misakiのオールジャンル時事評論!


by misaki80sw

新生イラク建軍・・米軍撤兵への道筋。

a0018138_19535357.jpg


イラク内相:治安体制確立までには1年半かかる

 イラク暫定政府のナキーブ内相は3日、
 イラク人治安部隊の訓練などが完了し、
 国内の治安維持体制を確立するまで
 1年半はかかるとの見通しを示した。
 イラクに駐留する米軍など外国軍の撤退時期については、
 「政治的問題だ」として明言を避けた。
 バグダッドからの電話会見で米国防総省の記者団に語った。

 ナキーブ氏は、治安体制の整備目標として
 ▽国境警備の強化
 ▽治安部隊の訓練、装備向上
 ▽情報収集体制の拡充
 などを挙げた。

 駐留米軍は、治安維持活動のイラク人部隊への
 早期移管を目指し訓練を行っているが、
 十分な成果が上がっていない。
 3日、米上院軍事委員会の公聴会で証言した、
 ウルフォウィッツ国防副長官は、
 選挙警備で現地部隊は
 「訓練で進歩が出ていることを示した」
 と主張したものの、
 「イラク人部隊は米軍ほどの能力がない。
 やるべきことが多いのは明らかだ」と問題を認めた。

   (毎日新聞)


イラクの泥沼にあえぐ米国。
すでに米兵の死者は千4百人。
一ヶ月の駐留経費は48億ドル(約5千億円)。
重い重い負担。

撤兵への出口を模索する米国だが、
本格政権の発足、行政機構の整備など課題は目白押し。
その中でも治安の回復がやはり最重要事項。
これなくしては米軍は撤退できない。
その際に重要となるのがイラク治安部隊の整備でしょう。

この治安部隊の整備は米軍撤退へのキーポイント。
新生イラク軍という代替兵力を生み出さない限り、
米軍はハッピーエンドでイラクからサヨナラできない。

今年の1月の時点で、
イラク治安部隊の要員は12万7千人。
これは軍、警察、国境警備隊の合計数。
このうち実戦に対応できるのは7千から1万千人。
米軍の支援なしでテロリストと戦える部隊は
数個大隊程度に過ぎない。

遅れるイラク治安部隊の育成

これを一年前の数と比較してみる。

米国防総省の04年1月時点の発表では
イラク人治安部隊は
警察が6万9千人、民兵1万3千人、
国境警備隊1万2千人、新イラク軍千人。
合計9万5千人。

経済用語の解説:イラク人治安維持部隊

一年間でわずかに3万人程度しか増えてない。
国境警備隊・警察の数にさほど変化が無いと仮定して、
軍の増加は3万人ということ。

つまり、治安回復の最重要課題が
この一年間でほとんど達成されていない。
原因の一つには軍人募集に応じるイラク人が少ないこと。
これはゲリラとテロが横行するイラクで
軍人になろうものなら
間違いなく銃火の下をくぐらなければならない。
死傷率も高い。
給料は旧イラク軍よりはもらってるらしいが、
警察官よりは薄給とのこと。
これじゃあ、なり手が無いのも当たり前だわね。

もう一つは軍人として養成しても
いざ戦場に連れて行くと脱走したり、
敵と内通して集団で寝返ってしまってること。
昨年11月、イラク北部モスルで警察部隊の大半が脱走。
中部サマラでは、警察部隊が敵と内通した。
自国を戦場に自国民と戦う。
彼らが暗澹たる気持になるのも無理はない。

イラク暫定政府は、
軍・警察・国境警備隊などの治安部隊を
計27万人にまで増やすことを目標としているが、
こんな感じで目標クリアは夢のまた夢の状態。
上記ニュースのイラク内相の発言、
「治安体制確立までには1年半かかる」は
ちと楽観的すぎますな。

米国もこの現状に頭を痛めており、
旧イラク軍の兵士や将校を積極的に募集して、
軍の陣容を整えるのに必死。
また、NATO諸国に依頼して
イラク軍の訓練を行っている。

NATOはイラクに訓練指導官を
計10カ国から約110人程度派遣している。
また、NATO諸国の国内で、
イラク軍人の訓練に応じる国も増えている。

スペインは地雷除去分野でイラク軍と警察を
国内で訓練する用意のあることを表明。
フランスも国内とペルシャ湾岸・カタールで
憲兵隊約1500人の養成支援にあたる意向を表明。

NATO:イラク治安部隊の訓練支援の強化、加速で合意

米国にとって光明はイラク国民議会選挙の成功で、
これにより新生イラク国家と政権の正統性が確立された。
この意義は大きい。

統治の正統性を確立できれば軍の士気も高まる。
また、入隊する志願者も増えるだろう。
この意味においては、米国にとって
撤兵への一筋の道が見え始めたというところか。
逆にゲリラ側はこれが嫌だから
あれだけ選挙を妨害したわけね。

ただし、前途は依然として多難。
選挙は成功したものの、
シーア派、スンニ派、クルド人。
この3大勢力はうまく融和できるのか?
ひとつになって新イラク国家の建設に邁進できるのか?

難問集積で、ここ1~2年に関しては
米軍のハッピーエンドの撤退はありえそうも無い。
そのまま駐留を続けるか、
政治的決断で、混沌状態を放置したまま、
引きちぎるようにイラクから撤兵するしかなさそうだな。



娘通信♪関連過去記事
米軍、占領統治の公式とは?・・「日本」体験の束縛。
混迷のイラク、クルド人が分離独立の署名提出。
ラム長官、兵士に責められる・・日米の「装甲」問題。
イラク情勢悪化・・米国緊急支出・日本人拉致。
イラク戦争の様々な観点:大量破壊兵器とユーロ建て決済
軍人再雇用が急務・・イラク、失業と治安と。
[PR]
by misaki80sw | 2005-02-16 19:57 | 中東関連・対テロ戦争