韓国、ウラン濃縮実験問題(その2)・・マスコミは仕事しろ!
2004年 09月 05日
☆ウラン濃縮実験、韓国政府の関与焦点に
韓国科学技術省の関連施設が
2000年1―2月に極少量のウラン濃縮実験をしていた問題が
国際社会に波紋を広げている。
韓国政府は3日、釈明の記者会見をしたが、
政府の関与、国際原子力機関(IAEA)規定との
関連をめぐり疑問点も残る。
IAEA査察チームは4 日まで韓国で調査するが、
結果次第では北朝鮮核問題に関する6カ国協議に影響する恐れもある。
韓国外交通商省高官は3日の会見で、
政府傘下の韓国原子力研究所の科学者が
ガドリニウム、タリウム、サマリウムといった他の物質の
分離実験をした際にウラン濃縮も実施したと指摘。
0.2グラムの濃縮ウランを得たと説明。
(1)実験に政府は関与せず科学者らが独断で実施した
(2)韓国は核拡散防止条約(NPT)を順守する
(3)実験を隠した事実はない―と強調した。
(日経ネット)
ああ、すっかり深夜になってしまった。
この問題を追いかけてると
時間があっという間に経っていく。
というわけで「その2」です。
昨日から今日に至る流れをざっと箇条書きにすると、
◎韓国政府の反応
発表は同じ内容。
知らぬ存ぜぬ、政府は関与せぬの繰り返し。
◇一部科学者の実験の過程で起きたこと
◇国家として関与していない。
◇拡散防止条約(NPT)に違反していない。
だけど報道によっては内容は二転三転。
◇【ウラン濃縮実験】政府「科学者が好奇心で抽出」
↓
◇韓国ウラン濃縮、「一度だけ実験許可」 所長が証言
↓
◇ウラン濃縮実験は3回前後 韓国原研所長が言明
韓国政府、案外慌ててるかも。
ふてぶてしく構えながらも
内心はけっこうビビリまくってるのかな。
◎韓国マスコミ
強気、強気。
なんであそこまで強気なんだか分からないなあ。
◇【社説】ウラン濃縮実験、大騒ぎすることではない
(中央日報)
◇レーザー・ウラン濃縮法は申告の対象外
(中央日報)
◇「韓国のウラン濃縮自主公表、NPT順守の典範」
(中央日報)
◇政府、「高濃縮ウラン分離実験」波紋を注視
(朝鮮日報)
◇【ウラン濃縮実験】政府「科学者が好奇心で抽出」
(朝鮮日報)
◇韓国のウラン濃縮実験、IAEA総会では不問の見通し
(朝鮮日報)
◇韓国のウラン濃縮実験、国際社会に微妙な波紋
(東亜日報)
ざっと、こんな感じ。
「大騒ぎすることではない」「微妙な波紋」
「不問の見通し」「NPT順守の典範」
官民挙げて沈静化に走り回ってるような印象。
いや、単に事態の深刻さが分かってないのか?
外国から国が非難されたら、
普段は政府と仲の悪いマスコミも
総力を挙げて政府を庇おうとする。
愛国精神の権化だね。
◎米国政府の反応
気まずいだろうね。
イラク・イラン・北朝鮮を「悪の枢軸」と罵ったら、
同盟国の一国が、
兵器レベルのウラン濃縮実験をやってたんだから。
◇韓国のウラン濃縮、米が不快感
(読売新聞)
◇米が韓国ウラン濃縮調査 技術転用を懸念
(共同通信)
◇韓国のウラン分離実験を批判、自主申告は評価・米国務省
(日経新聞)
◇ブッシュ氏、「同盟国」で韓国触れず
(東亜日報)
イラクで泥沼にはまり、北朝鮮と敵対している米国は、
韓国を必要以上に追いつめる気は無いんじゃないかな?
最近、北寄りの姿勢が目立っていた韓国に
これを機会にお灸をすえる程度でしょう。
◎日本政府の反応
「遺憾」「遺憾」
こればっかり。
あと「IAEAにお任せ」とかさ。
◇韓国のウラン濃縮実験、日本政府が遺憾表明
(朝鮮日報)
◇外務大臣会見記録(平成16年9月)
(外務省)
特に「日本政府が遺憾を表明」のニュース、
これ、ヤフーで探したけど
日本のマスコミのニュースからはなかなか見つからなかった。
やっと朝鮮日報の記事が引っかかった程度。
私の探し方がまずいのか?
外相順子ちゃんの記者会見は、もう論評する気無し。
「韓国とIAEAの問題」
これが結論だそうな。
◎日本のマスコミ
今回は異常ですよ。
問題の重要性に比べて、あまりにも触れなさすぎる。
ネット経由はまだそれなりにニュースになってるが、
テレビの報道がほとんど無いのは異常と言っていい。
これって、冬ソナ効果ですか(笑)。
特に産経などは最初は強気だったのに、
◇韓国でウラン分離実験 IAEAが調査団派遣
(産経新聞)
なんか、だんだん尻すぼみに・・・
◇「核兵器開発の意図なし」 ウラン濃縮で韓国
(産経新聞)
ニュースの大半がロシアのテロ事件ばっかりで、
まあ、あれは大変なことだとは思うけど、
大局的な視野に立つなら、
こっちの方がよっぽど重要な問題でしょ。
テレビ局はほとんどこの件を無視。
あんたら、事の軽重も分からないわけ?
「玄界灘漁船沈没事件」のように
無視して抹殺するつもりじゃないでしょうね?
「民家にクマが立て籠もり」な~んてニュースを
面白おかしくやってる暇があったら、
もっとこの問題を取り上げなさいよ。
ね、フジテレビさん?
さて、今日も資料を載せておきます。
天然ウランには、
核分裂性のウラン235が0・7%しか含まれていないため、
核兵器製造に利用するには濃度を高める必要がある。
原発では3―5%程度の低濃縮ウラン、
核兵器では90%以上の高濃縮ウランが使われる。
(西日本新聞:「ウラン濃縮とは」)
今回の韓国のウラン濃縮は80%以上の濃度。
明らかに原発のエネルギーとしてではなく、
核兵器としての利用を目論んでいたことが分かる。
あと、もう一つ資料を。
専門家、韓国の説明に疑念 ウラン「偶然に濃縮できない」
韓国が国際原子力機関(IAEA)に事前申告せずに
高濃縮ウランを生産していた問題は、
日本の原子力研究者や核不拡散の専門家にも波紋を呼んでいる。
韓国政府は、同国西部大田の韓国原子力研究所で
原子レーザー法によるガドリニウムなどの物質の濃縮研究を行い、
その過程で0.2グラムのウラン濃縮を実施していたと説明している。
レーザー濃縮に詳しい研究者は、
「ガドリニウムは原発用のウラン燃料に混ぜると
燃料の寿命を延ばすことが出来ることから、
濃縮の研究対象とすること自体は不自然ではない。
ただ、ガドリニウムとウランでは、そもそも原料が違うわけで、
研究過程で偶然にウラン濃縮が出来ることはない」という。
核不拡散の専門家は、
「少数の科学者らが自主的に行った」という韓国政府の説明
に疑念を持つ。
「約80%という兵器級の高濃縮ウランは、
厳格な研究計画なしには無理だ。
純粋な研究ではない。
『少量なら発覚しないだろう』と思っていたのでは」と指摘した上で、
「核開発を進める北朝鮮への対抗か、
高濃縮技術を開発したいという科学者の意図のいずれかがあった」
と推測する。
(読売新聞 2004/09/04 朝刊 7面)
取りあえず、今日はここまで。
明日、「その3」を載っけます!
*FEPC-原子力発電の基礎知識
*原子力百科事典 ATOMICA