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by misaki80sw

中国副首相のドタキャン・・傲岸不遜と情報音痴


中国「靖国が原因」副首相の会談キャンセル

 中国外務省の孔泉報道官は二十三日深夜、
 談話を発表し、呉儀副首相の訪日期間中に、
 日本の指導者が連続して靖国神社参拝問題で
 中日関係改善に不利になる言論を行ったとし、
 「中国側はこれに強い不満を感じている」と述べた。
 呉副首相が同日突然、
 小泉純一郎首相との会談をキャンセルして
 帰国した理由を強く示唆したものだ。
 
 報道官が「不満」を示した日本の指導者の発言とは、
 小泉首相が十六日の
 衆院予算委員会で靖国神社参拝について
 「どのような追悼がいいか
 他の国が干渉すべきでない」と答弁。
 さらに先に訪中した自民党の武部勤幹事長が
 中国共産党の王家瑞中央対外連絡部長との会談で、
 中国の靖国参拝中止要求は「内政干渉」と発言、
 激論になったことを指しているとみられる。
 
 武部氏は二十二日に
 胡錦濤国家主席とも予定通り会談したが、
 中国側はこの後、
 呉副首相の予定を繰り上げての帰国を決定、
 二十三日朝、「緊急の公務のため」との名目で
 日本側に首相との会談キャンセルと帰国を通告した。
 
 中国外務省は孔泉報道官談話に先立ち、
 呉副首相の帰国は
 「緊急な公務」のためとの談話を出していたが、
 副首相が北京ではなく大連に帰着し、
 二十四日からのモンゴル訪問も予定通りと判明、
 日本国内で中国側の名目に疑問や批判が相次いだ。
 このため改めて談話を出し、
 責任は日本側にあるとの立場を示したとみられる。

   (産経新聞)


今日は更新を休む予定でしたが
これを言われちゃ書くしかないでしょう。

まあ、想像どおり「靖国」絡みの帰国だったわけだけど
腹も立つし、許す気もないし、
非礼、無礼、傲岸不遜と罵倒もしたいけど、
ちょっと不可思議なのは
中国は何がしたいのかってことだよね。
こんなガキじみたやり方をして意味があるのかと。

前日の記事にも書きましたが、

中国副首相、会談をドタキャン・・何を考えてるのやら。

ああいうことをやられて
日本側から譲歩するはずはないし、
むしろ国民の反中感情に拍車がかかっただけ。
「効果論」の観点から見るならば
彼らのやり方は無意味としか思えない。

結局、ドタキャンの背景は2つだね。

1,日本の世論の動向を読み誤っている。

2,中国国内の対日強硬世論に押されている。


まず、1の「日本世論の読み誤り」からいくと、
我々日本人のおかれた情報環境と
胡錦涛氏がおかれた情報環境は違うわけです。

我々日本人がテレビでニュースを見たり、
ネット上でブログを見たり、掲示板で議論したり、
そういう情報環境の中で
「中国はどういうつもりだよ?
頭がおかしいんじゃないか?」とか思うけど、
胡錦涛氏はそう思ってないんじゃないか。
胡錦涛氏は「強く押せば日本は必ず譲歩する」と
思ってるんじゃないかな。

胡錦涛氏の情報環境ってのは
まず、中国の民間の情報は信用できないわけです。
なんせ、御用新聞に御用ネット。
言論をビシビシ取り締まった結果、
お上にへつらう言論に成り果てている。

だから胡錦涛氏は
そういう精度の低い民間の情報や、民間の情報分析に
自分の思考整理を委ねるわけにはいかないわけです。

日本の政治家みたいに、新聞やテレビや書籍や
はたまたネット上のサイトやブログから影響を受けることは
情報収集と情報分析の観点において
中国においては無意味なわけです。
だって言論自体が抑制されて歪んでるから。

じゃあどうするか?
どこから情報を得て、
誰の情報分析を参考にすべきなのか?
結局、公的組織の収集情報と
情報分析に身を委ねるしかないわけです。
要するに彼らの情報のパイプってのは
我々日本人が考えてる以上に
狭く細いものでしかないわけです。

この狭隘なパイプから得る情報と情報分析が
正しいうちは問題ありません。
だけど、これが狂えば国家の指導者の判断も狂う。

情報収集官と情報分析官に
日本に対する偏見と思考のバイアスの無い人間を
多数配置しとかないと、
当然、上がってくる情報と分析は狂ってくるわけ。

あの手の非自由主義国家の欠点は
言論の自由の欠如が、思考の幅の欠如につながること。
体制にとって望ましきタイプの人間のみが出世し、
そうじゃない人間は落後してしまう。
情報官と分析官も
型にはまった人間が選ばれがちでしょうね。

だから、我々日本人が見ている日本像と
胡錦涛氏の見ている日本像は
大きな食い違いが生じているのかもしれないね。

  「日本とはこういう国だ。
  日本人の国民性はこうであり、
  こういう傾向性を有している」

胡錦涛氏以下の中国政治指導者層の日本像は
かなり歪んでる可能性がある。
実像と食い違いが大きくなってる可能性がある。

だって、彼らの情報環境は貧しいから。
官の細いルートから上がってくる情報と分析に
依存してるから。

日本から見たら
どう考えても意味のない行動でも
彼らから見れば
「へっへっへ、してやったりだぜ!」って思ってるかもよ。

ここで中国が強硬論で押せば
日本の迎合世論は騒ぎ、政治家は折れて、
日本は譲歩せざるを得ないと大まじめに思ってるかも。

これは中国側の情報ルートの問題だけじゃなく、
日本にも原因がある。
つまり、他国なら
反日暴動などで中国から非礼な仕打ちを受ければ
「暴動での破壊行為を謝罪せよ、賠償せよ」と
首相以下、国民世論が強硬論で沸き立つものを、
日本人の場合、何故か100%怒ることをせずに、
原則論で強固に構えることをせずに、
柔らかく言い、一部に媚態をこめてしまう。

まあ、これは日本人の良さだけど、
他国から見れば、日本の弱気の表れと捉えるだろうね。
で、「じゃあ、もっと強硬に押せば
日本は譲歩するだろう」と計算してしまう。

具体的に言えば、反日暴動の後に、
首相自身が明確に謝罪と賠償を求めずに、
下手に出る発言を繰り返したこと。
ここらへんは日本的には謙虚の美徳だろうが
中国はそうは受け取ってないよ。
「弱さ」の表れと取ったでしょう。

また、先日の訪日ビザの中国全土への拡大と、
新幹線売り込みに際してODAをつけようとしたこと。
これなんか中国的感覚から見たら信じ難いでしょうね。
あれだけ暴動でいいようにやられてるのに
すぐに「関係正常化」を日本の方から行おうとする。
これも弱さの表れと受け取ったでしょう。

だから彼らは今回も強気に出た。
非礼・無礼、そんなことは百も承知。
これだけ我が国は靖国問題で激怒している。
責任は日本にあり。
日本は大胆な譲歩で日中関係を正常化させるべきだ、と。

彼らは日本の世論の動向を読み誤っている。
その原因は彼らの情報環境の貧困さと
日本の他国とは違う態度表明の仕方にある。
まあ、基本的には読み誤る彼らが馬鹿なんだけど、
日本も、国家の原則を前に打ち出して、
シグナルの送り方をもうちょっと考えないと、

 中国の誤解
   ↓
 中国の傲岸不遜な態度
   ↓
 日本世論の硬化

この連鎖を繰り返すでしょうね。

お互いが自己を正当化し、相手の非を声高に非難し、
その過程の中で双方の妥協点を見いだしていく。
これが万国風の交渉の流れであり、
はなっから手の内見せて、媚態をふくむ日本風は
やはり誤解の原因となって国益を損なうよ。


次に2の「中国内の対日強硬世論に押されている」。

これは最近の幾多の中国関係のニュースに接して
日本人もようやく分かってきたと思う。
あの国はバリバリの反日国家であると。

その反日世論を作り上げたのが他ならぬ中国共産党であり、
彼らは共産主義に変わる新たな統治の正統性として、
「反日」と「経済成長」と「対外覇権の拡張」を選んだ。

その自らが育成した反日世論に
自らが押され、怯え、自縄自縛されている。
まあ「ざまみろ」と言いたいとこだけど、
これは彼らにとって外交上の選択肢を狭めている。

外交の手段に柔軟性が無い。
これが最近の中国の対日戦略の特徴。
大胆な譲歩が出来ず、
国内の強硬世論に押されて
強気・強気の連続で突き進むしかない。

逆に言うと、日本にとっては
中国の対日戦略が読みやすくなった。
彼らの手持ちの選択肢が少ないから。
非常に読みやすいね。


さて、今回のドタキャンの背景を
2つ解説してきました。

1,日本の世論の動向を読み誤っている。

2,中国国内の対日強硬世論に押されている。

じゃあ、日本はどうすればいいか。

答えは簡単。
毅然として国家原則を貫けばいい。
単なる精神論・道義論じゃなくて、
実利的にもこれが最強でしょう。

これ以上の譲歩の必要性無し。
これ以上は、びた一文あげません。
で、首相は粛々と靖国に参拝し、
中国は反日暴動の嵐が吹き荒れ、
反日は反政府に転化し、共産党は弱体化する。

なんとも素敵な話しじゃないですか。



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by misaki80sw | 2005-05-24 22:46 | 中国・台湾関連