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by misaki80sw

プーチン政権の謀略・・ロシア版紅衛兵と中央アジア

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プーチン“紅衛兵”6万人集め旗揚げ、野党勢力を敵視

 ロシアで、プーチン大統領への忠誠を誓う、
 官製青少年組織「ナーシ(友軍)」が本格始動した。

 厳格な規律を保ち、
 ほぼすべての左右野党勢力を敵視するこの組織を、
 一部メディアは、文化大革命期の中国の大衆運動に例え、
 クレムリンの“紅衛兵”と呼ぶ。

 「ナーシ」は先月15日、全国30支部から、
 高校生ら約6万人のメンバーをモスクワに集めて
 “旗揚げ興行”の街頭行動を決行、
 圧倒的な動員力を誇示した。
 イズベスチヤ紙によると、
 さらに総帥ワシリー・ヤケメンコ連邦委員らは
 先月30日、クレムリンで
 プーチン大統領との異例の接見を許され、
 大統領自身が後見人であることを示した。

 「ファシズムからの祖国防衛」と不可解な目標を掲げ、
 極左「国民ボリシェビキ党」から、
 民主派の日系女性政治家イリーナ・ハカマダ氏まで、
 ほぼすべての反大統領勢力を敵視する。
 20歳以下の青少年が主体だが、総員数など詳細は不明。

 一部で既に
 「クレムリンの紅衛兵」の呼び名を付けられた。
 だが、紅衛兵運動が当時の毛沢東を崇拝する学生の間で
 自発的に広がったのに対し、
 こちらは、ウラジスラフ・スルコフ大統領府副長官が
 ひそかに作り上げた官製組織だ。

 狙いの一つは、グルジアなど
 旧ソ連圏で民衆蜂起による体制交代が相次いだ状況を踏まえ、
 ロシアで同様事態が起こった時に、
 「ナーシ」を「政権側デモ隊」としてぶつけ、
 反政府蜂起をつぶす点にある模様だ。

 消息筋は、「批判能力を持たない若年の“紅衛兵”で
 権力を守ろうとしている」と読む。

   (読売新聞)


今日は、プーチン政権の動きを中心に
ロシアと中央アジア情勢について書きます。
キーワードは「謀略」。
「謀略」つながりで話しを進めていきます。

さて、上記ニュースですが、
なんとも強烈ですよね~
ロシア版紅衛兵「ナーシ」。
これがいかなる組織であるか、
検索をかけてみたけど全く不明。
実態がいまいちわからない。

ニュースによるとこの組織を作ったのは
ロシア大統領府副長官のウラジスラフ・スルコフ。
大統領府内の序列は上から4番目。

プーチンの側近は
エリツィンから引き継いだ、
新興財閥を背景とするグループと、
旧KGB人脈の2派に分かれる。

現在、プーチン政権の大統領府副長官は2人いて、
イーゴリ・セチンとウラジスラフ・スルコフで
セチンは旧KGB人脈で
「シロビキ」と呼ばれる軍・治安関係派閥の代表格。
ウラジスラフ・スルコフは
エリツィン政権から引き継いだ人材。

ロシア:大統領府を大幅に改変

このウラジスラフ・スルコフは
政権与党である「統一ロシア」の発起人の一人であり、
主にプーチン政権の選挙・議会対策など
国内対策を職務としている。
いわば政権の権力維持担当の補佐官である。

その彼が創設した「ナーシ」。
ここまで言えばこの組織が何に使われるか
理解できると思います。
そうです、権力維持の道具です。
プーチンが大好きな謀略の道具。
紅衛兵?
紅衛兵であり、ヒットラーユーゲント。
あるいはナチスの突撃隊。

過日、ロシア全土で吹き荒れた恩典廃止反対デモ。
ロシア政府が旧ソ連時代の各種恩典を
現金支給に切り替えたことをきっかけに
今年の初頭からデモや集会がロシア全土で頻発。
野党勢力が政府不信任案を提出する事態に発展、
プーチン政権はこれにより窮地に陥った。

ロシア、全土で恩典廃止抗議の25万人デモ・現政権最大

しかし、プーチンは
この反政府運動を切り崩していく。

プーチンは恩典制度廃止の方針を変えず、
恩典に代わる現金支給制度の予算を地方に移管することにより、
地方政府を抗議運動の矢面に立たせた。
混乱拡大を恐れる地方政府は
公共交通の無料乗車制度を復活させ、
年金生活者らの運賃を大幅に割り引くことを決定した。

が、地方政府予算はすでに決定しており、
これら緊急の費用負担を現行予算だけで賄うことはできない。
このため各地の地方首長は、
エリツィン時代からため込んでいる「裏金」を
恩典復活のための緊急支出に充て当座をしのいだ。

ソ連崩壊後、支持率が低迷するエリツィン前大統領は、
地方首長の支持を得る代償として、
地方政府の権限を大幅に拡大させた。
地方首長は警察幹部の任免権なども握り、
「小皇帝」と称されるほどの権勢を誇り、
中央からの統制を形骸化させた。

これに対しプーチンは就任後、
地方首長が上院議員を兼任し国政に影響を与える制度を廃止し、
さらに大統領連邦管区制などの中央集権化政策を推し進め、
地方首長の封じ込めに動いてきた。

彼は恩典廃止に対する抗議運動を利用し、
地方首長がため込んできた「裏金」を吐き出させ、
その力を大幅に削ぐことに成功した。

さらに、当初は
年金生活者がほとんどだった恩典廃止に対する抗議集会に、
徐々に若者らの参加が目立つようになっていった。

これらの若者は揃って

 「オリガルヒ(新興財閥)と、
 政府内にいるその手先を一掃しよう」

とのプラカードを掲げていた。

これもプーチンの謀略であり、
彼は与党「統一ロシア」の青年組織を動員し、
抗議運動の矛先を新興財閥に向けさせようとした。

恩典廃止に対する抗議デモの反政府エネルギーを、
地方首長と新興財閥に対する攻撃に転化し、
その隠然たる影響力を削ごうとする。
嗚呼プーチン、お見事ですな。

上記ニュースの「ナーシ」は
この手のプーチン流謀略の
道具として使われていくのだろうね。


さて、ロシア国外に目を向けてみましょう。
国内では神業の如き威力を発揮しているプーチンの謀略術も
国外では連戦連敗の有様。

今、ロシアの友好国家群が
次々と米国の謀略により親ロシアから脱落しつつある。
グルジア、ウクライナ、キルギス。
この経緯は以前に書きました。

激動のウクライナ情勢:その陰には・・・。

キルギス革命とロシアの憂鬱・・米民主化謀略戦。

さらには先日、
ウズベキスタンでも反政府暴動が勃発、
ウズベキスタン政府はこれを武力弾圧し、
数百人の死者が出た。

無差別発砲を正当化 ウズベク暴動で大統領

この背後にも米国がいたかは不明だけど、
一連の民衆革命が、
ロシアの与党たる中央アジアの独裁国家群を揺るがしている。

最初に革命が起きたグルジアでは
今、次々にロシアの影響力が排除されつつある。
5月30日、ロシアのラブロフ外相と
グルジアのズラビシビリ外相がモスクワで会談し、
グルジア領内に残るロシア軍が
2008年中に撤退を完了することで合意した。

グルジアからのロシア軍撤退、2008年中で合意

この撤退に関しては、
グルジアが再三要望していたにもかかわらず、
ロシアは「費用が無い」などと
無茶苦茶な理由で撤退を拒んでいた。

これに怒ったグルジアが
ロシア軍将兵のグルジア国内での移動制限を行い、
ロシア軍基地を孤立化させるぞ、と脅したため、
やむなくロシアも撤退に同意した。

かつてのロシアならこうも簡単に同意しないだろうね。
「お前が撤退費用を払え」とか
あれこれ難癖をつけるでしょうね。
でも、今のグルジアの背後には米国がいる。
ロシアもこれ以上のいちゃもんは無理と
諦めて撤退を決意した。

さらにウクライナ。
革命に成功したユーシェンコ政権は
EUとNATO加盟に向けて着々と布石を打ちつつある。

現在のウクライナのバックには
米国とEUがついており、
ここにもロシアは手出しができない。
なんせ、ユーシェンコ大統領自身の奥さんが
実は元米政府職員。
シカゴで生まれ、シカゴ大学大学院を卒業後、
レーガン政権下のホワイトハウスや国務省に勤務した。

91年にソ連が解体すると、彼女は米政府を去り、
民間団体「米・ウクライナ基金」の指導者になった。
この組織はウクライナの民主化や市場経済移行を促進する機関で、
米国務省やCIAなどから資金供与を受けていた。

その後、ユーシェンコ氏と結婚。
で、先日のウクライナ革命でユーシェンコは
米国などの西側諸国の支援を受けて大統領になった。

ここらへんの米国の謀略の手口は
先日の記事にも書きましたが、
いかにもあからさまなのが笑える。

次にキルギス。
ここも米国発の民衆革命が成功したが、
今、キルギスは非常に困難な立場にある。
革命が成功したのはいいが、
その余波でイスラム急進派が勢力を伸ばし、
さらに隣国のウズベキスタンでも
イスラム急進派と政権が激突し、
難民が流入、非常に不安定な状態に置かれている。

キルギスの首都ビシケクには米軍の基地がある。
しかし、在留米軍の規模は小さく、
このイスラム急進派と共に戦ってくれるわけではない。
革命を支援した米国だが、
そこまでの面倒は見てくれない。

窮したキルギスは、
「上海協力機構(SCO)」に泣きついた。

「上海協力機構」は
ロシア・中国・中央アジア諸国の六ヶ国からなる、
政治・軍事・経済の協力機構。
イスラム急進派の排除は
上海協力機構の組織目的の一つ。

ウズベキスタン暴動・・上海シックスの衝撃!

キルギス政府は上海協力機構に出兵と駐留を要請した。
キルギス共和国のバキエフ大統領代行は25日、
「ウズベキスタンの反政府暴動で生まれた大量の難民が
キルギス南部に流入しているため、
上海協力機構の加盟国の部隊による駐留に
同意する用意がある」と表明した。

これに対して中国は
現在、出兵を検討しているとのこと。

中国軍、キルギス駐留検討 独立運動の国内波及阻む

中国としては、米国による革命謀略や
イスラム急進派勢力の浸透を防ぐため、
これを受ける可能性は高いと思うね。
実現すれば人民解放軍の外国駐留は初めてとなり、
中国の中央アジアでの権威は増すでしょう。

一方のロシアは出兵するか?
これに関しては報道が伝わってこないので
何とも言えないけど、
中国が出せば、バランス上、さらに沽券上、
ロシアも出さざるを得ないでしょう。

ロシアにしてみれば
米国の謀略で次々と勢力圏を浸食され、
なんだかんだ言いつつ、
中国が漁夫の利を得るのは実にくだらない。
彼らも対抗上、軍を出すことになるんじゃないかな。


さて、「謀略」をキーワードに
プーチン政権をめぐる、
ロシア国内と国外の情勢を見てきました。

国内ではヒットラーユーゲント顔負けの
青少年団体「ナーシ」を組織し、
そのKGB譲りの謀略術で
着々と権力強化の道を歩むプーチン。
この調子でいけば、数年後には終身大統領、
さらには「執政官」などという名の
皇帝もどきになりかねない。

しかし、国外に目を転じれば
ロシアの柔らかい脇腹である中央アジアに
米国の剣が突きつけられ、
さらにイスラム急進勢力の浸透と
中国の覇権拡張に頭を悩ます。

私は中央アジアでは
謀略の時期は過ぎ去ったと思う。
ウズベキスタンの暴動と武力鎮圧、
さらには上海協力機構軍の出兵と駐留で、
軍事力が事を決する時期が来たと思う。

ロシアや中国にしてみれば
米国の謀略に自らも謀略で抗しようとしても
米国の資金や情報力、
さらには民主主義と自由主義経済の理念には勝てず、
「軍事」という手段で対抗するしかない。

中央アジアでの謀略の季節は終わり、
軍事の季節がやってきた。



在ロシア日本国大使館サイト

ユーラシア新世紀:ユシチェンコ夫人にCIAの影

世界日報サポートセンター:
 ロシア地方首長らの裏金の行き先とは?



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by misaki80sw | 2005-06-07 00:49 | その他諸国・国連