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by misaki80sw

防衛費大幅削減!? Part,4・・軍政のデザイン(中編)

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久々の「防衛費大幅削減!」シリーズの続編です。
やっと書きました (^^;)

前回の前編では、
日本の軍事戦略と陸自の定数について
雑談風味に書きました。

さて、今回は日本の防衛力整備、
そして今後の自衛隊改革の
進むべき方向性を書いてみようと思います。

柱は二つです。

◇RMA化
◇海空中心への組織転換


まずは、RMA化の話から。

RMA。
Revolution in Military Affairs の略。
日本語に訳すと「軍事革命」又は「軍事における革命」。
情報技術の発達が
従来の軍事の概念に革命を起こしつつある。

RMAを単純に説明するならば、
敵と味方の情報をリアルタイムで正確に受け取れる軍隊と、
そうじゃない軍隊が交戦した場合、どっちが勝つか?
答えは簡単ですな。
情報を持ってる軍隊が勝つ。

五里霧中の視界の中で、
魔法のようにクッキリと敵軍が見える軍隊と、
まったく見えない状態の軍隊が戦ったらどっちが勝つか?
答えは簡単ですな。
よく見える方が勝つ。

爆弾の命中精度が半径5メートルの軍隊と
半径50メートルの軍隊が戦ったらどっちが勝つか?
答えは簡単ですな。
精度の高い方が勝つ。

RMA化ってのは以下の3つ。

◇情報収集能力・戦場認識能力の向上
 
  情報衛星・GPSによる測位・無人偵察機・
  夜間暗視能力・各種センサー

◇情報が部隊末端にまでリアルタイムで伝わる。

  情報の集積と解析・コンピューターの小型化・
  情報のデジタル化・ネットワークを介した情報の共有
  大容量通信網

◇目標へのピンポイント攻撃

  詳細なリアルタイム情報・精密誘導兵器・
  GPSを用いた誘導

敵軍の情報を詳細に、
しかもリアルタイムで収集し続け、
その情報を全軍が共有する。
攻撃は敵の指揮命令系統・情報網をピンポイントで狙い、
敵軍の機能を麻痺させる。

従来の大規模工業化時代の戦争は
「総力戦」と「消耗戦」の時代だった。
互いに国力の限りをつくして
へとへとになるまで戦い抜く。
第一次大戦・第二次大戦がいい例。

情報化時代の戦いはRMAによる「麻痺戦」。
敵の指揮・統制機能、情報・通信網を攻撃し、麻痺させる。
敵軍を無力化してしまう。
相手のツボをピンポイントで突いて
「お前はもう死んでいる」状態にしてしまう。

かつてワーテルローの戦いで
ナポレオンを破った英将ウエリントンは言った。

 「軍人として過ごした歳月の半分は
 あの丘の向こうに何があるのだろうかと
 悩む繰り返しだった」

また、かの「戦争論」の著者、
プロシャのクラウゼヴィッツは
情報の欠如によって生じる戦場の不確定要素を
「戦争の霧」と呼んだ。

丘の向こうに敵軍がいる。
その動静を偵察衛星や無人偵察機で
リアルタイムに把握する。
一方の敵軍はこちらの動きがつかめていない。
ウエリントンの悩みはRMA化が解決してくれる。

昔の軍隊は
敵の情報はおろか味方部隊の情報すらも
手探りで前進するしかなかった。
陸海空の3軍は組織の垣根で隔てられ、
同じ陸軍同士、空軍同士であっても
部隊や兵科・兵種が違えば意志の疎通に事欠いた。

情報がリアルタイムに流れず、簡単に取り出せず。
情報や指示命令が組織の垣根に邪魔されて、
一つ一つ手順を踏まないと前に進まない。
それが軍隊といえばそれまでだけど、
はて、何とかならないものか?

コンピューターの驚異的な性能向上と小型化。
インターネットの発展。
情報のデジタル化。
情報の高度な集積・解析
大容量の情報を伝える通信網
これらが旧来の軍隊の有りかたを変えた。

闇夜に前線の歩兵が
暗視スコープ越しに見る敵戦車の映像を
数十キロ後方の司令部でも同じようにモニターで見ている。
下手をすると数千キロ後方の本国でも同じ映像を見ている。
そして敵戦車の正確な位置をGPSで測定し、
爆撃機が飛んでいって爆弾をズドン!
歩兵からの情報がリアルタイムで空軍の爆撃機に伝わり、
爆弾をズドン!
この爆弾も何千メートルの上空から落として、
GPSが正確に目標まで誘導してズドン!
敵の戦車は何がなにやら分からんうちにやられてしまう。
これがRMAです。

1991年の湾岸戦争。
RMA化の方向に切り替えつつあった米軍。
そして第一次大戦そのままの塹壕戦の発想から
一歩も出ないイラク軍。
クウェート周辺のイラク軍は総勢54万人。
対して、米軍を主体とする多国籍軍は70万。

開戦劈頭の1月17日深夜。
多国籍軍はイラク軍の情報収集システムと
通信システムの破壊を行った。
闇夜の中をサウジ国境から
アパッチ攻撃ヘリが地表すれすれに忍び寄り、
ヘルファイアミサイルを発射、
イラク軍のレーダーサイトを破壊した。

同時にF-117ステルス機が
イラク軍の防空網をすり抜けてバクダット上空に侵入。
イラク軍の防空指揮司令部と通信施設、
電話交換施設などに対して、
レーザー誘導爆弾による精密爆撃を行った。

また、ペルシャ湾の米海軍艦艇からは
トマホークミサイルが発射され、
イラク軍のレーダー基地、通信施設、
変電所などを破壊した。

こうして開戦後数時間で
イラク軍の指揮命令機能・情報通信機能は麻痺し、
航空戦力による組織的な作戦は不可能となり、
制空権は完全に多国籍軍が握った。
制空権が無ければ、詳しい敵情の把握は不可能で、
イラクの目と耳はわずか数時間で機能を失い、
あとは「湾岸戦争」という名の
多国籍軍による一大掃討戦となった。

2003年のイラク戦争。
湾岸戦争時よりも
さらにバリバリのRMA軍隊と化した米軍。
そして全く変化の無いイラク軍。

米英連合軍は29万2千人。
イラク軍は37万人。

開戦は3月20日。
米軍のバクダット突入は4月9日。
たったの3週間の戦いで
フセイン政権はあっけなく崩壊した。
米軍兵士の死者は109人。

米軍は一国を小兵力で
圧倒的な速度で制圧してしまった。
イラク軍の弱さもあるだろう。
サダム・フセイン政権の弱体化もあるだろう。
でも、米軍は強かった。
半端じゃない強さ。
そう、RMA化された軍隊はかくの如く強い。
それは中東の大地で二度に渡って証明された。
少数精鋭の兵力が敵大軍を蹂躙する。

今まで1000人の戦力でやっていたことを
少数精鋭の100人が効率よく動いて片付けてしまう。
RMAとは効率化であり、少数精鋭化。

今、各国の軍隊は米国を筆頭に
この流れに乗り遅れまいと必死になっている。
RMAを導入するとしないとでは、
戦力に大幅な差が生じてしまう。

ただし、RMA化は莫大な金を喰う。
そこで諸国はどうしてるかというと、
人員を削減し、軍隊の規模を縮小した上で、
浮いた金をRMA化の元手にしている。
これが今の世界の流れ。

さて、一方の自衛隊です。
軍事評論家の江畑謙介さんによると、
米軍のRMA度を100とするならば、
自衛隊は15程度とのこと。
お寒い現状なわけです。
6倍以上の開きが生じてしまってます。
要するに同規模の米軍と自衛隊が普通に交戦した場合、
米軍が圧勝するということです。

当たり前のことですが、
戦争は勝たなきゃ意味がありません。
であるならば、勝てるように準備しないとけません。
勝ちたければRMA化は必須です。

ただし、付言しておきます。
そのRMAとて万能ではないこと。
それは今のイラクの現状を見れば分かるでしょう。
正規軍との戦いでは魔術の如き効力を発揮したRMAですが、
侵攻地での対ゲリラ戦、都市での掃討戦、
こういうのは不向きです。

また、RMA化とは、
必然的にITとネットワークに依存するために、
ここを攻められると弱いです。
つまり、サイバー攻撃ですね。
ここがポイントとなります。

台湾問題で、
米国と張り合おうという野心を見せている中国が、
この「サイバー攻撃」の技術開発にえらく熱心なのも
何事かを暗示していると思います。


さて、次に「陸海空」の構成バランスの話し。

この国の地理的条件を見れば、
日本が保持すべき戦力は
海空主体で陸が従ってのは一目瞭然だと思う。

敵国の直接侵攻にたいしては海空で撃破し、
シーレーンも海空で確保する。
それが成功すれば必然的に陸の出る幕は無い。

もちろん、日本本土や島嶼の防衛に
最終的には陸上戦力は必要だけど、
日本の地勢からいえば海空重視は当然でしょう。

日本のような人口密集国家は、
一旦、同規模の地上軍の上陸を許してしまえば、
これを防御するのは難しい。
まっ平らな富士の裾野の火力演習とはここが違うよ。

また、前編で書いた「日本の軍事戦略」の3つの柱。
即ち、
1、領土・領空・領海及び国家権益の防衛
2、シーレーンの確保
3、米軍の来援

3はともかく、1と2に準拠して
軍事組織の構成や装備体系を考えるならば、
やはり海空が主体とならざるを得ない。。

「地理的条件」及び「日本の軍事戦略」の両観点から見ても
海空主体、陸が従。
これを日本の防衛力の基本とすべきでしょう。

さらに付言して極論・暴論を言うならば、
陸自・海自・空自の三軍構成なんかいらない。
海自だけでいい。
陸自・空自なんかいらない。
◇海自本隊
◇海自付属の海兵隊
◇海自付属の航空隊
この構成だけでいい。
組織体としてはこれでいい。

まあ、これは極論だとは思うけど、
発想としては、海主体で、空がこれに次ぎ、
陸はオマケでいいと思うよ。

海外へ外征軍を派遣するような状況になれば別だけど、
日本の国土とシーレーンのみを防御すればいいのなら、
大掛かりな陸軍は不要。
海空戦力の充実を基本とすべき。


よって上記の如く、
今後の自衛隊の組織構造・装備体系は、

◇RMA化

◇海空戦力中心の編成

この2つを柱として変革すべきだと思います。

では、次回の後編で
その具体的な組織と装備について書きます。



国際派日本人養成講座:情報化時代の軍事革命(RMA)

防衛庁:情報RMAについて(PDF)
 注)無茶苦茶重いです (;^_^A

これからの戦争・兵器・軍隊〈上〉
 RMAと非対称型の戦い



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by misaki80sw | 2005-01-29 22:44 | 日本(政治経済)