ライブドア社長、進取と饒舌と野心と。
2004年 07月 02日
☆ライブドア堀江社長、「球界全体を相手に戦う覚悟」
「会見でも開かないと、
球団買収の正式オファーすらさせてもらえない」
ライブドアの堀江貴文社長は6月30日、
都内で開いた会見で大阪近鉄バファローズ買収提案の経緯を説明した。
同社は近畿日本鉄道に対して、2月から球団の買収提案を行ってきたが、
まともに取り合ってもらえなかったという。
堀江社長は「球団運営が十分可能な会社の買収提案を無視するのは、
新規参入の阻害だ」と、プロ野球界の閉鎖性を批判した。
(ITmediaニュース)
ライブドア。
私はこの会社が旧名「オン・ザ・エッヂ」といったころから
注目している。
その後、無料接続プロバイダー「ライブドア」の経営が傾くと
即座にこれを買収し傘下に収め、
リンドウズOSの発売、DVDレンタル「ポスレン」の買収、
イーバンクとの泥仕合、ライブドアBlogの開始、
オペラ日本販売権を巡るトランスウエアとの確執、
そして今回の近鉄買収騒動。
ああ、なんちゅう興味深き会社だろう。
そのギラギラした野心と、飽くなき買収戦略。
拡張に次ぐ拡張と、頻発する他社とのトラブル。
これほどウォッチャーの耳目をそばだてる存在も珍しい。
試みに「ライブドア」のサイトを覗いてみるといい。
赤を基調とした進取と積極性に溢れるデザイン。
血潮の如き配色は同社の性格と運命を暗示するかのよう。
この堀江貴文社長は弱冠31歳。
昭和47年10月、福岡県生まれ。
東京大学文学部在籍中に
有限会社「オン・ザ・エッヂ」を設立した。
WEBサイトの制作から始まった同社は次々と事業を拡大させ、
12年に東証マザーズに上場。
その後、積極的なM&Aを繰り返し、
無料ネット接続サービス「ライブドア」や
電子商取引サイト「アスキーストア」など、
十数社を傘下に吸収していった。
その後、社名を「オン・ザ・エッヂ」から、
吸収した会社名である「ライブドア」に変更。
ここらへんが面白いね。
いくら知名度が高いとはいえ、
旧来の名前を捨てて、吸収した会社名を名乗るとは。
合理的というか、節操が無いというか。
この堀江社長の性格に関して興味深く感じたことがある。
リンドウズOSの発売時、
堀江氏は多くのメディアのインタビューに答え、怪気炎を上げた。
「打倒、マイクロソフト!」
「一企業のOS独占は弊害がある」
「市場の独占に風穴を開けてみせる」
あたかも反独占企業の闘士が登場したような感じで、
MSによる市場寡占の弊害を訴えていた。
ところが、メディアに多く露出する以前に発売された、
「リンドウズOS」の解説書には、
彼が本音をうっかりと漏らしたインタビューが載っていた。
「MSの独占は良くないと言う人もいますが?」
と言うインタビューアーの問いかけに対して、
良くないかどうかはお客様が決めることで、
うちがどうこう言う問題ではないと思います。
特に立派な考えがあるわけじゃないです。
リンドウズということでビジネスのネタになるな、
ということでやってるだけの話しであって。
・・・おいおい、あんた、えらく言うことが違うやんけ。
私はこの落差に、
彼の企業人らしいタフさとふてぶてしさを感じた。
私は今回の近鉄買収騒動の真相と真意が
奈辺にあるのかよく分からない。
ただ一つ言えるのは、
これは古き既得権の塊たるプロ野球界と、
ITを梃子にのし上った新興児との
古き者と新しき者の遭遇と衝突。
これほどミスマッチな出会いも珍しい。
結局、近鉄はライブドアの買収提案をはねつけ、
オリックスとの合併に向かう様子。
でも、この買収が実現していれば
さぞかし新鮮にして珍奇なる球団が登場し、
野球界はこの風雲児に大いに振り回されただろうなあ。
見てみたかったなあ。
う~ん、残念無念(笑)。