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by misaki80sw

民間軍事企業(PMC)・・現代の傭兵たち

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日本人、斎藤昭彦さんが
イラクにおいて武装勢力に拘束された事件。
いまだ新しい情報は入ってこない。

斉藤さんが所属しているという、
英警備会社「ハート・セキュリティー」だけど
あれこれ検索をかけてみたが
詳しいことはどうも分からない。

ただ、ニュース報道の中でもあるように
この警備会社は、
おそらくPMC(民間軍事企業)なんだろうね。

PMC。
「Private Military Company」の略。
平たく言えば現代の傭兵たち。
ナポレオン戦争以来、
第三世界などのゲリラ戦以外は
戦場から姿を消しつつあった傭兵が
最近、復活しつつある。

昨年3月31日に
イラクのファルージャでアメリカ人4人が殺され、
その焼死体を住民が引きずりまわしたり、
鉄橋から逆さ吊りにした悲惨な事件が起きた。
彼らはPMC企業「ブラック・ウォーター社」の社員。
任務は米軍の食料運搬の警護だった。

この事件によって
イラクで米軍が民間軍事会社を雇い、
米軍の後方支援任務につかせていることが
広く知られるようになった。

現在、イラクでは
2万人前後の民間軍事要員が働いていると言われている。
この数は英軍の派遣部隊9千人を上回るもので、
米国はこの民間人らによって
占領統治をこなしてるようなもの。

その任務は
輸送、整備、兵站、情報収集、基地建設から、
イラク兵の訓練、要人警護、兵器の維持管理に至るまで。

現在、米軍は
「軍事のアウトソーシング化」「戦争民営化」を
猛烈な勢いで進めている。
正規軍に同行して兵站・給食・技術サービスなどを
提供する民間軍事要員は、
湾岸戦争時の兵士100人に1人から、
イラク戦争では兵士10人に1人まで激増した。

この種のPMC企業は、
20年前には10社にも満たなかったが、
現在では30社を超える規模にまで急成長している。
そのほとんどが、米国防省のある、
バージニア州のアーリントン周辺に本拠をかまえている。
現在、米国防省から民間軍事会社に流れるお金は
250億ドルに達し、
全世界では約1000億ドルのビジネスとなっている。

この米軍のアウトソーシング化の理由は3つ。

1,米軍の兵力過小

  軍縮により過小となった兵力を
  PMCによって補う。

2,ハイテク兵器の熟練操作員の不足

  現在の米軍の兵器はRMA化によるハイテク兵器が主で、
  高度の技術をもった専門家が必要で、
  前線の兵士だけでは扱い切れない。
  よって、高度の技術をもった民間の専門家が
  随行する必要がある。

3,コストの問題

  国家が常備軍として兵士を一人養うより
  いざ戦争になった時に
  臨時でPMCから雇う方が安あがりで済む。
  
この中の2と3、
よく見ればなんのことはない、
企業のアウトソーシングと全く同じ原理。

逆に問題点は、
軍隊の中は法整備がきちんとなされているのに、
民間の兵士にはそれがないこと。
だから、犯罪を犯しても軍が罰することができない。
正規軍と違って国際条約や
ROE(交戦規則)に縛られないため、
誤った行動などによる被害の責任を問われない。

イラクのアブグレイブ刑務所での捕虜虐待事件で、
米軍は、6名の民間会社の従業員が
虐待に関わっていたことを突き止めたが、
それを取り締まる法律がなく、
この6人は、いまだ起訴されてない。
彼らは軍人ではなく民間人だから軍紀違反ではない。

また、戦闘が起こると民間軍事会社の社員が逃げてしまい、
正規の軍人が立ち往生して殺される事態も
起こっているとのこと。
民間社員が忠誠を誓う相手は軍ではなく会社だし、
下手をすれば高い金を出す方に寝返る可能性もある。

「戦争請負会社」というPMCに関する本を書いて、
世界に衝撃を与えたブルッキングズ研究所のP・W・シンガーは
インタービューの中でこう語っている。

 「平和維持を民間に委託することについて
 今後危惧されることは、
 一般の契約やビジネスの外注化が持つのと
 全く同じ問題である。」

 「雇われた企業は、料金をふっかけたり、
 人員リストを水増ししたり、失敗を隠したり、
 手抜きをしたりする誘惑にかられている。
 今、人の命と直結する安全保障の分野に、
 この全ての問題が持ち込まれているのだ」

ここまで読んで
歴史好き・軍事好きな人ならピンときたと思うけど、
この軍事のアウトソーシングって
ナポレオン戦争以来の
国民軍と常備軍の流れに逆行する発想ということ。
傭兵の時代の復活だね。

実は、傭兵はジュネーブ条約第47条で禁止されている。
この条約では傭兵について

 個人の利益のみを目的とし、
 自国のかかわらない武力紛争のために採用された個人

と定義している。

だが、現代のPMCのほとんどは
この定義にあてはまることはない。
彼らは、彼ら自身が交戦することはほとんどなく、
合法かつ国際的に認められた政府に対してのみ
軍事技術を提供していると主張する。

しかし、金に雇われて
戦場で軍隊と共に任務を遂行する彼らは
まさしく現代の傭兵でしょう。

それは正規軍同士の
大規模なぶつかり合いが無くなった時代の
需要の産物でもある。



英警備会社「拘束の証拠まだない」
 物資輸送警備に従事


<斎藤昭彦さん>外人部隊に21年半
 「歴戦の兵」の素顔


戦争請負会社:P.W.シンガー (著)

NHKスペシャル:
 紛争ビジネス・知られざる民間軍事会社


暴力の民営化

ピーター・ウォレン・シンガー:
 インタビュー by 大野和基


傭兵 - Wikipedia
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by misaki80sw | 2005-05-12 01:20 | 米国関連