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by misaki80sw

小泉首相「謝罪演説」の考察 その3


昨日の2つの記事、

小泉首相「謝罪」演説・・道義無く、戦略性無く

日中首脳会談、中国の謝罪無し・・小泉演説の考察

これの続きと
皆様のコメントに対するレスです。


さて、手短に書いていきます。

私の意見の根本は

中国の反日暴動
   ↓
中国政府は謝罪せず、補償せず
   ↓
日本は謝罪

この図式に尽きます。

要は反日暴動に屈したということです。
明らかに相手が悪いのに
相手は謝らず、自らが頭を下げた。
「売国外交」「土下座外交」そのものです。

これに対して首相を擁護する方の意見は、

1,あれはアジア諸国全体に向けられた謝罪で
  中国のみに向けられたものではない。

2,スピーチ全文を読めば分かるが
  謝罪の部分は冒頭のみに過ぎない。

3,これで中韓の「日本は謝罪してない」という主張が
  間違いであると言うことを
  国際社会に印象づけることに成功した。

まあ、この3つでしょう。

この件に関しては「道義」の観点と
「戦略・効果」の観点に分けて考えないといけません。
いろいろなコメントを拝見してて思ったのは
この2つの概念をゴッチャにしてるということです。

まず、個別に言う前に
根本的なことを言います。

対中であろうが、対アジアであろうが
何故、再度謝罪する必要があるのか?

過去、日本は多くの謝罪を
アジア諸国に対して繰り返してきました。

日本の戦争謝罪発言一覧 - Wikipedia

何故、それを繰り返す必要があるのか?

首相擁護派の人は言うでしょう。

 これで中韓の「日本は謝罪してない」という主張が
 間違いであると言うことを
 国際社会に印象づけることに成功した。

これは戦略論・効果論でしょ?
国家の原則・道義的な部分はどうなるのですか?

明確に言えるのは
中国の反日暴動があったから
今、再度の謝罪表明となったわけです。
他に理由がありますか?
過去に何度も行った謝罪を
ここで改めて繰り返す理由は何ですか?
中国の反日暴動があったからでしょ。

日本政府が公式見解として
「いや、あれはアジア全体に向けられたもの」
と言い張るのはかまいません。
しかし、この時期に
何度も繰り返した謝罪をあえて行うことは
日中の枠組みで捉えられるのは当然のことです。
というか、捉える方が自然です。

国家の原則・道義の観点から言えば、

 過去に何度も行った謝罪を繰り返す必要はない。

この一点につきます。

あの場であえて繰り返したのは
中国の反日暴動があったからです。
あの謝罪は中国に対する日本のメッセージであり、
それ以外に何の理由もありません。

ああいう演説をこの時期に行えば
世界は日中問題として見ます。
私もそう見ます。
見られて当然です。
これに目をつぶることは欺瞞そのものです。
この演説が日中の枠内で捉えられるのは当たり前のことです。

よって、道義論の観点から言えば
謝罪を繰り返す必要などありません。
道義の観点から
再度謝罪する必要があるというのなら
理由を教えていただきたいものです

私が言いたいのは
土下座なんて策でも何でもないということです

土下座を国策の選択肢として使うのは
国家が生きるか死ぬかの窮地に追い込まれた時だけです。
そうでもない局面で土下座して平然としている。

そして土下座したことを
「小泉さんの良策」とか、
「これこれこういうメリットがあった」などと論評している。
この神経が理解できません。

私はメリットなんてほとんど無かったと見てますが、
仮に百歩譲ってメリットの方が多かったところで、
土下座して己の策を施そうというのは
プライドと気概の消失そのものです。

自らが一個の人間として日常生活において、
それがいくら利益になることでも
平然と他人に対して土下座するでしょうか?
おそらく大半の人間はプライドが許さないでしょう。
これが一個の人間として正常な感覚であり、
そのプライドがあるからこそ
健全な社会は維持されるのです。

中には土下座しても平気な人はいるでしょう。
こういう人こそ今回の小泉外交を
「首相の策は効果があった」と論評する資格があるのです。
己自身が「土下座しろ」と言われて気色ばむ人が
国家が土下座したことに関して平然としている。
そして策として評価している。
「これで中韓の口を封じることが~」なんて言っている。
中韓から「謝罪、謝罪!」と言われ続けて
謝罪ってものに対して
不感症になってるんじゃないでしょうか?


次に戦略論・効果論です。

戦略・効果の観点から
反日暴動に対する日本政府の戦略的希求は
2つのうちのどちらかです。

1,反日暴動が鎮静化してほしい。

2,反日暴動が拡大してほしい。

どちらかです。

1を望むならば
首相の謝罪発言は多少なりとも意味が通じます。

暴徒が「日本は謝罪せよ」と要求し、
当初にこれを煽った中国政府が
日本から謝罪の言質を引き出すことを目的にしている以上、
そこで日本が頭を下げれば
短期的には沸騰するエネルギーが収まるのは当然のことです。

ただし、長期的には
「日本は強く言えば叩頭する国」となって、
今後、日中間で問題が生じた時に
また暴動の嵐が吹き荒れ、
中国は日本に対して強硬な態度を取るでしょう。

要するに
「1,反日暴動が鎮静化してほしい。」
の目的のために謝罪したならば
その場しのぎにはなりますが、
長期的はマイナスです。

日本の戦後の対中外交の媚中パターン、
中国が強硬に出て、日本が頭を下げる。
これの繰り返しに過ぎません。

このパターンが日中関係の健全化に
どれだけ害をなしてきたか。
そして、日中関係をどれだけいびつなものにしてきたか。

こういうことを平然と繰り返す。
それに対して、あれこれと理由をつけて
あの謝罪を正当化しようとする。
私としては感覚を疑わざるをえません。

次に2の「反日暴動の拡大を希求」です。

私自身が反日暴動の拡大は
日本の国益につながると思っています。
これはここでくどくど説明しません。
過去記事でも見てください。

反日中国の未来予測・・暴動鎮圧と軍事侵攻

中国「反日」という名の公理・・攘夷と倒幕

同じ反日暴動の拡大希求派で
かつ、擁護派の人の主張の中で
「首相の謝罪発言=反日暴動の拡大」
などと言ってる方もいます。

しかし、先にも述べたように
これは全く論を成してません。
どこでどうすればそういう結論になるのか
全く意味不明です。
「風が吹けば桶屋が儲かる」程度の
思考のお遊びに過ぎません。

本来、反日暴動の拡大が日本の利益になるというのなら
日本は堂々と正論を述べ続ければよかったのです。

1,反日暴動とその危害に対して中国は謝罪せよ

2,尖閣諸島及び東シナ海の海底ガス田問題における、
  中国政府の対応は横暴であり、
  両国の友好を阻害する。

こういう当然のことを言えばいいのです。

そうすれば間違いなく反日暴動は拡大します。
わざわざ謝罪などせずとも
正論を言うだけで暴動は拡大します。

よって、対「中国の反日暴動」という点においては
1と2のどちらを望むにしても
首相の謝罪発言は明確にマイナスであるか、
あるいは意味がありません。
国益を害したと言っていいと思います。

さて、擁護派の主張、

 3,これで中韓の「日本は謝罪してない」という主張が
   間違いであると言うことを
   国際社会に印象づけることに成功した。

戦略論・効果論の観点から
意味があったのはこれだけですね。

ただし、物事は総合勘案です。
あの謝罪発言を戦略・効果の観点から見るならば
プラス・マイナス両面を比較勘案すると、
戦略的にはプラスよりもマイナスの方が
圧倒的に大きいと思います。

よって、結論としては

◇道義論の観点:謝罪は間違い

◇戦略論の観点:謝罪はマイナスの方が大きい

よって、今回の小泉首相の謝罪演説は国益を害しています。
愚かそのものです。


最後に、擁護派の主張の2、

  スピーチ全文を読めば分かるが
  謝罪の部分は冒頭のみに過ぎない。

冒頭だろうが何だろうが
反日暴動を受けて日中関係が緊迫する中、
多くの人が注目する中で
あの発言を行ったわけです。

聞く側があの謝罪の部分に注目するのは当然のことで、
それは演説した当の首相自身が分かっていることです。
分かってなければ政治的素人で、
そういう人間に政治を任せるわけにいきません。

それに敷衍して言うならば、
演説の場が二国間の会談・交渉の場であれ、
ああいうAA会議のような多国間の場であれ、
場所など問題ではありません。
要は首相の公的な発言であれば
場所など関係なく世界に発信されるのは当たり前のことで、
それが理解できてないのならば
首相に政治をやる資格などありません。


以上、ザァーっと書いてきました。

総じて言えるのは
これが小泉氏でなければ
これほど賛成・反対の論調は分かれないでしょう。
他の方であればこうも議論にならないと思います。

私は彼の発言であれば
枝葉の部分だけ捉えて
ああだこうだと擁護する理由を探そうとする発想が
全く理解できません。

私自身は、首相に対しては
一個の人間としては魅力的な人だと思います。
面白い人だと思います。
しかし、それとこの謝罪発言は別ものです。
首相がどういうキャラであれ、関係ありません。
間違いは間違いであり、愚かは愚かです。
彼の人間的な魅力によって
その政治的言動にバイアスを掛けて見るのは慎むべきです。

そうでなければ
一国の政治のレベルは
いつまでたっても成長しません。


さてさて、取りあえず
この問題から一旦離れます。
コメントに対しても
昨日のような精緻なレスは出来ないかもしれません

何故ならば、これをやってると
他の分野の記事自体が書けなくなるからです。
それは避けたいので (^^;)



log:謝罪も賠償も要求しなかった茶番劇。歴史の連続性

徒然なるままに時間のあるときにPCに向かひて:
 日本の外交~「お詫び」の意味~

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by misaki80sw | 2005-04-24 12:53 | 中国・台湾関連