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by misaki80sw

日本版:北朝鮮人権法案・・脱北と日本流入と北崩壊。


北朝鮮人権法案、自民・民主案出そろう 調整は難航か

 北朝鮮の人権状況の改善に向けた「北朝鮮人権法案」の
 自民、民主両党案の骨格が出そろった。
 自民党は今国会で成立をめざしているが、
 日本国内に受け入れる脱北者の範囲や
 拉致問題の扱いなどについて、両党案には隔たりもある。

 自民党は今月初め、北朝鮮人権法案の骨子素案を発表。
 民主党は、9日の「次の内閣」で
 北朝鮮人権侵害救済法案の要綱を決めた。

 両党案の最も大きな違いは、
 脱北者にどの程度門戸を開くかという考え方だ。
 民主党案は、脱北者は北朝鮮に戻れば
 迫害される可能性が高いとして、
 国連難民条約に基づく「条約難民」に準じて
 幅広く保護の対象とすべきだとしている。

 そのため、脱北者保護を「国の責務」と位置づけ、
 法相が脱北者を「認定」する制度を設け、
 在留資格の取得や永住許可などの要件を
 比較的緩やかにしている。

 これに対し、自民党案は、
 脱北者の身元確認が難しいことなどから、
 治安対策への配慮を求める法務省などの意見を踏まえ、
 在外公館での保護は「努力義務」にとどめ、
 国内への受け入れも
 「一定の要件を満たす場合」と条件をつけている。

   (アサヒ・コム)


この両党の法案の元ダネになっているのが
米国の北朝鮮人権法。
2004年3月アメリカ下院に提出され、
6か月の審議の後に上下院を満場一致で通過、
同年10月にブッシュ大統領の署名で発効した。
法律の要旨は以下。

1、北朝鮮に対して「基本的人権の尊重と保護」を求める。

2、日本人や韓国人の拉致問題の解決など、
  北朝鮮の人権状況が改善されない限り、
  米国から北朝鮮への人道支援以外の援助を禁止。

3、北朝鮮と人権問題を協議する大統領特使のポストを新設。

4、北朝鮮から米国への亡命者に門戸を開く。

5、北朝鮮人の人権状況改善に向けて
  脱北者の保護や支援活動にあたる団体・個人に対して、
  年間最大2400万ドルを05年から4年間、
  計約1億ドルの資金援助を行う。

6、北朝鮮向けのラジオ放送を1日12時間まで増大する。

この中で一番重要なのは、3と4だね。
特に4が大きいと思う。

3の「米国への亡命者受け入れ」。
実質的な意味より、象徴的な意味が大きい。
現実問題、北朝鮮を脱して
第三国経由で北米大陸まで達するのは困難だし、
脱北者の多くは韓国行きを望むそうだ。
そりゃそうですな。
言葉は通じるし、同じ民族の国だしね。

4の「脱北者支援者・団体への資金援助」
これは大きいよ。
これをやれば当然の如く、脱北の流れが加速する。
脱北者が向う韓国や中国は災難だろうけどさ(笑)。

もともとこの法は
法案提出の段階では「北朝鮮自由化法案」と呼ばれていた。
東欧共産圏が難民の流出で崩壊した先例を念頭に置き、
国民流出によって北の崩壊と自由化を促そうというもの。
あまりも刺激的過ぎる名称なので「人権法」に変えられたが、
内容の趣旨自体に変化は無い。

これに対して、自民党の日本版「北朝鮮人権法案」。
報道によれば趣旨は以下。

a,在外公館に保護を求めてきた脱北者は
  日本または第三国に出国させる

b,脱北者が一定の要件を満たす場合、
  入管法上の在留資格により受け入れ、定住を支援

c,北朝鮮の人権状況改善に向けた活動を行うNGOに
  財政上やその他の支援を行う

d,問題解決の進展状況を国会に報告、国民に公表

焦点になってるのは「b」ですね。
日本定住を許可するか否か?
許可するとしてその範囲は?

おそらくね、法案作成者の本音としては、
「脱北支援団体に資金援助する」
「でも、日本定住はお断りだよ」
このワンセットを望んでいるでしょう。

ただ、それをやっちゃうと、
脱北は支援するけど日本には入れません。
結果的に「韓国にでも行ってください」
あるいは「中国でさまよってください」となってしまう。

当然、脱北者の受け入れに消極的になっている韓国、
そして脱北者を単なる越境犯罪者として
北朝鮮に追い返している中国は、
猛然と反発するだろうね。
さらに世界の世論に顔向けも出来ない。
「脱北を促しておいて、後は知らないよとは身勝手」と。

これじゃあ、まずいってんで

 「脱北者が一定の要件を満たす場合、
 入管法上の在留資格により受け入れ、定住を支援」

を、一種の「免罪符」項目として入れたんでしょう。

この法案の目的はズバリ、北の体制崩壊。
あるいは、それを視野に入れた圧力手段の確保。
この2つにある。
これを追求することが良いことなのか否かの議論は
とりあえず脇に置いておくとして、
「北崩壊」という目的達成の観点から
この法案の良否を検証してみましょう。

検証の柱は2つです。

◇この法案の成立が「北崩壊」を促すか?

◇この法案成立のメリット・デメリットは?


<この法案の成立が「北崩壊」を促すか?>

元ダネとなった米国の人権法もそうだけど、
法案の原点は「脱北者の増大による金体制崩壊」。
じゃあ、具体的にどのくらいの数の脱北者が出れば、
北の体制は崩壊するのか?

90年代から200万人以上と言われる餓死者を出しながら、
いまだに体制が崩壊してないことを考えるならば、
数万から数十万人程度の脱北では効果はないでしょうね。
少数では、むしろ体制不満分子の追い出しにつながり、
逆効果になるかもしれない。
やっぱり数百万人のレベルじゃないと意味が無いでしょう。
ここらへん、東欧諸国自由化の際の難民流失とは
ちと状況が違いますな。
ああいう国だしね。

脱北者が国外脱出を計れるのは、
今のところ北方の中国との国境しかない。
韓国との南の国境は38度線の軍事の壁に阻まれている。
この北方国境から今後数ヶ月から数年の間に
数百万の脱北者が越境するような事態になるか否か?
正直、難しいと思うね。
だって中国が国境の軍を増大させて
絶対にこれを防ごうとするでしょう。

私はむしろ、米国の人権法の場合、
法案作成者の意図とは別にして、
「脱北者の増大による国家体制の崩壊」よりも、

◇脱北者の増大
   ↓
◇中国が苛立つ。
   ↓
◇さらに脱北者の増大
   ↓
◇中国が金体制を見限る
   ↓
◇さらに脱北者が増大
   ↓
◇中国が金体制崩壊へ画策
   
この意味の方が大きいと考える。
おそらく米政権担当者たちは
この観点から人権法を利用しようと考えてるんじゃないかな?
直接的に北崩壊を促進させるというより、
間接的に中国に圧力をかける意味の方が大きいでしょう。

よって、日本版「人権法案」。
日本への定住許可と脱北支援団体への資金援助で
脱北者を増大させ、
金体制を崩壊させるという図式は成り立たない。
中途半端な数では北は崩壊しないしね。
むしろ米国と同じように脱北者を増やすことによって
中国にプレッシャーをかける意味ならば効果がある。

まあ、どちらにしても
日本の門戸開放自体はさほど意味が無いでしょう。
特に自民党案のように
定住許可範囲を元在日+日本人妻のように限定するならば、
あまり大量脱北への誘因効果はない。
単なる人道上の「免罪符」に過ぎない。

結局、支援団体に援助する金額次第ですな。
これが巨額であれば金体制崩壊への間接的な効果はあるし、
逆に、ケチれば法案自体の意味が無い。


<法案成立のメリット・デメリットは?>

メリット

 ◇中国への「脱北圧力」を増大させることで
  うまくいけば金体制崩壊へとつながる

 ◇北朝鮮へ外交的圧力をかけられる。

デメリット

 ◇日本流入脱北者による諸問題。
  a,生活保護等の国費の増大。
  b,治安の悪化
  c,一緒に北朝鮮が工作員を潜入させる可能性大。
  d,少数民族問題の抱え込み・悪化。

 ◇韓国の反発

 ◇中国の反発

まあ、こんなとこでしょうか。

結局、この法案の良否っていうものは
このメリットとデメリットの足し算・引き算ですね。

デメリットの「国内流入脱北者による諸問題」。
これについて触れておくと、
仮に法案を通すとして、その場合のポイントは

◇いかに多くの脱北者を誘引できるか

◇いかに日本流入者を少数に限定できるか

これにかかってるわけですな。
「ごっそり脱北させて、受ける者は少数限定」と。
矛盾する言い方ですけど、この両立が必要。

シビアな言い方だし、非人道的な発想かもしれませんが、
逆に、脱北者の数は増えず、
日本流入者の割合だけが増大したとなっては
法案成立のメリット無し。

この意味では民主党案は甘いね。
門戸を開放しすぎた場合の
国内混乱の観点が欠けすぎている。
米国と日本の国情は違う。
為政者として失格です。


さて、まだまだこの法律は自民党内でも議論の途上だし、
民主党案とのすり合わせの問題などがあって、
内容がどう変化するのかも定かではないけど、
私の、この法案に対する賛否の基準は、

◇脱北者支援団体への巨額の資金援助。
  ケチるぐらいなら意味はない。
  やる以上は一気に資金投入。
  この法案のメインはここ。

◇国内流入者を「日本人妻」単身に限定。
  「元在日」の範囲は駄目。
  数的にいえば数百~数千人規模にまで絞る。
  
この2つを両立できるならば賛成します。

もちろんこれにより、
韓国・中国との摩擦は避けられないでしょうが、
これで北が崩壊しちゃえば、
彼らに四の五の言われる筋合いもない。

要は「北朝鮮人の人権を守るべし!」
これを全面に掲げること。
人道・人権保護の表カンバンを前に押しだし、
韓国と中国の反論を封じることだね。



米国:北朝鮮人権法

Yahoo!辞書:北朝鮮人権法

持田直武 国際ニュース分析:
 米制定の北朝鮮人権法をめぐる確執



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by misaki80sw | 2005-02-12 20:39 | 韓国・北朝鮮関連