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by misaki80sw

中国の中南米進出・・反米同盟とベネズエラ


中国が中南米進出で米国に脅威―米議会調査局報告

 米議会調査局がこのほどまとめた報告によると、
 中国が中南米の石油や銅、鉄鉱石などの資源確保に動き、
 経済的関係を強化していることから、
 「将来的に米国の脅威になる」
 との専門家の見方を示している。
 
 一部専門家が
 「中国の影響力は限られている」との見方をする一方で、
 他の専門家は「中国の同地域への投資は
 歓迎されている側面があるものの、
 同地域の国内産業が中国の安価な製品の流入で
 ダメージを受け、
 対米輸出の能力が損なわれると懸念する向きもある」
 との見方をしている。

 こうした中国の進出は
 将来的には米国にとり脅威となるとし、
 「中国が反米的第三世界の連帯を築くことで、
 米国の優位性に挑戦する」
 可能性についても言及している。

   (世界日報)


今年の1月に、中国の曽慶紅国家副主席が
ラテンアメリカ五ヶ国を訪問した。

曽慶紅副主席、ラテンアメリカ5カ国を訪問へ

訪問先は、メキシコ、ペルー、ベネズエラ、
トリニダード・トバゴ、ジャマイカ。

訪問目的は
「中国とこれらラテンアメリカ諸国との
広範囲な分野におけるより深い友好互恵協力の推進」

主な随行員は、国家質量監督検査検疫総局の李長江局長、
外交部の周文重副部長、商務部の馬秀紅副部長、
中国輸出入銀行の羊子林頭取。
計125名の政府高官やビジネスマンが同行していた。

この五ヶ国の顔ぶれと随行員の肩書きを見てると
これが資源外交であるのは明々白々だね。

最近の中国の
資源・エネルギー獲得にかける情熱は凄まじい。
いや、凄まじいというよりも
あの国の外交戦略の一端は
「資源の獲得」これのみで解析できるんじゃないかな。

  資源を獲得し、
    ↓
  経済成長を遂げ、
    ↓
  国力を増大し、
    ↓
  覇権を拡張し、

このローテーションで
中国外交ってのは読み切れるような気がする。

さて、南米への中国の進出です。
メインターゲットはベネズエラ。
世界第五位の産油国。
ここが中国の南米資源外交の拠点となっている。

ベネズエラの大統領はチャベス。
「反米主義者」を自称する。

ベネズエラ陸軍空挺隊出身。
1992年にクーデターを決行したが失敗。
しかし、彼の「反米・反裕福層」の主張は
多くの貧困層の共感を呼び、
6年後の98年12月の選挙で大統領に就任。

チャベスは大幅な政治改革を行い、
大統領権限の強化、国会の一院制への移行、
国家主義的経済運営の実施、
さらに自国の石油産業を米国の傘下から脱出させ、
石油収入を国民に分配した。

外交面では反米路線を貫き、
2000年8月、湾岸戦争以来、
外国の指導者として初めてイラクを訪問した。
また、キューバやリビアなど、
米国がが敵視する他の国々も次々と訪れるとともに、
キューバには石油の供給を始めた。
さらに911事件の後は
米軍のアフガニスタン攻撃やイラク侵攻を非難した。

これに対して米国は
自らの「庭」である南米に
こういう政権が存在するのは許さないと
2001年11月、
国務省、国防総省、国家安全保障局が
「ベネズエラ問題」について3日間の日程で会議を開き、
対ベネズエラ戦略をかためた。
これ以降、米国はチャベスの追い落としに
政策の舵を切っていく。

2002年4月、
ベネズエラで軍によるクーデターが発生し、
軍主導による暫定政権が発足。
この背後には米CIAがいたとされる。
しかし、チャベスは巻き返し、
軍主力の支持を再び得た上で
2日後に大統領職への復帰に成功した。

だが、国内は不安定であり、
米州機構(OAS)などの仲介により、
大統領罷免国民投票が実施された。

この選挙は事前の予想を裏切り、
チャベスの圧勝に終わった。
米国とそれに連なる富裕層への反感から、
多くの貧困層がチャベスに投票したとされる。

現在、チャベスは
「ボリバル主義」というものを
外交のスローガンに掲げている。
「ボリバル主義」とは
中南米をスペインから独立させた、
シモン・ボリバルの名前に由来するもので
中南米諸国の、米国からの政治経済上の自立と
その統合体創設を目標としている。

昨年12月9日、南米の12カ国の代表が
ペルーのクスコとアヤクーチョに集まって
「南米サミット」を開いた。
その内容は、互いの政治経済を統合していき、
EUのような「南米共同体」を創るというもの。

この計画は、
ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの
4カ国で構成される自由貿易圏「メルコスール」と、
ベネズエラ、コロンビア、ペルー、ボリビア、エクアドルの
5カ国からなる「アンデス共同体」を
2007年までに合体させ、
さらにチリ、スリナム、
ギアナという残りの3カ国も加わって、
新たな南米の広域共同体に発展させようというもの。
当初は互いの貿易に課す関税を下げる努力を行い、
いずれはEU議会に相当する南米全体の議会を作り、
政治統合まで行おうという計画。

この「南米共同体」を
熱心に推進しているのがチャベスで
彼の反米指向と、この共同体計画に
米国は神経を尖らせている。

チャベスとベネズエラの武器は
やはり世界第五位の産出量を誇る石油。
現在、石油は
1バーレル55ドルにまで達しており、
ベネズエラの財政は潤っている。
これがあるから米国も迂闊に手は出せない。
なんせ、米国自身が自国の石油の12%程度を
ベネズエラからの輸入に頼ってる状況だもんね。

ガソリン代の値上がりにより、
支持率が下がっているブッシュ政権としては
チャベス率いるベネズエラを刺激しすぎると
原油の輸出を停止されかねない。
そこらへんが米国の弱み。

さて、この中南米の地に
もう一つのプレーヤーが割り込んできます。
そう、中国です。
近年、中国は猛烈にベネズエラに接近している。

中国がベネズエラに近づく動機は、

1,石油

2,反米の提携

この2つ。

上述の曽慶紅国家副主席の訪問時には、
両国は、石油、農業、技術等の
19の協力協定に調印した。

これらのプロジェクトのなかには
月産12万バーレルの発電用重油を
中国向けに生産する工場の建設も含まれている。
中国は七億ドルの借款を今後ベネズエラに供与し、
農業および通信事業への協力を表明した。

逆にベネズエラ側は
中国向けの石油輸出に対して
長距離輸送で生じる割高の船賃を相殺するために
割り引き価格を適用している。
首都カラカスの外交筋は
「石油の対中国輸出は経済的には成立しないかもしれないが、
チャベス大統領の動機は必ずしも経済的なものとは限らない」
と述べ、政治的判断での
取引であることを示唆しているとのこと。

また、中国とベネズエラ両国は
揃ってキューバを熱心に援助している。

ベネズエラはキューバに
日量5万3千バレルの原油を輸出しており、
その見返りとして数千人規模のキューバ医師が
ベネズエラに派遣されて
貧困者向けの医療プログラムを支えている。

一方の中国は
軍事面・資金面でキューバを援助している。

今年の5月2日、ワシントンで
「中国の中南米への戦略的着手」と題するシンポジウムが
ブッシュ政権に近い研究機関、
「国際評価戦略センター」の主催で米国議会内で開かれた。

中南米諸国に中国が急接近「軍事提携強化」米の脅威

同センターの会長アル・サントリ氏は
「中国のここ数年の中南米諸国とのきずなの強化は、
サイバー戦争の能力強化や遠洋海軍の建設、
さらには大陸間弾道ミサイルの増強などと呼応しており、
中国の軍事面での米国をにらんでの野望を印象づけている」
と報告し、
その具体例として、

◇中国はキューバと軍事交流を強め、
 キューバ内で旧ソ連が米国に対し電子情報収集の
 拠点としていた通信基地などの使用を始めた

◇中国はキューバ北東部の基地で
 米軍の衛星通信を捕捉し、
 東部の基地では米国の電話の傍受を続けている

◇中国はアルゼンチンに
 中国製の戦闘爆撃機を売る交渉をひそかに進めている

◇中国はベネズエラに特殊部隊を送り、
 左派の現政権を支持している

◇中国はブラジルと偵察衛星打ち上げの合意を結び、
 米国の宇宙での軍事関連情報活動を
 妨害できる立場を得ようとしている

などをあげた。

まあ、これを見れば分かると思うけど、
中国はキューバと
軍事面で密接な関係を構築している。

今年の2月、キューバのカストロ議長は、

 「キューバは不死鳥のように再生した。」

 「今、新しい動力が現われた。
 それは中国とベネズエラだ。」

と述べ、
中国、ベネズエラとの通商関係に謝意を表した。

キューバはソ連邦の崩壊により、
ソ連と東欧諸国との通商関係が消滅し、
1990年から1993年の間に
経済規模が40%縮小したと推定される。

しかし、中国とベネズエラという、
反米仲間の援助によって
今やキューバは息を吹き返した。


さて、最初のニュースに戻ります。

米国は、この中国の中南米進出に
脅威を抱き始めた。
なんせ、自分のシマだと思ってた中南米に
中国が土足で入り込んでくる。
米国は不快だろうね~

さらに中国と組んで
反米国家たるベネズエラが蠢動。
この両国は反米コンビで
ついにはあのキューバの蘇生に手を貸し始めている。

ここのところの
米国の反中路線への傾斜には
中国の軍事力増強や反日暴動、
さらに対中貿易赤字の増大、
こういう要素があることは確かだけど、
それ以外に中国の中南米進出が
そうとう米国の神経を苛立たせているのは間違いないね。



外務省サイト:ベネズエラ・ボリバル共和国

ラテンアメリカから見ると:
 「不死鳥のように再生」カストロ、中国とベネズエラを評価:


ベネズエラとアメリカ

南米のアメリカ離れ

ベネズエラ大統領、暗殺企てれば
 対米石油輸出停止を示唆


米潜入の大物テロリスト身柄拘束
 対キューバで事件次々



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by misaki80sw | 2005-06-11 01:15 | 中国・台湾関連