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by misaki80sw

キルギス革命とロシアの憂鬱・・米民主化謀略戦。

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キルギスで革命が起き、アカエフ大統領は逃亡、
バキエフ氏が暫定大統領の地位についた。
俗に「チューリップ革命」と呼ばれる。

これで、旧ソ連を構成していた諸国のうち、
グルジア・ウクライナ・キルギスの三連続革命。
パターンは全て一緒。

◇大統領選挙又は議会選挙
     ↓
◇与党・体制側の勝利
     ↓
◇「選挙に不正があった!」と野党が怒る。
     ↓
◇革命劇の勃発
     ↓
◇大統領の敗北・退陣
     ↓
◇野党は歓喜の嵐

全く同じ。
笑っちゃうぐらい同じです。

すでにグルジア・ウクライナの革命劇に関しては
背後に米国がいたことが公然の秘密となっています。

この米国の手法に関しては
以前、記事にしました。

激動のウクライナ情勢:その陰には・・・。

現地の米国大使館が糸を引き、
さらの投機家ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団が、
反政府団体に資金援助を行う。

「体制転覆」の手法に関しては、
グルジア・ウクライナの経験を経て洗練されたものとなり、
ワンパッケージで反政府派に教え込む。

組織の作り方、政府の告発の仕方、
反政府デモの仕方、等々等。
「体制転覆法」を大量生産とマニュアル形式で
各国の反体制派の皆さまにお届けする。
いかにも米国じみたやり方。

さて、このキルギス革命ですが、
当初は米国は関与してないとされていた。
首都ビシケクのマナス空港には米軍基地が置かれ、
米軍のアフガン侵攻の際には
ここが支援基地として使われた。
米国はキルギスへのイスラム過激派の浸透を懸念しており、
アカエフ政権を後援していると見られていた。
ところが、ところが・・。

キルギス革命から2週間後、
一つのニュースが流れてきた。

米NGOが政変介入 キルギス前大統領

 政変でモスクワ郊外に逃れた、
 中央アジア・キルギスのアカエフ前大統領は6日、
 共同通信との電話インタビューに答え、
 キルギスの政権崩壊は、米国の非政府組織(NGO)の
 介入によって引き起こされた「権力の強奪」だったと批判した。
 
 また今回の政変は「暴力」を用いた点で、
 他の旧ソ連諸国のウクライナや
 グルジアのような「民主革命」ではないとし、
 キルギスや周辺国の政情や治安に
 一層の不安定化を招いているとの懸念を示した。
 
 アカエフ氏は政変を企てた組織として、
 民主化を求める米国のNGO、国際問題民主研究所や
 「フリーダムハウス」のほか、
 駐キルギス米国大使の名前などを挙げた。
 これらの組織が「急進野党」や「犯罪組織」などと結託し、
 議会選の何カ月も前から周到に準備して
 「権力奪取」を完遂させたと指摘した。

   (共同通信)


ああ、やっぱりな、と。

この記事は短くまとめているけど、
実はこの共同通信のインタビューには
「ソロス財団も関与していた」と
アカエフ氏は発言している。

結局、キルギス革命に関与した米民間団体は、

◇ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団

◇フリーダムハウス

◇国家民主研究所(NDI)

◇国際共和研究所(IRI)

の4つ。

ソロスの財団については過去記事で詳しく書いた。

激動のウクライナ情勢:その陰には・・・。

では、それ以外の3つの団体は何か?
これは以下の産経の記事が詳しい。

キルギス 米NPOが支援 政変実現させる

 キルギスのアカエフ政権を崩壊に追いこんだ政変をめぐり、
 米国の民間非営利団体(NPO)による、
 キルギスの独立系メディアへの支援などの
 民主化促進活動が実を結び、
 政変につながったとの見方が米国で強まっている。
 
 米NPOフリーダム・ハウス(本部ワシントン)は
 二〇〇三年十一月から、キルギスで
 「プリンティング・プレス・プロジェクト」を開始。
 党派性のない独立系新聞を支援する、
 「メディア・サポート・センター基金」を創設し、
 新聞発行業務の支援や
 海外の民主化の動きなどの情報提供を続けてきた。
 
 フリーダム・ハウスのほかにも、
 NPOである「国家民主研究所(NDI)」や
 「国際共和研究所(IRI)」などが、
 キルギスで衛星放送による米CNNテレビの視聴や
 インターネット利用の普及のほか、
 民主的なメディアや政党創設活動などを支援している。
 
 こうした活動は、
 旧ソ連圏各国の民主化促進を支援を目的とした、
 一九九二年の「自由支援法」に基づいて、
 米国家予算から捻出(ねんしゅつ)されている。
 国務省の国際開発局(USAID)を通じて、
 キルギスでの米各NPOの活動のために組まれた予算は、
 二〇〇五会計年度で総額三千三百万ドルに上る。
 
 米NPOによる一連の活動について、
 キルギスで「民衆革命」を起こした指導者の一人は、
 米紙ニューヨーク・タイムズに
 「米国のNPOの援助がなければ、
 行動を起こすのは絶対に不可能だった」と話した。
 
   (産経新聞)


というわけなんですね。

米国、バリバリにやってくれます。
政府は一切関与せず、軍隊も動かさず、
民間団体を資金援助することで
グルジア、ウクライナ、
そしてキルギスに革命を起こしてしまった。
ここらへんのやり方は非常にスマートですな。
謀略の教科書と言っていいぐらいです。

まあ、もっとも
上記の「民間団体」とやらが
本当に純然たる民間の団体なのか?
私は疑問に思ってるけどね。
おそらく米政府のダミー機関か、
半官半民のような
官の息がかかった組織だと思うよ。


この革命劇、この現実を前にして
他の旧ソ連邦諸国は一様に疑心暗鬼に陥っている。
なにしろ、どの国も建前は民主国家である以上、
一応、選挙というものがあるわけで
その期日が近づくにつれて
各国の独裁者どもは心臓バクバク状態。

たとえばウズベキスタンでは、当局によって
米国の非営利組織が首都タシケントで運営する通信社、
「インターニュース」が無許可活動の罪で起訴され、
銀行口座が凍結された。

さらにカザフスタンでは
今年末か来年早々に行われる大統領選をにらみ、
野党勢力と連動する可能性が高い、
イスラム原理主義組織「ヒズブ・タハリール(解放党)」が
危険分子として非合法化された。

<ウズベキスタン>米系通信社起訴
 米の民主化介入警戒か


キルギス政変 周辺「独裁」国家に危機感

野党支持者と警官隊が衝突 ベラルーシ首都
 ロシア周辺諸国騒乱警戒



さて、この一連の動きに焦っているのがロシア。

頼みのCIS(独立国家共同体)諸国が
米国の謀略により次々と親米へと剥がれ落ちていく。
この露骨なまでの「反露包囲網」の形成。
嗚呼、なんてこったい。

グルジア、ウクライナ、キルギス以外にも
ロシアの、一の子分だったモルドバも親欧米路線を強めている。
モルドバの独裁者ヴォローニン大統領は
米国にやられるのは嫌だと先手を打って親米に傾いた。

これに対してロシア下院では
愛国派を中心に不満が高まっており、
モルドバに対し、農産物の輸入停止や
モルドバ人移民の国外退去措置などを柱とする、
経済制裁を実施するよう政府に公式に要求した。

実はこのモルドバでは
3月に大統領選挙が行われたのだが、
この「米国への忠誠表明」によって革命は起きなかった。
ここらへん米国も露骨だよね。

モルドバ総選挙 親欧米の与党・共産党勝利
 露さらに孤立化


特派員モスクワ見聞録:
 小さなワインの国に700人の外国メディアが集結!


で、笑っちゃうのが
革命が起こった際の名称まですでに用意されていたこと。

グルジアはバラ革命。
ウクライナはオレンジ革命。
キルギスはチューリップ革命。
で、モルドバに用意されていたのが「グレープ革命」。

同国がブドウの産地だからとのこと。
米国人は植物や果実がお好きなようで(笑)。

さてさて、ロシアはCIS諸国をつなぎ止めようと必死で、
たとえばウクライナに対して
あの手この手の圧力をかけている。

エネルギー資源に乏しいウクライナは
石油や天然ガスなどをロシアに依存しているが、
ソ連崩壊後、経済が低迷する中で、
国内を通過し欧州に向かうパイプラインから
多くの天然ガスを無断で流用し、
巨額の対ロ債務を抱えてしまった。

ロシアはこの債務とエネルギー問題を背景に
ウクライナに圧力を加え、
かの国のEUとNATO加盟を阻止しようとしている。

そのロシア自体が
今、米国の民主化謀略戦に怯えている。
外堀を埋められただけじゃなくて、
今度は自国、内堀も埋められそうな勢いというわけ。

ロシアは現在、原油価格の高騰により、
一頃の経済危機は脱しつつある。
しかし、経済の弱体は相変わらずであり、
プーチン政権の、無料の交通費や医療費などの恩恵廃止もあり、
政権への不満や不信感が高まっている。

2005年2月、
旧ソ連時代以来の恩典制度を廃止し、
少数の現金支給に切り替えた改革に抗議する集会やデモが
ロシア全土で一斉におこなわれた。
ロシア内務省によると約200の市や町で約25万人が参加し、
プーチン大統領退陣などを要求、
プーチン政権発足後、最大規模の抗議行動となった。

露全土25万人集会 年金生活者ら恩典廃止に抗議

露指導層は分裂状態
 大統領府長官 一致団結呼びかけ


そのロシアで先頃、
衝撃的なニュースが政権を直撃した。

「将校の8割、反プーチン」露紙報道、政権に衝撃

 13日付露有力紙「独立新聞」は、
 今年1月に露軍内で行われ、
 秘密扱いとなっている将校対象の調査結果を入手、
 80%以上がプーチン政権の社会保障改革に
 反対していることがわかった、と報じた。

 グルジア、ウクライナ、キルギスで起きた、
 民衆蜂起による政権転覆が
 ロシアでも起きる可能性を懸念している同政権は、
 体制維持の最後の盾というべき軍の反発に
 衝撃を受けている模様だ。

 同紙によると、
 国内の暴動鎮圧などにあたる内務省軍将校の90%が
 生活水準に不満を抱いている、
 との調査結果もあるという。

   (読売新聞)


これはただごとじゃないね。
ああいう独裁もどきの中央集権国家においては
軍の忠誠は体制維持の必須要素。
プーチン氏の悩みは当分続きそう。


CIS諸国とロシアの現状を書いてきましたが、
これを見て痛感させられるのは、
所詮、国家は国力が全てだな、と。

ロシア周辺の諸国が
親露から親米へと鞍替えしていくのも
弱体化したロシアに見切りをつけたことが大きい。
もし、ロシアが旧ソ連の頃のような強大な力を保持していれば、
米国もああも無造作に
ロシア近隣をかき回すことなど不可能だったろう。

所詮、国家は国力が全て。
シビアなようだけどそれが国際社会の現実。



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by misaki80sw | 2005-04-17 22:38 | その他諸国・国連