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by misaki80sw

台湾空軍vs中国空軍・・制空権と死闘

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反日デモで騒然としている中国ですが、
そのニュースに隠れた格好となっているのが、
中国の「反国家分裂法」の制定と
それに対する台湾独立派の大規模デモ。
中台間は再び緊張状態にある。

この両国の緊張関係って私から見ると実に奇妙。
中国の急激な軍拡。
そして台湾がそれに負けじとあっぷあっぷの軍拡。
たとえるならば、軍拡グラフの線が
中国が45度の急上昇に比べ、台湾は30度。

 「このままいけば
 年を経るごとに差が開いてしまう!」

この台湾の悲鳴。

未来は中国有利になることがハッキリ分かる中で、
互いに固定された角度のグラフを辿って
軍拡競争を続けている。

じゃあ、台湾も悲鳴を上げるくらいなら、
食うもの食わず「臥薪嘗胆」で軍備増強したらいかが?
私なんかはそう思うんだけど、
そこは台湾も民主主義の現代国家。
予算の使い道が多すぎるし、野党は軍拡に消極的。
それやこれやで破滅の砂時計は進行中なのに
砂のこぼれ落ちる姿をじりじりと眺めつつ、
いらいらとツメを噛んで焦慮にかられている。
なんとも不思議な光景で、
台湾人には悪いけど喜劇的ですらある。

ここらへんは日本の財政赤字と構図は全く同じ。
破滅の未来が待っているのに
いまだに出費が削れない。
この国家意志の欠如と克己心の無さ。
他人様のことなんか言えた義理じゃないね。

・・・ああ、話が完璧に逸れました。
そうです、今日は「台湾空軍」について書きます。

現代の正規軍同士の戦争は航空優勢の確保が全ての全て。
これが無きゃ何にも出来ない。
いくら優れた艦艇を持とうと、いかつい戦車を走らせようと、
制空権を相手に握られれば身動きが取れない。
空軍力の優勢が戦争勝利の大前提。

さて、そういうわけで
中台戦争が発生した場合、
勝敗の帰趨を握る両国の空軍力ですが、
一方の台湾空軍の実力を検証してみましょう。

台湾空軍の現有兵力は以下のとおり。

作戦機 500機

戦闘機

◇F-16A/B 約150機

◇ミラージュ2000V 約60機

◇F-CK-1(IDF)経国 約130機

◇F-5B/E/F 約90機

早期警戒機

◇E-2T 4機


基本的には防空能力がメインで、
対艦・対地攻撃力は二の次となっている。

では、各機の解説。

<F-16A/B>

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F16は米国製戦闘機で
低価格の軽量戦闘機として開発された。
当初は昼間戦闘機で空対空戦闘のみとして計画されていたが、
後に全天候型戦闘機に変更となり対地攻撃能力も付与された。
名称は「Fighting Falcon」。

フライ・バイ・ワイヤ操縦装置の採用により、
機動性が優れた戦闘機。
初飛行は1974年にもかかわらず、
今日でも最新戦闘機と互角の性能を誇っている。
世界の多くの空軍で採用されているベストセラー。

F-16Aはその初期型であり、
Bはその複座タイプ。
台湾は米国に性能向上型のF-16C/Dを望んだが、
米国はこれを却下し、A/Bタイプを売却した。


<ミラージュ2000V>

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無尾翼デルタ翼を持つ単発のフランス製戦闘機。
8ヶ国で採用されている。
ミラージュF1の後継機として開発された。
初飛行は1978年。

固定武装として30mm機関砲2門。
ハードポイントは9ヶ所で、
空対空ミサイル4発の他、
通常爆弾、対地ミサイル、対艦ミサイル等を搭載可能。

台湾空軍が採用するV型は
ミラージュ2000の新鋭バージョンで
強力なMICAミサイルを搭載し、
アビオニクスの改良を施した。


<F-CK-1(IDF)経国>

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IDC又は経国と呼ばれる台湾の国産双発戦闘機。
ジェネラル・ダイナミックス社など
米国メーカーと共同開発した。

1970年代末、
台湾はF-5E/Fに続く新戦闘機として、
F-16の購入を米国に打診した。
しかし、この時の米政府は
当時の親中政策からF-16の売却を拒否。
代わりに性能の劣るF-20を輸出しようともちかける。
だが、台湾はこれを断り国産開発の道を選んだ。

試作1号機は1988年に完成。
1989年5月に初飛行を行った。
台湾空軍への引渡し開始は1994年1月。
その後、複座型を含めた130機が
2000年1月14日までに納入された。

機体は、ジェネラル・ダイナミックス社との共同開発のため、
F-16に極似している。
フライ・バイ・ワイヤ操縦や
マルチモード・パルス・ドップラー・レーダーなど、
最新のエレクトロニクスを装備。
エンジンは独自開発を諦め、
米製のビジネス機用エンジンにアフターバーナーをつけたもの。

兵装は20mmバルカン砲1基と
両主翼端にスパローもどき“天剣”2型をそれぞれ1発、
主翼下にサイドワインダーもどき“天剣”1型4発を装備。
また、空対地ミサイル及び空対艦ミサイルの装備も可能。

総合的な性能はF-16より劣るとされている。


<F-5B/E/F>

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1950年代に輸出専用として開発された軽戦闘機。
軽量で運用性が高く使いやすい機体として
予想外のベストセラー機となった。

F-5Eは1972年から就役した改良型で、
エンジン出力が増大し、燃料搭載量が増加、
限定的な全天候戦闘能力を獲得している。
現在も20数国の空軍で使用され続けており、
アビオニクスの近代化が進められている。

すでに老巧化し、台湾空軍においては
徐々に他の新鋭戦闘機に改変中である。


<E-2T>

米国製の早期警戒機。
米海軍が艦載機として運用するために開発した。
愛称はホークアイ(hawkeye)。
米国の他、多くの国で採用。

早期警戒用の空中レーダー母機。
低空侵入機の早期発見および対処、
空中作戦指揮及び陸上レーダーサイト機能の代替、
通信の中継などを主任務とする。
双発のプロペラ機で
機上の巨大な円盤状のレドームが印象的。

T型は台湾向けバージョンでB型の性能向上型。


ざっと、こんなもんです。

さて、一方の中国空軍の戦力は、

作戦機 1970機 *他に海軍機が430機

戦闘機

◇Su-27 約100機

◇Su-30 約60機

◇J-8 約180機

◇J-7 約670機

◇J-6 約350機

◇Q-5 約300機

爆撃機

◇H-6 約140機

この中で最新鋭はロシア製のSu-27とSu-30。
中国ではJ-11・Jー13と呼ばれている。

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この両機はこれ以降も輸入により数が増えるでしょう。

さらに中国がイスラエルのラビ戦闘機をもとに
国産開発した新鋭戦闘機J-10が
そろそろ実戦配備に入り始める。

中国空軍は新鋭戦闘機の多くを
台湾正面の南京軍区に展開していると見られている。


さて、では単純に比較してみます。
台湾空軍機と中国空軍機。
果たしてどっちが強いか?

単純な格闘戦ならば
Su-27・Sn-30の勝ちは間違いないでしょう。
あの洗練された機体がドックファイトで優位に立つでしょう。

だが、現代の空中戦は単なる個機同士の
ガンファイトで決まるものではない。
ミサイルの性能、電子兵装の性能、
早期警戒機を中心とした指揮・命令システム、
そしてパイロットの飛行時間と機体の稼働率。

これらを総合的に考えるならば
これは推測と直感だけど、
私は台湾空軍の方が勝つと思っている。
現在の機数と機種では
中国空軍が台湾上空の制空権を握ることは難しい。

ただし、時が経つにつれ、
中国軍の装備が飛躍的に増強されるわけであり、
最終的には中国有利となるでしょう。

さて、ここで中国軍の戦術に触れたいと思います。
中台戦争勃発の劈頭、
おそらく中国軍は
巡航ミサイルを台湾軍のレーダーサイトに発射、
弾道ミサイルを台湾の飛行場に発射するでしょう。
そしてサイトと飛行場を破壊すると同時に
攻撃機が台湾海峡を越えて奇襲をかけ、
雨あられと爆弾を降らして滑走路上の台湾機を破壊する。
そして航空優勢の確保。
まあ、これが常套手段でしょうね。

中国軍の巡航ミサイルの実態は謎につつまれているが、
1991年の湾岸戦争の戦訓に刺激を受けて
開発が始まったとされている。

主な巡航ミサイルは2つ。

◇長風2:射程800キロ

◇紅鳥1:射程600キロ

命中精度はそれぞれ20~30メートル。
米軍のトマホークより劣る。

中国軍の主な弾道ミサイルは2つで、

◇東風11:射程300キロ

◇東風15:射程600キロ

共に固体ロケットエンジンを装備し、
八輪駆動のランドクルーザーに搭載されている。
作戦準備時間は約30分以内。
命中精度は30~45メートル。
衛星測位システムを採用している。

現在、この2つの弾道ミサイルは
台湾の沿岸に500~600基配備されており、
毎年50基づつ増加している。

巡航ミサイルは亜音速で飛行するが、
弾道ミサイルは音速の数倍の速度で落下してくるため、
迎撃が非常に難しい。

台湾の対空早期警戒システムは
空軍のE-2T早期警戒機と
高所に配置されたレーダーサイトで構成されている。

E-2Tは4機しかないため、
万全の警戒システム構築は難しく、
レーダーサイトで補完せざるを得ない。
しかし、レーダーサイトは
開戦当初に真っ先に攻撃を受けるでしょう。

この早期警戒システムが
中国の弾道ミサイル発射を捉えるのが
発射から45~60秒後。
おそらく大量のミサイルが数次に渡って
飛来してくるでしょう。

2005年度から、台湾期待の星の迎撃ミサイル、
「パトリオットPAC3」が配備される。
敵機や弾道ミサイルを迎撃するミサイルで、
現在配備の古いPAC2をこれに順次換装していく。

パトリオットPAC3は米製の最新鋭迎撃ミサイルだが、
高速で落下してくる弾道ミサイルの迎撃には
ちと心もとないものがある。
おそらく迎撃率は50%を切るんじゃないかね。

中国も一定の比率で迎撃されたり、
不発だったり、着弾がそれるのを見越して、
大量に一斉に打ってくる。

なんせ台湾海峡は
狭いところだと150キロ程度しかないわけで、
飛行機だとわずかに15分程度で到達してしまう。
弾道ミサイルだと数分で着弾。
演習に見せかけて奇襲をかければ
かなり成功の可能性が高いと思う。

逆に台湾側もそれを承知してるから
「中国軍の演習」との情報が流れてきても、
奇襲の可能性有りということで待機態勢に入る。

また、台湾は
中国ミサイルの精度が年々向上しているのに
危機感を強めている。
96年の「台湾危機」の時点では
中国の弾道ミサイルの命中精度は300~600メートルで
お話にならない粗末な兵器だった。

しかし、近年の精度向上。
台湾空軍は中国ミサイルによる飛行場攻撃に備えて
最近、高速道路での離着陸訓練を行った。

台湾空軍、高速道路で戦闘機訓練・26年ぶり

Mirage in Highway

これも良策のように思えるが
所詮は高速道路であり、一時的にしか使えない。
給油や軽い整備程度は可能だけど、
本格的な整備が出来るわけじゃない。


とまあ、こうやってザァーっと書いてみると、
台湾側の弱点が見えてくる。

つまり、

1、時が経つにつれて中国側の兵力が増加すること。

2、国土が狭く、中国に近いため、
  迎撃に余裕と縦深性が欠ける。

この2点ですな。

逆に台湾の有利な点は、

 米軍の来援を想定できる。

まあ、これに尽きますな。

弱点の2点、

 「中国側の兵力増加」
 「迎撃に余裕と縦深性が欠ける」

実は、これを補う秘策がある。
作戦上の秘策じゃなくて、政略上の秘策ですけど、

即ち、

 日本との同盟!

これが出来れば台湾の弱点もかなり解消される。

在那覇の空自機の来援、
さらに台湾空軍も那覇や先島諸島の
日本の飛行場を使うことが出来る。
台湾本島の飛行場が使用不能になっても、
こっちに緊急着陸は可能となる。

ただし、その場合は
日本が中国と一戦覚悟しなきゃいけないけどね。

まあ、陸海空三軍全体の話や、
台湾VS中国の国家戦略の話は、
また後日にでも書くといたしましょう。



台湾空軍の現状

F-16 (戦闘機) - Wikipedia

ミラージュ2000 (戦闘機) - Wikipedia

F-CK-1(IDF)

Su-27 Mighty wing


台湾問題―中国と米国の軍事的確執
 平松 茂雄 (著)



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by misaki80sw | 2005-04-14 23:32 | 中国・台湾関連