あたりから独仏がでかい顔してるのも
このEUをバックにしてるわけで
EUの拡大・統合は米国にとってはマイナス。
さらにドルの基軸通貨の座を
ユーロに取られかねないとう恐れもあるもんね。

ロシアは自分の版図であった東欧やCIS諸国が
次々とEUに加盟していき、
自分の勢力圏が浸食されていくのを恐れている。
ロシアは自分が一方の雄だと思ってるからね。
他人の軍門に下るという発想はない。

中国は、EUの台頭により米国を牽制し、
世界を多極化の方向に持って行こうと思ってたわけで、
今回の投票結果はショックだったでしょう。
ことに武器と宇宙では
この両者は盟友の関係ですから。

EU、対中武器輸出解禁の動き・・仏独枢軸と日米台。

中国、EU「ガリレオ計画」に参入・・天空の欧中同盟。

では、日本はどうか?
う~ん、難しいですね。
米国の衰退に備えて
ユーロという一時避難場所があることは望ましいけど、
EUがあんまり強力になるのも困る。
ことにEUの中枢たる仏独は
中国と密接な関係にあるわけで、
今回の投票は痛し痒しといったとこでしょうか。



欧州連合 - Wikipedia

外務省サイト:欧州連合

駐日欧州委員会代表部

EU(欧州連合)の基礎知識:All About

EU憲法草案と「小国」の懸念:
国際貿易投資研究所


EU憲法:日本国際問題研究所

ニュースにみる21世紀のヨーロッパ:
 EU憲法案の全貌



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EU、中国への武器輸出を解除へ・・「雄藩」の台頭。
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イラク戦争の様々な観点:大量破壊兵器とユーロ建て決済
中国、EU「ガリレオ計画」に参入・・天空の欧中同盟。

「ベルリンの壁復活を望む」・・ドイツ、東西統合の蹉跌
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by misaki80sw | 2005-05-31 00:08 | その他諸国・国連
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無差別発砲を正当化 ウズベク暴動で大統領

 ウズベキスタンのカリモフ大統領は14日、
 記者会見し、東部アンディジャンの反政府暴動について、
 流血回避を目指し反政府勢力と交渉したが決裂、
 武力行使はやむを得ない措置だったと
 無差別発砲を正当化した。
 
 また、カリモフ政権の弾圧を恐れる数千人の避難民が
 キルギスとの国境に集結、1000人以上が越境した。
 混乱は隣国にも拡大する様相を見せている。
 
 避難民は
 キルギス南部オシ州との国境の町イリイチェフスクで、
 地元行政幹部を人質に取り、集会を開催。
 国境の川を渡るため以前に破壊された橋の修復を進めた。
 
 アンディジャン中心部では14日、
 市民数千人が再び集結。
 犠牲者の遺体を並べて政権への抗議の意思を表明した。
 市内での銃撃戦は同日朝までに終息した。

   (共同通信)


ウズベキスタン情勢は13日から
もの凄い急展開を見せている。

もともとこの事件の発端自体は
11日に市民団体が不法逮捕者の釈放を求めて
アンディジャン市の市庁舎前に座り込みを始めたのが始まりだが、
遠い中央アジアのことなので
日本のマスコミは北朝鮮と中国に忙しくて
ほとんど伝えなかった。

だから13日からいきなり、

 イスラム急進派の刑務所襲撃
      ↓
 市民5万人が市庁舎を占拠
      ↓
 治安部隊の突入と発砲
      ↓
 死者・犠牲者が多数
      ↓
 避難民がキルギス国境に殺到

これらのニュースが連鎖のように飛び込んできて
私なんか目が白黒。
「ええっ、何がどうなってんだよ!」って感じ。

もともとウズベキスタンは
カリモフ大統領の独裁長期政権で知られてきた。
この国は旧ソ連邦時代からの
旧共産党の党組織や官僚機構がほぼそのまま存続し、
共産党は「人民民主党」と名前を変えただけ。
強権政治のスタイルを継承している。

また、カリモフ政権は
イスラム急進派の弾圧でも有名で、
かねてより欧米諸国は、
この国のイスラム勢力に対する人権弾圧を非難してきた。

このウズベキスタン自体も
イスラム教スンニ派が優勢な国なのだが
アラブ諸国のようなイスラム教=国教ではなく
あくまでも世俗政党が国権を握るという図式になっている。
これは周辺諸国のキルギスやカザフスタンなども同じ。

旧ソ連時代の宗教抑圧政策で、
イスラム教の影響力は弱まり、
ソ連崩壊の時点では
これらの諸国ではコーランすら売られておらず、
サウジとイランが大量にコーランを寄付した経緯がある。


さて、この事件は
これから終息するのか、
拡大するのかは分からないけど、
その背景にあるものを観察してみましょう。

まず、カリモフ大統領としては
反政府暴動が起こった時に
彼の頭に想起したのは、
グルジア・ウクライナ・キルギスと続いた、
一連の旧ソ連諸国での革命劇でしょうね。

これについては前にも書きましたが、

キルギス革命とロシアの憂鬱・・米民主化謀略戦。

米国の謀略が背後にあることで知られている。

特にキルギスで革命が起きた後は、
ウズベキスタンを含む中央アジア諸国は
皆、疑心暗鬼に陥った。
明日は我が身か、と。

キルギス政変 周辺「独裁」国家に危機感

もともとウズベキスタンは
ロシアの影響力を薄めることが国策の一つとなっており、
米国のアフガン攻撃以来、
米軍が同国内に駐留するのを認めている。

ところが同じ米軍が駐留するキルギスでも
米国が糸を引く政変が勃発。
米軍の駐留許可程度では
米国様は許してくれないことが明らかになった。

今回のウズベキスタンの暴動に
米国が絡んでいるか否かは
今のところは情報が少なくて、なんと言えない。

また、米国発の陰謀路線とは別に
中央アジア諸国はイスラム急進派の勢力拡張に怯えている。

もともとこれらの諸国では
アフガニスタンのタリバン政権とアルカイダから
国内のイスラム反政府勢力への援助が行われ、
政権側と戦いを繰り広げていた。

ところが、米軍のアフガン侵攻で
タリバンとアルカイダが政権から追われたため、
ようやく一息つくことが出来た。

このイスラム急進勢力の封じ込めのために
中央アジア諸国がロシア・中国と結成したのが、
俗に言う「上海シックス」、
正式名称を「上海協力機構」という国際機関。

上海協力機構は
中央アジアにおける加盟各国間の
政治的安定、軍事協力、経済協力を行うことを
謳っている。

その結成への過程を書くと、

◇1996年4月

 ロシア・中国・カザフスタン・キルギスタン、
 そしてタジキスタンの5カ国は上海で首脳会談を開催し、
 各国国境地域における敵対的行動の禁止、
 軍事演習の頻度・規模の制限などを主眼とした、
 「国境地帯における軍事分野での
 信頼強化関する協定」を締結した。

 当時、これらの五ヶ国は
 通称「上海ファイブ」と呼ばれた。

◇1997年、モスクワでの会合

 「国境地帯の兵力削減に関する協定」を締結。

◇1998年、アルマトゥイでの会合

 域内各国の分離独立運動、民族的・宗教的急進派、
 テロ活動に一致して反対することで各国が合意。

◇2000年、ドシャンベでの会合

 五ヶ国以外にウズベキスタンのカリモフ大統領が
 始めてオブザーバーとして参加。

◇2001年4月、六ヶ国の外相会談

 上海ファイブへのウズベキスタンの加盟が承認された。
 これで通称「上海シックス」となった。

◇2001年6月

 上海シックスは、
 常設機関「上海協力機構(SCO)」を
 発足させることで合意。
 あわせて、テロ活動、分裂主義、宗教過激派の
 取り締まりに関する「上海条約」に調印した。

◇2002年6月、ペテルブルクでの会合。

 加盟六ヶ国首脳が「上海協力機構憲章」に調印。
 事務局を北京に置き、
 キルギスに地域反テロ機構総本部を設置することを採択。

◇2003年5月、モスクワでの会合

 反テロ協調や国連重視をうたった共同声明に調印。
 正式の国際機関への格上げを最終的に決定。
 そのために必要な意思決定機関や予算などの規定を承認し、
 初代事務局長に張徳広・駐露中国大使を任命。

 ウズベキスタンを除く5カ国は、
 反テロ合同軍事演習の実施に関する覚書に調印。

◇2003年8月

 上海協力機構による初の多国間合同反テロ軍事演習が
 カザフスタン東部の中国国境付近で行われた。
 参加将兵は千人以上。

◇2003年9月、北京での会合

 経済貿易協力や機構の機能強化を盛り込んだ文書を採択。
 域内の貿易、投資環境の改善などを盛り込んだ、
 「多国間経貿綱要」など一連の合意文書に調印した。

◇2004年6月、タシケントでの会合

 「タシケント宣言」に調印。
 タシケントに常設の「地域テロ対策機構」を設置。


まあ、こんな流れです。

見ていて、この六ヶ国が矢継ぎ早に会合を重ね、
着々と機構強化の布石を打っているのが分かるでしょう。

この上海協力機構の目的は、

1,経済協力

2,軍事協力

3,イスラム急進勢力の拡張防止

この3点にある。

特に加盟国の共通の利害となっているのが
イスラム急進勢力への対抗処置で、
上海協力機構とは何か?と問われるならば、
「イスラム対策」と単純に答えていいと思う。

ただし、加盟国には
それぞれの思惑の違いや温度差があり、
たとえばウズベキスタンは
イスラム急進派対策では一致しているものの、
これ以上の地域でのロシアの影響力増大を好まず
加盟国間の軍事協力に関しては消極的だし、
ロシアに対する牽制材料として
中国をダシに使ってる部分がある。

中国に関して特に書いておくと、
彼らが上海協力機構を熱心に進めている理由は、

◇国内のイスラム系独立運動対策
 
◇中央アジアのエネルギー資源確保

この2つ。

まず、「イスラム系独立運動対策」ですが
これは新彊ウィグル自治区での
「東トルキスタン独立運動組織」の弾圧。

カザフスタンには
東トルキスタン独立運動の秘密基地があったが
中国は上海協力機構を通じてカザフスタンの協力を得て、
独立運動の運動家達をあぶり出してきた。
現在、多くの「東トルキスタン独立運動組織」は
中央アジアを追われ、イスタンブールなどに逃れている。

次に「エネルギー資源確保」ですが、
これも中国は猛烈な勢いで進めている。

カザフスタン第二の油田の「ウゼン」。
ここで中国は、米国系石油メジャー数社と油田開発権を争ったが、
最終的に中国が入札に成功した。

このウゼン油田からは、
三千キロのパイプラインを敷設して中国西北部へ運ぶ予定。
しかも、このパイプラインを将来的には
韓国と日本まで延長する構想とか。

これ以外に中国は
カザフのアキチュビンスク油田もおさえ、
現時点でカザフスタンから鉄道輸送で
毎日9万5千バーレルの石油が中国へ輸出されている。


さて、この上海協力機構だが、
現在、瓦解か否かの瀬戸際に追い込まれている。
それは米国による一連の民主化革命で
キルギスがあっさりと陥落してしまったこと。
これに加盟各国は衝撃を受けた。

キルギス革命には米国が援助した市民団体の他に、
キルギス南部のイスラム急進派勢力が絡んでいるが、
地域の安定と各国独裁政権の相互安定、
そしてイスラム勢力の封じ込めを狙った上海協力機構が、
もろに負けたかっこうとなった。

中央アジア諸国やロシアのショック状態は
先日、記事に書きましたが、

キルギス革命とロシアの憂鬱・・米民主化謀略戦。

中国も大きな衝撃を受けている。

中国はキルギスとは直通道路が繋がっており、
キルギスでの金鉱利権を得ていた。
ちなみにキルギスのGDPの40%は金の産出で得ている。

そして中国は上海経済協力機構を通じて
キルギスへの経済援助を行っており、
02年8月には97万ドルの武器援助を実行している。

さらにキルギス政府は中国との国境地帯のうち
367平方マイルを中国に売却割譲した。
このスキャンダルはアカエフ政権の特権乱用と批判された。
また、タジキスタンも
中国へ国境の386平方マイルの土地を売却している。

この、ここ数年に渡る、
中国の中央アジアへの投資と勢力浸透が、
米国の民主革命構成と地域の不安定化によって
ふいになる可能性が出てきている。

そして今回のウズベキスタンの暴動事件。
中国は慌てただろうね。


私としては、この地域の政情と
上海協力機構が今後どうなるのか見物だと思ってるけど、
ここでシビアな言い方をさせてもらえば、
この地域の混乱は、
中国とロシアの裏庭の不安定化となり、
特に中国と対峙し始めている日本にとっては
国益的にプラスだと思う。

日本としては、
東アジア方面、台湾・東シナ海・朝鮮半島などを
中国が主攻方面と見なし、
ここに政治力・軍事力を投入している現状は好ましくない。

彼らの裏庭に当たる中央アジアの不安定化は
まさしく日本の利益となる。
こちらで中国がエネルギーを消耗することが
日本としては望ましい。



日本で報道されないアジアの動向(1)
 上海協力機構と中央アジア・新疆ウイグル自治区・その1


宮崎正弘の国際ニュース・早読み:
 中国からみた「新グレート・ゲーム」とは?


ジェトロ:加速する経済協力強化の動き
 経済的相互補完を目指す上海協力機構


現代中国事典:上海協力機構

外務省サイト:
 ウズベキスタン共和国(Republic of Uzbekistan)



娘通信♪関連過去記事
キルギス革命とロシアの憂鬱・・米民主化謀略戦。
激動のウクライナ情勢:その陰には・・・。
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by misaki80sw | 2005-05-15 16:50 | その他諸国・国連
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キルギスで革命が起き、アカエフ大統領は逃亡、
バキエフ氏が暫定大統領の地位についた。
俗に「チューリップ革命」と呼ばれる。

これで、旧ソ連を構成していた諸国のうち、
グルジア・ウクライナ・キルギスの三連続革命。
パターンは全て一緒。

◇大統領選挙又は議会選挙
     ↓
◇与党・体制側の勝利
     ↓
◇「選挙に不正があった!」と野党が怒る。
     ↓
◇革命劇の勃発
     ↓
◇大統領の敗北・退陣
     ↓
◇野党は歓喜の嵐

全く同じ。
笑っちゃうぐらい同じです。

すでにグルジア・ウクライナの革命劇に関しては
背後に米国がいたことが公然の秘密となっています。

この米国の手法に関しては
以前、記事にしました。

激動のウクライナ情勢:その陰には・・・。

現地の米国大使館が糸を引き、
さらの投機家ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団が、
反政府団体に資金援助を行う。

「体制転覆」の手法に関しては、
グルジア・ウクライナの経験を経て洗練されたものとなり、
ワンパッケージで反政府派に教え込む。

組織の作り方、政府の告発の仕方、
反政府デモの仕方、等々等。
「体制転覆法」を大量生産とマニュアル形式で
各国の反体制派の皆さまにお届けする。
いかにも米国じみたやり方。

さて、このキルギス革命ですが、
当初は米国は関与してないとされていた。
首都ビシケクのマナス空港には米軍基地が置かれ、
米軍のアフガン侵攻の際には
ここが支援基地として使われた。
米国はキルギスへのイスラム過激派の浸透を懸念しており、
アカエフ政権を後援していると見られていた。
ところが、ところが・・。

キルギス革命から2週間後、
一つのニュースが流れてきた。

米NGOが政変介入 キルギス前大統領

 政変でモスクワ郊外に逃れた、
 中央アジア・キルギスのアカエフ前大統領は6日、
 共同通信との電話インタビューに答え、
 キルギスの政権崩壊は、米国の非政府組織(NGO)の
 介入によって引き起こされた「権力の強奪」だったと批判した。
 
 また今回の政変は「暴力」を用いた点で、
 他の旧ソ連諸国のウクライナや
 グルジアのような「民主革命」ではないとし、
 キルギスや周辺国の政情や治安に
 一層の不安定化を招いているとの懸念を示した。
 
 アカエフ氏は政変を企てた組織として、
 民主化を求める米国のNGO、国際問題民主研究所や
 「フリーダムハウス」のほか、
 駐キルギス米国大使の名前などを挙げた。
 これらの組織が「急進野党」や「犯罪組織」などと結託し、
 議会選の何カ月も前から周到に準備して
 「権力奪取」を完遂させたと指摘した。

   (共同通信)


ああ、やっぱりな、と。

この記事は短くまとめているけど、
実はこの共同通信のインタビューには
「ソロス財団も関与していた」と
アカエフ氏は発言している。

結局、キルギス革命に関与した米民間団体は、

◇ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団

◇フリーダムハウス

◇国家民主研究所(NDI)

◇国際共和研究所(IRI)

の4つ。

ソロスの財団については過去記事で詳しく書いた。

激動のウクライナ情勢:その陰には・・・。

では、それ以外の3つの団体は何か?
これは以下の産経の記事が詳しい。

キルギス 米NPOが支援 政変実現させる

 キルギスのアカエフ政権を崩壊に追いこんだ政変をめぐり、
 米国の民間非営利団体(NPO)による、
 キルギスの独立系メディアへの支援などの
 民主化促進活動が実を結び、
 政変につながったとの見方が米国で強まっている。
 
 米NPOフリーダム・ハウス(本部ワシントン)は
 二〇〇三年十一月から、キルギスで
 「プリンティング・プレス・プロジェクト」を開始。
 党派性のない独立系新聞を支援する、
 「メディア・サポート・センター基金」を創設し、
 新聞発行業務の支援や
 海外の民主化の動きなどの情報提供を続けてきた。
 
 フリーダム・ハウスのほかにも、
 NPOである「国家民主研究所(NDI)」や
 「国際共和研究所(IRI)」などが、
 キルギスで衛星放送による米CNNテレビの視聴や
 インターネット利用の普及のほか、
 民主的なメディアや政党創設活動などを支援している。
 
 こうした活動は、
 旧ソ連圏各国の民主化促進を支援を目的とした、
 一九九二年の「自由支援法」に基づいて、
 米国家予算から捻出(ねんしゅつ)されている。
 国務省の国際開発局(USAID)を通じて、
 キルギスでの米各NPOの活動のために組まれた予算は、
 二〇〇五会計年度で総額三千三百万ドルに上る。
 
 米NPOによる一連の活動について、
 キルギスで「民衆革命」を起こした指導者の一人は、
 米紙ニューヨーク・タイムズに
 「米国のNPOの援助がなければ、
 行動を起こすのは絶対に不可能だった」と話した。
 
   (産経新聞)


というわけなんですね。

米国、バリバリにやってくれます。
政府は一切関与せず、軍隊も動かさず、
民間団体を資金援助することで
グルジア、ウクライナ、
そしてキルギスに革命を起こしてしまった。
ここらへんのやり方は非常にスマートですな。
謀略の教科書と言っていいぐらいです。

まあ、もっとも
上記の「民間団体」とやらが
本当に純然たる民間の団体なのか?
私は疑問に思ってるけどね。
おそらく米政府のダミー機関か、
半官半民のような
官の息がかかった組織だと思うよ。


この革命劇、この現実を前にして
他の旧ソ連邦諸国は一様に疑心暗鬼に陥っている。
なにしろ、どの国も建前は民主国家である以上、
一応、選挙というものがあるわけで
その期日が近づくにつれて
各国の独裁者どもは心臓バクバク状態。

たとえばウズベキスタンでは、当局によって
米国の非営利組織が首都タシケントで運営する通信社、
「インターニュース」が無許可活動の罪で起訴され、
銀行口座が凍結された。

さらにカザフスタンでは
今年末か来年早々に行われる大統領選をにらみ、
野党勢力と連動する可能性が高い、
イスラム原理主義組織「ヒズブ・タハリール(解放党)」が
危険分子として非合法化された。

<ウズベキスタン>米系通信社起訴
 米の民主化介入警戒か


キルギス政変 周辺「独裁」国家に危機感

野党支持者と警官隊が衝突 ベラルーシ首都
 ロシア周辺諸国騒乱警戒



さて、この一連の動きに焦っているのがロシア。

頼みのCIS(独立国家共同体)諸国が
米国の謀略により次々と親米へと剥がれ落ちていく。
この露骨なまでの「反露包囲網」の形成。
嗚呼、なんてこったい。

グルジア、ウクライナ、キルギス以外にも
ロシアの、一の子分だったモルドバも親欧米路線を強めている。
モルドバの独裁者ヴォローニン大統領は
米国にやられるのは嫌だと先手を打って親米に傾いた。

これに対してロシア下院では
愛国派を中心に不満が高まっており、
モルドバに対し、農産物の輸入停止や
モルドバ人移民の国外退去措置などを柱とする、
経済制裁を実施するよう政府に公式に要求した。

実はこのモルドバでは
3月に大統領選挙が行われたのだが、
この「米国への忠誠表明」によって革命は起きなかった。
ここらへん米国も露骨だよね。

モルドバ総選挙 親欧米の与党・共産党勝利
 露さらに孤立化


特派員モスクワ見聞録:
 小さなワインの国に700人の外国メディアが集結!


で、笑っちゃうのが
革命が起こった際の名称まですでに用意されていたこと。

グルジアはバラ革命。
ウクライナはオレンジ革命。
キルギスはチューリップ革命。
で、モルドバに用意されていたのが「グレープ革命」。

同国がブドウの産地だからとのこと。
米国人は植物や果実がお好きなようで(笑)。

さてさて、ロシアはCIS諸国をつなぎ止めようと必死で、
たとえばウクライナに対して
あの手この手の圧力をかけている。

エネルギー資源に乏しいウクライナは
石油や天然ガスなどをロシアに依存しているが、
ソ連崩壊後、経済が低迷する中で、
国内を通過し欧州に向かうパイプラインから
多くの天然ガスを無断で流用し、
巨額の対ロ債務を抱えてしまった。

ロシアはこの債務とエネルギー問題を背景に
ウクライナに圧力を加え、
かの国のEUとNATO加盟を阻止しようとしている。

そのロシア自体が
今、米国の民主化謀略戦に怯えている。
外堀を埋められただけじゃなくて、
今度は自国、内堀も埋められそうな勢いというわけ。

ロシアは現在、原油価格の高騰により、
一頃の経済危機は脱しつつある。
しかし、経済の弱体は相変わらずであり、
プーチン政権の、無料の交通費や医療費などの恩恵廃止もあり、
政権への不満や不信感が高まっている。

2005年2月、
旧ソ連時代以来の恩典制度を廃止し、
少数の現金支給に切り替えた改革に抗議する集会やデモが
ロシア全土で一斉におこなわれた。
ロシア内務省によると約200の市や町で約25万人が参加し、
プーチン大統領退陣などを要求、
プーチン政権発足後、最大規模の抗議行動となった。

露全土25万人集会 年金生活者ら恩典廃止に抗議

露指導層は分裂状態
 大統領府長官 一致団結呼びかけ


そのロシアで先頃、
衝撃的なニュースが政権を直撃した。

「将校の8割、反プーチン」露紙報道、政権に衝撃

 13日付露有力紙「独立新聞」は、
 今年1月に露軍内で行われ、
 秘密扱いとなっている将校対象の調査結果を入手、
 80%以上がプーチン政権の社会保障改革に
 反対していることがわかった、と報じた。

 グルジア、ウクライナ、キルギスで起きた、
 民衆蜂起による政権転覆が
 ロシアでも起きる可能性を懸念している同政権は、
 体制維持の最後の盾というべき軍の反発に
 衝撃を受けている模様だ。

 同紙によると、
 国内の暴動鎮圧などにあたる内務省軍将校の90%が
 生活水準に不満を抱いている、
 との調査結果もあるという。

   (読売新聞)


これはただごとじゃないね。
ああいう独裁もどきの中央集権国家においては
軍の忠誠は体制維持の必須要素。
プーチン氏の悩みは当分続きそう。


CIS諸国とロシアの現状を書いてきましたが、
これを見て痛感させられるのは、
所詮、国家は国力が全てだな、と。

ロシア周辺の諸国が
親露から親米へと鞍替えしていくのも
弱体化したロシアに見切りをつけたことが大きい。
もし、ロシアが旧ソ連の頃のような強大な力を保持していれば、
米国もああも無造作に
ロシア近隣をかき回すことなど不可能だったろう。

所詮、国家は国力が全て。
シビアなようだけどそれが国際社会の現実。



娘通信♪関連過去記事
激動のウクライナ情勢:その陰には・・・。
EU、中国への武器輸出を解除へ・・「雄藩」の台頭。
中国、ロシアと緊密化・・西方をかため、東方に進む。
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by misaki80sw | 2005-04-17 22:38 | その他諸国・国連
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2000年10月、
バチカンのローマ法王庁が「列聖」式を行い、
過去の中国における殉教者120人を「聖人」に列ねた。

これに中国政府は猛反発、

外交部、バチカンの「列聖」に強い抗議声明を発表

この120人は
過去、カトリックの布教のため
中国で亡くなった人たちだが、
その大半が「義和団の乱」で殺された人たち。

義和団事変 - Wikipedia

現在、中国では義和団の乱は
「反帝国主義の民衆闘争」として高く評価されている。
その中で「欧米帝国主義の手先」として殺された人々を
バチカンが聖人と認定したため、中国が怒ったわけ。

さらに10月1日は、
中国の建国記念日「国慶節」の日で、
バチカンがこの日にわざと「列聖式」をぶつけてきたため、
中国が怒ったという図式。

実はその年の初頭には中国が
当局公認のカトリック団体「天主教愛国会」の
新司教の任命を一方的に行って
バチカンが不快感を表明していた。

中国には「天主教愛国会」と「天主教主教団」という、
2つのカトリック団体があり、共に当局公認の団体。
両団体ともバチカンのローマ法王庁を認めておらず、
逆にバチカンも両団体を「贋物」として公認していない。

両団体とも司教は事実上中国政府による任命で
当局の完全なコントロール下に置かれている。
中国には両団体に属さない、
法王に忠誠を誓う非公認の地下教会が存在しており、
500万の信徒を抱えているとされている。
彼らは中国当局の迫害の中で信仰を守り通し、
中国国内での民主化運動の
一方のエネルギーとなっている。

2004年6月、
この地下教会の司教が
中国当局に逮捕され消息不明となり、
バチカンは中国の信教の自由への迫害・人権侵害を非難した。

今回のヨハネ・パウロ2世の死去に際して
次期法王を選出する選挙(コンクラーベ)が行われるが、
バチカンに集まりつつある世界中の百数十名の枢機卿のうち、
たった一人のみが地域名が明らかにされてない。
この一名が中国の地下教会の枢機卿らしい。

さて、この両国だが、
現在、国交は断絶状態にあり、
バチカンは台湾と国交を結んでいる。

ヨハネ・パウロ2世の葬儀においても
台湾の陳水扁総統が参列することについて
中国はバチカンを非難し、
葬儀に代表を派遣しないことを表明した。

台湾総統の参列を非難=中国、代表派遣せず
 ローマ法王葬儀


この犬猿の間柄の両国。
中国という無神論・唯物論の世界最大の人口国家と、
バチカン市国という精神界の巨人国家。
この対比がなんともいえず興味深いが、
ここにきて両国が和解するというニュースが流れている。


バチカン 「台湾との断交方針決定」
 香港主教「中国との関係改善」


 香港主要紙は五日、
 カトリック香港教区の陳日君主教の発言として、
 バチカン市国が中国との関係改善に向けて、
 外交関係を維持してきた台湾と断交する方針を
 「決定している」と伝えた。
 
 主教発言について、中国外務省の秦剛報道官は五日、
 「関係の報道を注視している」と述べ、
 バチカンとの関係改善に意欲を表明した。
 
 中国はこれまで、
 欧州で唯一台湾を外交承認するバチカンとの
 関係切り崩しを図る一方、
 ローマ法王の支配から隔絶してきた中国国内の
 カトリック教徒に法王の影響力が及ぶことを強く警戒してきた。
 ヨハネ・パウロ二世の在位期間中にも
 中国との間で水面下接触が伝えられてきただけに、
 今回の発言内容の行方が注目される。

   (産経新聞)


果たしてこのニュースは真実か、ガセネタか?

中国が国交正常化で突きつける条件は

1,台湾との断交

2,宗教問題を含む中国内政への不干渉

この2つ。

果たしてバチカンがこれをのむか?

バチカンにとってみれば、中国とは未開拓の市場。
ここと関係を正常化するメリットは大きい。

まあ、今後の展開は
新しく即位する新法王の方針次第なんでしょうが、
ここらへんは互いに駆け引きだと思うよ。

中国は、バチカンを台湾と断交させ、
「内政不干渉」を認めさせることで、
地下教会の5百万の信徒も含め、
これ以上の宗教勢力の浸透と影響力拡大を阻止したい。

一方のバチカンは、
逆に中国と関係を正常化することによって、
内側から中国に浸透し、現体制を食い破り、
最終的には無神論国家の転覆を目論んでるでしょう。

バチカンの発想は、
かつてローマ帝国を内側から乗っ取り、
キリスト教を国教化させてしまった先例が
念頭にあると思うね。



中国カトリック団体、法王死去で弔電
 断絶状態のバチカンへ


バチカン市国(State of the City of Vatican)

世界キリスト教情報


娘通信♪関連過去記事
ローマ法王死去・・ソ連を脅かした反共の総本山。
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by misaki80sw | 2005-04-07 21:33 | その他諸国・国連
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ローマ法王が死去、東西冷戦終えんに貢献

 東西冷戦の終えんに重要な役割を果たし、
 宗教間の和解に努めたローマ法王ヨハネ・パウロ2世
 (本名カロル・ボイチワ)が2日午後9時37分、
 バチカン市国内の居室で死去した。
 84歳だった。

 3月31日夜に泌尿器系の感染症で高熱を出し、
 その治療中に心臓発作を起こして以来、
 重篤な状態が続いていた。
 後任の法王は、近く開かれる法王選出会議
 (コンクラーベ)で選ばれる。

 ポーランド生まれのヨハネ・パウロ2世は、
 前法王ヨハネ・パウロ1世の急死により
 1978年10月に58歳の若さで264代法王に選ばれた。

 イタリア人でない法王の誕生は455年ぶりで、
 スラブ民族としては初だった。

 就任直後から、
 祖国ポーランドでの民主化運動を精神的に支え、
 東欧諸国で共産主義政権が次々と崩壊する後押しをした。

 また、104回の外遊をこなし、
 「空飛ぶ聖座」と呼ばれ「法王外交」を展開した。
 81年には訪日している。
 米国によるイラク攻撃に強く反対するなど、
 国際政治舞台で発言を続けた。

 ヨハネ・パウロ2世は、社会問題では保守を貫き、
 同性間の結婚、人工妊娠中絶や、
 神父の結婚には反対し続けた。
 このため、ローマ法王庁内には
 「先進国の若者のカトリック離れを食い止められない」
 との批判もくすぶった。

   (読売新聞)


法王の死去。

亡くなられた当日に
こんなもの書いていいのかどうか迷ったのですが、
日本のマスコミはほとんど伝えないので
サラリと書いておきます。
「P2事件」とバチカン銀行についてです。


1982年6月18日、
ロンドンのテムズ川にかかるブラックフライアーズ橋で、
イタリアのアンブロジアーノ銀行頭取ロベルト・カルヴィが
首をつって死んでいるのが発見された。

彼は前年にイタリア当局に
不法な資金輸出の罪で逮捕され、取り調べを受けていた。
そして国外逃亡後の不可解な自殺。

1981年、イタリア財務警察の手によって、
リチオ・ジェッリなるイタリア右翼の大物が逮捕され、
ジェッリの事務所から一通の「会員名簿」が押収された。
これがイタリアのみならず
欧州各国を震撼させた「P2事件」のはじまりである。

この「P2」とは、
「ラグラバメント・ゲリー・プロパガンダ2」の略。
秘密結社フリーメーソンのイタリア支部の会員たちが、
非公式に作ったメーソン組織。

この押収されたP2会員名簿には
イタリアの政官財を網羅する962名の人物名が載っていた。
現閣僚・政府高官をはじめ、30人の軍の将軍たち、
シークレット・サービスのチーフ、
財政検査官のトップ、判事、多くの銀行家、
テレビ会社の取締役、マフィア幹部、米CIA関係者、
さらにはバチカンの高官たち。

これは一大スキャンダルとなり、
フォルラニ内閣は総辞職に追い込まれ、
イタリア政財界、そしてバチカンに根を張った、
P2の人脈と不法行為が次々と暴露されていった。

アンブロジアーノ銀行頭取ロベルト・カルヴィは
このP2の財務責任者であり、
バチカン銀行の資金を不法に輸出した罪で逮捕された。

彼のアンブロジアーノ銀行は、
バチカン銀行(IOR)の庇護のもとに、
全世界の「反共産主義」の活動組織に資金を提供していた。
カルヴィは「法王の銀行家」として、
巨額の裏金を調達するヤミの顔を持っていた。

彼は事件について黙秘し続けた。
そして国外逃亡と不可解な死。
カルヴィは、ポケットの中にレンガを入れ、
15000ドルを所持した状態で首を吊っていた。
彼は8人のポデーガードを連れ、
防弾仕様のアルファロメオに乗り、
イタリア最高の警備システムを雇っていたが、
誰も彼を守る事は出来なかった。

この死が自殺だったのか、他殺だったのか、
誰かに口を塞がれたのかは未だに不明である。


東西冷戦真っ盛りの時期に
バチカンはアメリカと並ぶ反共の総本山だった。
世界のカトリック信者総数は8億5千万人。
資産3千億ドル。
ヨハネ・パウロ2世は世界各国を飛び回り、
共産主義の非道を訴えた。

その傘下のバチカン銀行は
全世界の信徒から巨額の寄付金を集め、
世界各地の反共組織に資金を流していた。
かつて、ポーランドの反政府労組「連帯」に
米CIAと共に巨額の資金援助を行っていたのは有名な話し。

ちなみに、バチカン市国はローマ市内にあるが、
イタリアの司法権が及ばない別国扱いとなっており、
バチカン銀行にはイタリアの警察も介入できない。
そのため、資金洗浄を狙ったイタリアマフィアなどが
この銀行をよく利用している。

この法王の一連の行動は
「バチカンの東方戦略」と呼ばれ、
ソ連はこれを一大脅威と捉えていた。

1981年の
ヨハネ・パウロ2世の暗殺未遂事件の背景には、
このソ連のバチカンに対する焦慮がある。

ローマ法王暗殺未遂、KGBや「東」側機関が関与?

暗殺未遂の黒幕は共産国 法王が自伝的新著で示唆


さて、バチカンとローマ法王。
このヨハネ・パウロ2世は高徳な方だったと思うけど、
日本のマスコミが訃報ニュースで伝えるような
ただの「善良な宗教家」ではない。
国際政治の激動の中で
ローマ・カトリックの理念に基づく国際戦略を展開した、
したたかな政治家の面も併せ持つ。

まあ、本当にサラリと書きましたが、
上記の陰謀史観的な事柄に興味を持つ人は、
「バチカン・ミステリー」という本や
「法王の銀行家」という映画を見ればいいと思う。

さらに「ゴッドファーザー・パート3」なんかも、
このP2事件と前法王の暗殺疑惑にヒントを得て、
コッポラ監督が作ったもの。
「バチカンの深み」を感じるには、いい作品だと思います。



バチカン・ミステリー

法王の銀行家 ロベルト・カルヴィ暗殺事件
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by misaki80sw | 2005-04-03 20:51 | その他諸国・国連
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多くのドイツ人が「ベルリンの壁」復活を望む

 土曜日に発表された調査結果によると、
 冷戦の間、東西のドイツを分けていた壁が
 撤去されてから15年以上たった今、
 およそ4分の1の旧西ドイツ人と、12%の旧東ドイツ人は、
 「ベルリンの壁」を復活させて欲しいと
 思っていることが明らかになった。

 この世論調査は、西側では生活水準が低くなり、
 東側では経済混乱が起こっている状況は、
 東西ドイツ統一がもたらした高い代償だという、
 根強い抵抗感を反映している。

 また、世論調査によれば、
 旧東ドイツ人の47%が
 「西ドイツは東ドイツを植民地かのように手に入れた」
 という表現に同意している。
 これに対して、58%の旧西ドイツ人は、
 「東側は自己憐憫に浸っている」と答えている。

   (Excite ニュース)


2004年4月、
ドイツ政府は「旧東独復興の中間決算報告」を発表した。

それによると、1990年より2003年の13年間で、
旧東独復興に使われた予算は1兆2500億ユーロ。
しかし、東独側の生産性は全く高まっておらず、
経済成長は横ばい状態。
*1ユーロは約138円。

一方の旧西独側は
毎年GDPの4%、年間約830億ユーロを
東独復興のために費やし、経済は疲弊状態にある。

ドイツの経済成長率は
ここのところ4%を下回っているため、
ドイツ全体のインフラの整備や公共投資などに
重大なしわ寄せが出始めている。
ドイツは、約435万人にもおよぶ失業者を抱えており、
旧東側の失業率18.3%で
旧西側の8.4%の2倍以上と深刻な状態である。

つまり、この報告書が言わんとしてしていることは、
 
 「旧東独復興は失敗に終わった」

と、いうこと。

この事実はドイツ国民を震撼させた。
東西それぞれの国民が衝撃を受けたが、
中でも、投資元であり、
金を一方的に払い続けた西側の住民にとっては
ショックだっただろうね。

何故、失敗したか?
1990年のドイツ統一時に話しはさかのぼる。
統一前の東西ドイツの通貨レートは
1西独マルク:6東独マルク。
公式のレートはあくまでも1:1だったが、
闇の実勢レートは1:6だった。
また、東独マルクは東独内でしか使えず、
外国に持って行けば単なる紙切れでしかなかった。

それが東西ドイツ統合時に
時のコール政権の政治的配慮から
1:1の交換レートと定められた。
東独住民達は喜んで消費し、西側の文物を買いあさった。
「紙切れ」が西独マルクと同価値となった。

また、東独住民の雇用賃金や
公的保障(生活手当・失業手当等)は
同じドイツ国民であるという建前から
生産性の低さなど関係なく、西側と同一と定められた。

◇東西マルクの通貨レートは同じ

◇雇用賃金は同じ

◇公的保障も同一。

しかし、旧東独地域の生産性は低かった
東西の生産性の格差は45%の開きがあった。

で、何が起こったか?
東独の企業は資本主義社会に組み込まれ、
生産性の低さからバタバタと潰れ、
東側では失業者が急増した。

40年間、社会主義体制下にあった東独住民は
資本主義社会特有の勤勉さやタイムマネジメント、
その種の発想に欠けていた。
かつて、国が雇用の面倒をみてくれた。
100人の仕事を千人で分かち合った。
働き者も怠け者も等しく国が面倒を見てくれた。

西独側の企業にしてみれば
何を好きこのんで東独地域に進出する必要があるのか?
西側と同一賃金・同一保証で生産性の低い東独住民を雇う。
馬鹿馬鹿しい。
これならポーランドやチェコに進出した方が
よっぽど人件費が安くていい。

かくして東側企業の倒産は相次ぎ、
西側の企業は東への進出を見送った。
残ったのは東側の失業者の山である。

本来ならば、
東西に格差をつけるべきだった。
特に東側の雇用賃金を生産性に見合った形で低く抑え、
西側企業の誘致を行うべきだった。
一国の内部に先進国地域と途上国地域が
突如として生まれた状況では
「一国二制度」が取るべき選択ではなかったのか?

結局、この統一時の経済統合の失敗が
後になって響いてくる。
彼らは建前を優先させすぎた。
あるいは経済的実情よりも政治的配慮を優先した。

「基本的人権」と「同じドイツ国民」
この理念と建前のために
全てを同一にしたことの失敗である。

2004年9月、
ドイツ大統領ホルスト・コーラーは、

 旧東独地域に対しては、西に対して
 賃金などを差別化することもやむをえない。

と発言した。
ちなみにコーラーは元経済専門家である。

この発言にドイツ国内は騒然となり、
他の政治家や新聞各紙は以下のように論評した。

 「適当でない発言」

 「思慮に欠けた発言」

 「正論を述べることと、
 正義の側につくことは同一でない」

 「政治家は何を言おうが
 どんな約束をしようが許されるが、
 ただ一つ、国民のさらされている状況が
 本当はどうなっているのかという、
 真実だけは決して述べてはならない」

つまりコーラーは
言ってはならない真実を公言してしまったわけである。
誰もが人権の名の下に目を塞いでる真実を言ってしまった。
「王様はハダカ」だと。

現在、旧東独地域から西側へ、
若年層と技術者の流出が続いている。
1991年には1810万人だった東独の人口は、
今や1700万人にまで落ち込んだ。

ドイツ政府は報告書の発表後、
東独復興政策を見直し始め、
東独にまんべんなく投入していた援助金を、
政策の成功が見込まれる経済成長地域に
重点的に投資すべきだ、という意見も出始めた。

この東西ドイツの経済統合の失敗は
多くのことを示唆してくれる。
経済的実情を無視して、
「人権」を優先させることの危うさ。
政治的配慮を優先させることの危うさ。
それは、今後にあり得るかもしれない、
朝鮮半島の南北統合にも多くのヒントを与えてくれる。

かつて、かの鉄血宰相ビスマルクは

 愚者は経験から学び、
 賢者は歴史から学ぶ

と言った。

ドイツは、この手痛い「経験」から学び、
今後の復興策を転換させるべきでしょう。
また、同一の境遇にある韓国は
この「歴史」から学ぶべきでしょう。



「ドイツは苦悩する―
 日本とあまりにも似通った問題点についての考察」
 川口マーン惠美 (著)


外務省:ドイツ連邦共和国


娘通信♪関連過去記事
ドイツ、苦悩の少数民族問題・・自由と権利の旗の下に。
ドイツと欧州、左翼思想と国家の衰弱。

「北朝鮮始末記」その3・・「開城団地」という踏み絵。
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by misaki80sw | 2005-03-28 13:24 | その他諸国・国連

国連コンゴ監視団の1人解雇、6人停職
 性的虐待疑惑


 国連の報道官は17日、コンゴ民主共和国(旧ザイール)で
 平和維持活動(PKO)にあたる、
 国連コンゴ監視団(MONUC)の要員が
 避難民の少女などに性的虐待を加えた疑惑で、
 17人の文民要員を調査し、1人を解雇、
 6人を停職にしたことを明らかにした。

 このほか1人が処分を免れるために辞職したという。

 報道官によると、6人はなお調査中で、
 残りの3人は虐待の証拠がなかった。
 処分した要員の出身国などは明らかにしていない。

 コンゴのPKOでは多くの兵士が
 少女買春などを行っていたことが判明したが、
 性的虐待は文民要員の間でも広がっていたことになる。
 虐待にかかわった比率は
 文民要員の方が高かった可能性も出てきた。

   (読売新聞)


日本人は国連というものを
なにやら神聖にして正義の味方のように捉えがち。
これは戦後教育の結果でもあり、
マスコミ論調の影響でもあり、
さらに日本人独特の「お上」意識の反映なのかもしれないけど、
それはあくまでも理念としての国連像に過ぎない。

国連といえども人の集う組織体であって、
馬鹿もいれば、阿呆もいる。
愚行もあれば、腐敗もある。
まあ、当たり前の話だわね。

私が常々思うのは、
国連って内部のチェック機関ってどうなってるんだろう?
何らかの監査組織とかあるんだろうか?
拠出金を分担する各国の存在も
一つのチェック機能になってるんだろうけど。

米国なんか国連に対して手厳しいしね。
「国連改革やらなきゃ滞納しちゃうぞ」と脅している。
実際に滞納もしょっちゅうやってるし。
あの国は国連に対して微塵も幻想を抱いてない。
単なる道具だと思っている。

上記ニュースの国連コンゴ監視団とPKO部隊の不祥事。
そういうこともありえるでしょう。
国連PKO部隊って日本人が想像してるような
整然としたものではない。
カンボジアや東ティモールに派遣された自衛隊のような、
ああいう軍紀厳正な集団とは限らない。

私の手元に一冊の本がある。
「だから、国連はなにもできない」
ソマリアなどの国連PKOについて書かれた本。
日本人の国連幻想を醒ましてくれる。

1990年代の10年間、
ソマリアでは慢性的な内戦状態が続き、
部族同士の抗争と破壊と飢餓が国を覆った。

1991年、アリ・マハディ・モハメッド大統領と
アイディード将軍の衝突に端を発した武力抗争は
ソマリア全土に波及し、国土は疲弊、
飢餓民の群は食料を求めさまよい、
死者の数は日に日に増え続けた。
赤十字やNGOが食料の供与を行なうが、
アイディード将軍派はこの食料を略奪し、
反対派への武器として使った。

1993年3月26日、
安保理決議814により、憲章第7章のもとで
第2次国連ソマリア活動部隊
(UNOSOM II)が結成され、
33ヶ国が国連に兵を提供した。

1993年10月18日。
米軍の特殊部隊が首都モガディシオにおいて
アイディード派の幹部を急襲。
しかし、作戦の失敗によりソマリア民兵の大軍に包囲され、
米兵18名が死亡、負傷者多数を出した。
いわゆる「ブラックホークダウン事件」である。

この事件の衝撃により
米軍はさっさと撤退してしまった。
しかし、国連PKO活動は継続され、
最終的には1995年3月に
「これ以上の駐留は意味なし」と全部隊が撤退した。

この本を見てて面白かったのは、
派遣各国の個々の事情である。

暴風雨のように大軍で押し寄せてきて
さんざんドンパチを繰り広げ、
ヘリが撃墜され、死傷者が出ると共に
暴風雨のように去っていった米軍。

ソマリアの旧宗主国で利権の復活をもくろむイタリア。
国連から頼まれてもいないのに派兵をねじ込み、
「押しかけPKO部隊」を派遣した。
他国の部隊とは一線を画し、現地の軍閥と癒着して、
非難轟々の中、撤退していった。

大軍を派遣し、常にゲリラの標的となり、
死傷者が続出したパキスタン軍。

米軍と共に撤退しようとし、
国連から「派遣軍司令官」の地位で
懐柔されてしまったトルコ軍。

そんな中でも私が驚いたのは、
「こんな国が!」というような国が部隊を派遣していること。
ソマリアPKO派遣国をざっとあげておくと
米国、ドイツ、イタリア、カナダ、エジプト、
ギリシア、ナイジェリア、ネパール、マレーシア、
ルーマニア、韓国、アルゼンチン、オーストラリア、
ノルウェー、アイルランド、フランス、インド、
パキスタン、トルコ、バングラデッシュ、
ニュージーランド、インドネシア
シンバブエ、ボツワナ、ナミビア、等々等。

まさに世界中から集まった軍隊。
中には、自分とこの国の方が
PKOが必要なんじゃないかという国までが、
軍隊をソマリアに派遣していた。

これには彼らなりの切実な理由がある。
彼らは国連の崇高な使命に殉じようと
部隊を派遣してるわけではない。
世界平和につくそうと燃えてるわけでもない。

では、如何なる理由か?

◇小国なりに外交上の存在感を出すために派兵

◇国連や大国に恩を売る。

まあ、こういう意図もある。

ただ、その数倍、数十倍の理由は
国連からもらえる高額な月給が目当ての派遣。

軍隊というのは存在してるだけで金を喰う。
それ自体は全く利益を生まず、
保持してるだけで軍事費が飛んでいく。
先進国ですら痛い出費。
途上国にとってはかなりの負担となる。

そこで国連PKO。
派遣するだけで兵一人につき、
一ヶ月に千ドルの費用が支給される。

多くの途上国は
この給与をそのまま兵には渡さない。
国が一括して国連から貰い受け、
ここから多くをピンハネしたうえで兵に渡す。
この額が途上国にとって相当の利益となる。
そういうカラクリなんですよ。

さて、上記ニュースのPKO軍兵士の事件。
まあ、こういうこともありえるでしょう。
現在、世界で16件のPKOミッションが行われ、
100ヶ国から軍隊が派遣されている。
その兵士たちの大半は途上国、
中でも経済的には最貧国の部類に属する国々からやってくる。
このうちの多くは月給ほしさの派遣。
PKOという名の軍隊商売。
青いヘルメットをかぶった現代の傭兵達。

日本は米国に次いで国連拠出金第2位の国。
言わば、国連にとってみれば「大旦那」。
己の払った金がどう使われているのか、
費用対効果に見合ってるのか、
国連の聖俗入り混じった実態というものは
もう少し把握しておく必要があると思うよ。



だから、国連はなにもできない
 リンダ・ポルマン (著)


国連広報センター:国連平和維持活動

国連による平和強制:ソマリア


娘通信♪関連過去記事
国連、日独にODA増額を要求 (-_-;)
スマトラ地震援助金、国連は即金払いを希望。
日本、常任理事国入りの是非は?・・取れそうなら取っとけ。
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by misaki80sw | 2005-03-19 20:46 | その他諸国・国連
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インドネシアとマレーシア、領有権問題で緊急外相会談

 カリマンタン島沖合の石油ガス鉱区の権益を巡り、
 インドネシアとマレーシアの両国が
 領有権を主張して艦船を派遣するなど対立している問題で、
 両国政府は9日夜、ジャカルタで緊急の外相会談を開いた。

 「平和的な話し合いで解決を図る」ことで合意、
 今月下旬から事務レベルでの外交交渉に入る。

 両外相は国際法に基づいて
 領有権問題について協議することで一致。
 専門チームを発足させ、具体的な話し合いを始める。
 問題となっているのはカリマンタン島東沖にある海域。
 両国政府が領海内と主張していたが、
 2月にマレーシアが英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと
 同海域内の石油ガス鉱区の権益譲渡契約を結んだため、
 インドネシア側が反発。
 同国軍は艦船を出動させた。
 一方、マレーシア軍も監視を強化。
 両国の緊張関係が高まり、
 インドネシアでは抗議デモが相次いでいる。

   (日経新聞)


一応は沈静化に見えつつある両国の対立。
ざっと経緯を書いておきます。

問題となっているのは、
カリマンタン島東沖のセレベス海にある石油・ガス鉱区。
マレーシア領のシパダン、リギタン両島と
その周辺のアンバラット海域。
下記の地図を見てくださいね。

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対立はマレーシア国営の石油会社が2月中旬、
国際石油資本のロイヤル・ダッチ・シェル等と
鉱区の一部権益を付与する契約を結んだことがきっかけ。

もともとシバタン・リギタン両島は
マレーシア・インドネシア間で
領有権をめぐって争っていたが
2002年に国際司法裁判所の判決で
マレーシア領と認められた経緯がある。

じゃあ、マレーシア領だから
石油開発しようが何しようが
マレーシアの勝手じゃないかとなりそうなものだが、
そうはいかないのが世の中の常。

◇インドネシア:
 「裁定は領海の変更にまでは及ばない」

◇マレーシア:
 「同海域は裁定で領有権が認められた、
 2島につながる大陸棚に属し、権益譲渡は合法」

と主張は真っ二つに分かれている。

反発したインドネシア軍が艦艇4隻を現場周辺に急派、
マレーシア軍も艦艇2隻を海域に停泊させている。

事態悪化を受けてインドネシアのユドヨノ大統領は7日、
マレーシアのアブドラ首相に電話をかけ、
外相間で打開策を協議することで合意。
マレーシアのサイドハミド外相がインドネシアを訪問し、
上記ニュースの合意と相成った。

両国首脳は割合冷静なんですが、
問題は軍ですな。
ここまで緊張が高まった背景には
インドネシア軍の強硬姿勢がある。

今月7日、インドネシア軍は
「われわれは一片の領土も、
一滴の領海も外国人の手には渡さない」と強調し、
追加で艦艇3隻とF16戦闘機4機を急派した。
インドネシアは軍の力が強いからね。
特にスハルト大統領時代は、政権と軍は一体化していた。

これは単なる領土問題や資源開発問題だけじゃなくて
その背景には、2つの要因があります。

1,スハルト政権崩壊以降、東ティモールも失って
  領有権問題に神経過敏になっているインドネシア

2,出稼ぎ労働者問題により、
  両国の国民感情が対立していること。

特に2ですな。

両国は人種的には
同じマレー系を主体とする国で
言語も比較的似ている。

経済的にはマレーシアの方が一歩リードで
一人あたりのGDPは
マレーシアが約4000ドル。
インドネシアが約1000ドル。
4倍の経済的格差がある。

ただし、人口や領土の大きさは
インドネシアが圧倒的に多く、
国力的にはインドネシアの方が上であり、
そもそも同国はスカルノ大統領時代から
潜在的な「大国意識」を持っており、プライドの高い国。

しかし、経済格差というものは正直なもので、
労働力が不足しているマレーシアに
インドネシアは200万人以上の出稼ぎ労働者を送り込み、
経済的に低迷しているインドネシアにとって、
ここから得られる外貨の価値は非常に大きい。

ところが、ここ数年、
マレーシアの経済事情も悪化。
失業率も増大し、低賃金労働のインドネシア労働者の
締め出しが行われるようになった。

実は、マレーシア国内のインドネシア人労働者のうち、
その多くが不法滞在。
まあ、それを承知で雇っているマレーシア企業も悪いけど、
それやこれやを含めて
マレーシア国内での外国人犯罪は
インドネシア人が歴代トップとなっている。
なんか、こういう話しを書いてると
日本とどっかの国を連想してしまいますな(笑)。

特にマレーシア人の顰蹙をかったのが、
2002年1月の
マレーシアのヌグリスンビラン州の繊維工場で
インドネシア人労働者約500人が暴動を起こした事件。
詳細はこちらでどうぞ↓

海外労働時報:マレーシアの繊維工場で
 インドネシア人が暴動、雇用削減発表と労相謝罪


この手のインドネシア人労働者による暴動は
過去数回起きている。

マレーシア政府は、
同国内の不法滞在者の一掃を図ろうとして
昨年10月、外国人違法出稼ぎ者に対する恩赦期間を
11月14日に設定し、
それ以降の逮捕者には、禁固6月と罰金1万リンギット、
50歳以下の逮捕者にはそれに加えて
鞭打ち6回の刑を課す方針を示して帰国を促したが、
インドネシア政府が大統領選挙の実施や
準備不足を理由に延長を求めたため、12月末まで延長。
さらにスマトラ沖地震の発生で1月末までに再延長した。

逮捕者には、
禁固+罰金+鞭打ち刑というのも凄い。
ちなみにマレーシアの鞭打ち刑は悪名高く、
もともとはイギリスが植民地時代に持ち込んだ刑罰で
薬剤を滲みこませたラタン(蔦)で編んだ太い鞭で
背中を思いっきり叩くもので、
一撃されるとたいがいは失神し、
しかも一生その傷が残るといわれている。

結局、今月2日から
マレーシアは不法滞在者の一掃を開始。
警察や入管職員、ボランティア約50万人を動員して
同国内のインドネシア人も含む違法労働者の摘発に乗り出した。
これに誇り高きインドネシア国民は反発し、
さらに上記ニュースのような領土権紛争と相まって
最近、両国関係は急速に悪化した。

まあ、政治家上層部あたりは
同じASEANの友誼ってことで
事態を穏便に済ませたいんだろうけど、
問題は国民感情で、これを無視するわけにはいかない。
特に経済格差と出稼ぎ、そして不法滞在。
マレーシア国内での労使の摩擦や暴行事件は数多く、
その都度、経済的に劣位にあるインドネシア人は
屈折したものを感じている。

ところで、この両国の領土紛争だけど、
仲介者として全く日本の名前が上がってこないのは
何とも寂しい限りですな。
ASEANの枠内で解決をってことなんでしょうが、
両国共に日本の大事な友好国だし、
将来の国家戦略を見据えれば、
東南アジアの安定と、ASAN諸国との連帯は
日本の命題だと思うよ。

もし、中国あたりが仲介者として出てきて、
解決の方向に持っていったならば
日本は赤っ恥だね。
アジアの大国の名が泣くよ。



違法出稼ぎ者帰還問題:恩赦期間の延長を要請

【マレーシア】 きょう期限発表か、労働者訴追免除延長

外務省資料:マレーシア(Malaysia)

外務省資料:インドネシア共和国(Republic of Indonesia)
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by misaki80sw | 2005-03-14 21:43 | その他諸国・国連
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EU、中国への武器売却の禁止措置を解除する方針

 2月22日、フランスのシラク大統領は、
 欧州連合(EU)が中国への武器売却の禁止措置を
 解除する方針であることを明らかにした。
 EU首脳会議に先立ち、
 ブッシュ米大統領と会談した後に記者会見したもの。

 シラク大統領は、「中国に関しては、
 EUは対中関係の最後の障害物を取り除くつもりだ」と語り、
 中国の民主化運動鎮圧後の
 1989年に発動された武器売却禁止措置は、
 もはや正当化できないと指摘した。

   (ロイター)


これが何を意味してるか?
単なる中国の軍事力増大や、
武器売却の商売の枠内で捉えるべきではないと思う。

歴史でたとえるならば、
幕末の「雄藩の台頭」。
これと構図が同じですな。
つまり、米国中心の秩序にガタが来て、
雄藩が台頭してるということ。
世界と歴史を大局的な観点で捉えるならば、
そういうこと。

まあ、EUや中国を
維新の志士を輩出した薩長にたとえるのは
ちょっと忸怩たる気持ちもありますが(笑)。

◇米国の国力の低下

◇EUの台頭

◇中国の台頭

米国の秩序がもっとカッチリしたものならば、
こういう事象は起きえないでしょう。
少なくとも冷戦期にはあり得なかったこと。

また、この武器解除の中心役である仏と独。
さらに当事者の中国。
ここらへんは自らを世界活劇の「プレーヤー」として、
米国の国力を削ぐことを明確に意図している。
あと、ロシアなんかもそうだね。

冷戦期の二極世界の単純な枠組みは崩壊した。
従来の発想で世界を捉えれば判断を過つでしょう。



米大統領、EUによる中国への軍事技術移転に
 強い懸念表明


娘通信♪関連過去記事
EU、対中武器輸出解禁の動き・・仏独枢軸と日米台。
イラク戦争の様々な観点:大量破壊兵器とユーロ建て決済
中国、EU「ガリレオ計画」に参入・・天空の欧中同盟。
日本、対中武器輸出に「反対!」・・外交転換記念日。
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by misaki80sw | 2005-02-24 21:35 | その他諸国・国連