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by misaki80sw

週刊「ホリエモン考察」vol,03・・敗勢の影。

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さて、週刊:ホリエモン考察の3です。

前回の2から状況は一変しました。

膠着状態かと思われてましたが、
突如、ニッポン放送が
大量の新株予約権をフジテレビに発行した。

対するライブドアは24日夜、
予約権発行差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てた。
両者の争いは司法の判断に持ち込まれ、
早ければ1~2週間で地裁の決定が出る。

この二転三転の流れを横目で見つつ、
いくつかの章立てでホリエモンとフジを語りましょう。


<善悪論の観点から・・法律と社会>

さて、発端となったライブドアの時間外取引による株買収。
そして今回のフジによる新株予約権の発行。
これは手法的にどうなんでしょうか?
善悪、どんなもんでしょうか?

法律論で言うならば、
当初のライブドアの時間外取引によるニッポン放送株の買取。
私は、これは法そのものには反してないと思う。
違法行為だとは思わない。
むしろ、そういう抜け穴があるトンマな法律を作った官僚と
承認した政治家に文句を言いたい。
この点において、ホリエモンにどうこう言うつもりはない。
「抜け目のないやっちゃ」ぐらいかな。

逆にフジの新株予約券大量発行。
これは法的にどうなのだろう?
違法か?順法か?
・・・よく分かりません。
ライブドアによる東京地裁への発行差し止めの仮処分申請。
これの結果しだいでしょうね。
地裁が判断を下してくれるでしょう。

法的な部分以上に私が重要視したいのが法の理念。
あるいは社会通念。
これを両者守ってるか?

ライブドアの時間外取引の大量買取。
これは明確に法の理念に反している。
証券取引法におけるTOB(公開買付)の発想は、
多くの株主に株売買の平等性を保障するため、
他企業の買収に際しては公開買付を原則としている。
ホリエモンはこの制度の裏をかいくぐり、
法の理念と原則を破った。

一方の、フジの新株予約券大量発行。
これを法の理念から見ればどうなるか?
違反ですな。
彼らも明確に違反している。

企業の所有者は株主であり、
株価を下落させるような予約券大量発行は
株主に対する背信行為である。
それが真っ当な発想だと思う。

ただ、フジの行為を
法の理念よりも社会通念の観点から見たらどうなるか?
相手が法の理念に反する行為で自社を乗っ取ろうとしている。
そういう状況の中で、
目の前に「トリッキー」な有効防御策がぶら下がっている。
これを使うか否か?
座して乗っ取られるか、トリッキーに走るか?
難しいところですな。

私は、法の理念に反してでも防御すべきだと思う。
その意味では今回のフジの手法には賛成です。
他に有効な手段が無いのなら仕方が無い。
相手がそういう手法を使って乗っ取りにくるなら、
こっちもそれ相応の手法で反撃するのもやむをえない。
座して乗っ取られ、「ハイ降参します」
こういうのを「小善人」という。
で、法の理念を犯して攻撃してきた人間が
勝利の凱歌をあげ、富とマスメディアを握ると。
こういうのを許容すべきではない。

自社の経営理念や経営哲学を
誇るべきものと考えるならば
大いに防御すべきでしょう。
世評のちゃちな善悪論に怯む必要など無い。


<戦略・戦術の観点から>

このまま状況が推移していけばどうなるのか?

すでにフジに軍配が挙がったという人もいれば、
法廷闘争となり、どちらが勝つかは見えないという人もいる。
焦点は、ニッポン放送による新株予約券の発行が、
法的に正当なものと認めらるか否かでしょう。

この新株予約券の発行を巡る攻防は
これは兵法でいえば「戦術論」の次元なんでしょうが、
より高次な「戦略論」の観点から言うならば、
フジの方が優位だと思う。
何故ならば彼らは
泥沼の長期戦に耐えられる財力をもっているから。
長期戦になってもぜんぜん構わない。
ライブドアにはそれが無い。

ライブドアは短期決戦でカタをつけるしかない。
膨大な条件付転換社債を発行して
己の体力に見合わぬ金を一発勝負で注ぎこんでるわけです。
彼らは長期戦には耐えられない。

フジはそれを見越したうえで、
新株予約券の発行という戦術に出たのでしょう。
この戦術自体が局面打開の手法であり、
仮にこれが失敗して泥沼の法廷闘争・長期戦になっても、
それはそれでフジ側の有利である。
おそらく、そういう判断が根底にあると思う。

戦術的にフジが局面打開の必殺技を繰り出し、
戦略的にもフジが優位に立っている。
総合的に見るならばフジの勝利は揺るがないと思うね。


<ホリエモンの失敗>

さて、もっと別な観点から
この争いを眺めてみます。
フジサンケイグループ全体よりも
産経新聞と正論路線に限った話をします。

仮に、ライブドアが予想もつかない手法で
このジリ貧の状況をひっくり返し、再逆転したとする。
そしてニッポン放送の経営を手中に収め、
フジサンケイグループ全体と産経新聞に対して
当初の目論見どおり、影響力を行使したとする。
しかし、私は予想します。
最終的に彼らは敗れるだろうね。

産経の今回の事態に対する見方はハッキリしている。
この「主張」を見ればわかるでしょう。

【主張】堀江氏発言 産経を支配するって? 
 少し考えて言ったらどうか


要するに「冗談じゃねえよ!」と。
「あんたみたいな金儲けの亡者に
正論路線を否定されてたまるか」と。
論理よりも感情が面に出ている文章だけど、
彼らの心情をよく表していると思う。

ホリエモンが雑誌「アエラ」上で
得々と語った産経新聞の改造計画と正論路線の否定は、
おそらく産経内部では憤激の対象となったでしょう。
この人物の愚かな点は、
買収の前段階から買収先の社員を敵に回したこと。

ホリエモンが言ったことは
企業哲学・企業理念の否定。
別な言葉で言うならば「志」の否定。
彼が言ったことは、
どうやったら儲かるか、
どうやったら世の需要にマッチするか、
どうやったら世の利便性に供して
利益をあげることが出来るか。
その方法論を語ったに過ぎない。

私はことさら産経を神聖視する気はないけど、
戦後の左翼史観全盛のマスメディアや国民世論の中で、
一人自らの主張を貫いた点は偉観だと思うし、
他の大手紙に比べ部数も少ない状態で
毅然とした姿勢を維持してこれたのは
この新聞社が内面において
よほど硬骨なものを持っているからだろう。

ホリエモンが産経新聞の経営を左右できる状況になって、
この硬骨な新聞社に乗り込んでいって
果たして何が出来るでしょうか?
おそらく何も出来ないだろうね。

要するに、企業理念と歴史を全否定し、
社員を敵に回すような買収は、必ず頓挫するということ。
それは企業を一から解体して新たに作るのと何ら変わりない。
コスト的にはむしろ高くつくだけ。
信用などの無形の部分で損害を負うのがオチだと思う。
ホリエモンは
彼らを説得しうる代替の企業理念を持ってないからね。

また、ホリエモンは産経新聞のみならず、
別な者も敵に回した。
日本の保守層。

産経の経済新聞化。
正論路線を改めエンタメ路線に切り替える。
これが保守層の中で憤激を呼んだ。

現在の日本の屋台骨を支えてるのが保守層。
これを全てでないにしろ、
そのうちの多くを敵に回したことは
ホリエモンにとって大きな失敗だったと思う。

私は産経読者というものは
一種独特なものがあるように感じている。
発行部数も少なく、販売店も限られており、
入ってる広告やチラシも少なく、
どこかの新聞と違って入試に出るわけでもない。
そういう新聞を読みつづけるのは
内容が良いからでしょう。
内容の主張に共鳴しているからでしょう。
もちろんそうじゃない人もいるだろうけど、
全体の傾向性としてはそういうことだと思う。

ホリエモンはこの人たちを敵に回したに等しい。
仮にこの買収劇がライブドア有利で進行すれば、
この層の反発は避けられないでしょう。

これは政界・官界・財界においても同一で、
ホリエモンは、この政官財の産経読者層を
ハッキリと敵に回してしまった。
この買収劇の行方のみならず、
今後のライブドアの社業の伸張に対して、
この人たちからの有形無形のプレッシャーを
受け続けることになるでしょうね。

富裕の町人が小判を懐に武士の魂を買収しようとし、
「無礼者!」と叩っ斬られる。
多少、産経贔屓が過ぎるかもしれないけど(笑)、
構図としてはこんなとこでしょうか。



ライブドアVSフジテレビ


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by misaki80sw | 2005-03-01 21:36 | マスコミ・ネット・媒体関連