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by misaki80sw

中国「反日」という名の公理・・攘夷と倒幕

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上海で数万人が反日デモ、北京は当局の厳戒下に

 中国・上海市で16日午前(日本時間同)、
 大規模な反日デモが発生、
 デモ隊は日本製品ボイコットなどを訴えて市内を行進、
 日本総領事館に達した。

 市公安当局は行進を黙認した。

 デモ隊の一部は日本料理店の看板やガラスを破壊、
 総領事館への投石を行った。
 中国経済の心臓部・上海での大規模反日デモは初めてで、
 反日行動が経済面に大きな影響を与える可能性も出てきた。

 浙江省杭州、天津でもデモがあった。
 北京は当局の厳戒下に置かれ、
 天安門広場では2人が警察に連行された。

    (読売新聞)


上海や杭州のデモは
それぞれ万単位の人数が参加したとのこと。

私がこのニュースを聞いた感想は、
彼らの反日に対する不快感が5割。
そして残り半分は「面白くなってきたな」と。

何故「面白くなってきた」のか?
以下、説明します。

デモ隊の構成者は
ざっと4つに分けられます。

1,真性の反日主義者

2,当局の工作員

3,付和雷同する群衆

4,反体制運動家

中国政府にとって
1は純情可憐な主義者であり、
2は自分たちの手下
3は無知蒙昧な子羊たち。

で、4は「牙を隠した狼」です。

中国政府は疑っているでしょう。
純情に反日を騒いでる連中の中に
この騒動を拡大し、中国全土に反日の火をつけて、
騒ぎを奇貨とし、
民衆を己の意図する方向に煽ってる輩がいると。
中国政府はその人物達の割り出しに
懸命になっているでしょうね。

以前にも何度か書きましたが、
反日のエネルギーは
容易に反体制のエネルギーに転化します。

「反日」とは中国人にとっての公理であり、
この神聖なスローガンの前には
中国政府と言えども叩頭せざるをえません。

逆に言えば、これを利用すれば、
反日を謳い文句に当局の容喙を受けることなく、
民衆のエネルギーを結集することができます。
私がかの国の反体制運動家であれば、
このエネルギーに乗じることを
体制打倒の戦略の骨子とするでしょう。

鋭い方ならピンときたかもしれません。
そうです、このパターンは
すでに過去の歴史において繰り返されています。
幕末の日本。
「攘夷」という公理です。

当初、「尊王攘夷」は思想的なものとして始まり、
日本国中に浸透していきました。
江戸時代の後半においては、このスローガンは
武士を含む日本の知識階級の公理となっていました。

しかし、幕末の嵐が吹き荒れる中、
当の攘夷勢力であった薩摩・長州などの雄藩は
この公理を幕府打倒の手段として行使しました。
この時「攘夷」は目的から手段に変質しました。

志士たちが攘夷の名のもと外国人を叩っ斬る。
で、怒った英仏列強が賠償金を幕府に請求し、
列強の武力を恐れる幕府は賠償金を払う。
これを見て世論は幕府の弱腰をなじり、
攘夷志士に拍手喝采する。

攘夷を断行せよ、外国との交易を断ち切れ、と
攘夷勢力は幕府に要求する。
この攘夷という絶対的な公理と
それを熱っぽく唱和する世論に押された幕府は苦悶します。

幕府の外国関係の機関には
当時の幕閣の秀才官僚達が集っていました。
彼らは攘夷が非であることを熟知しており、
開国こそが日本を繁栄させる道であることを知っています。
また、列強の軍事力と戦っても
とても敵わないことも知っています。

この機敏は薩長の首脳部はよく理解していました。
彼らは「戦略的攘夷論」のようなものを考え、
攘夷を目的ではなく、手段として行使しました。

攘夷を煽るだけ煽り、幕府を窮地に追いやり、
自らはこの沸騰するエネルギーに乗じ、
時勢という大波の後押しを受けた彼らは
倒幕へと突き進んでいきます。

そして明治維新の訪れと共に
維新政府は攘夷をあっさりと捨てて開国に踏み切ります。
残され、呆然としたのは純情可憐な攘夷主義者たちです。

当時のこの状況を知りたい方は、
司馬遼太郎さんのこの秀作を読んでみてください。

最後の将軍―徳川慶喜 文春文庫
 司馬 遼太郎 (著)


「攘夷」というスローガンの持つ、
摩訶不思議なエネルギーと
歴史的効能が理解できると思います。


さて、話しを現代中国に戻します。

中国の「反日」暴動。
この反日というスローガンは
中国政府にとって摩訶不思議な麻薬です。
うまく使いこなせば民衆の不満をそらし、
日本への圧力材料へと使える。
しかし、一歩制御を間違えば
自らを倒すエネルギーを解き放つことになる。

反体制運動家も
ここらへんの機敏はよく心得ています。
彼らはこれを最大限に利用しようとするでしょう。
反日は彼らにとって手段に過ぎません。

この両者は互いに腹のさぐり合いをしつつ、
共に「反日」という呪文を唱えながら、
時勢というエネルギーを
自らの掌中に収めようとするでしょう。

しばらくは両者の間の
駆け引きが続きそうです。



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by misaki80sw | 2005-04-16 16:30 | 中国・台湾関連