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by misaki80sw

台湾独立に関して・・小が大に勝つには。


先日書いた「北京五輪と台湾独立」という記事。
台湾の独立問題について考察したやつですが、

北京五輪と台湾独立・・独立の好機とは?

これに私がよく見ているブログ、
「すいか泥棒日曜版」さんが触発されたということで、
以下のような記事を書かれました。

【台湾建国への道】1. 台湾の拠って立つべき位置

【台湾建国への道】2. 時間は中共に味方する

【台湾建国への道】3. 世界を味方に付けるには


台湾独立に関して
台湾側の視点に立った場合、
早期にやる方がいいのか、時節をじっくり待つべきなのか、
私とすいか泥棒さんの意見は分かれたわけです。

まあ、もっとも
双方とも台湾の独立に対して賛成するものであり、
達成する方法と時期・手段の相違に過ぎません。
つまり、戦術論の部分で意見の相違があるわけです。

一応、私も自分の意見を再度表明するべく、
彼女の意見やその後の私の考察もふまえた上で、
かなりの長文を書きました。
しかし、先ほど読み返してみて、
ふと物憂さを感じてしまいました。

前にも書いたことがありますが、
私は生来の怠け者でして、
ブログ間論争みたいなのは面倒くさくてしょうがないです。
好きな時に好きな意見を書く方がよほど気楽でいいです。

だから、この長文の掲載は見送ります。
ただ、あちらが真摯に書いたものに対して
全く反応しないというのも非礼かなと思いまして、
ここで私の意見の要点のみ、
以下に箇条書きで掲載します。

さて、この件に関しては
これで終了にしたいと思います。
よって、この記事に関してコメント欄は閉じさせていただきます。
ご了承くださいませ。


<「台湾独立」とは何か?>

◇台湾独立問題の本質は2つ。
  1,国際的孤立の打破
  2,中華民国から台湾国家への脱皮
  
◇この2つがワンセット。
 どちらか一方が欠けても意味は無し。
 これを両立できれば独立問題は卒業。

◇彼らは実質的にはすでに「独立」している。
 今、台湾島に存在するのは独立国家そのもの。

◇この台湾島を領土とする国家に唯一欠けているもの、
 それは「諸外国の信任」。

◇台湾にとって必要な「独立」とは、
 「独立に対する諸国の信任」。
 それ以外の要素はすでに全て揃い済み。

◇「台湾独立問題」イコール「独立信任問題」。

◇独立宣言それ自体がゴールではない。

◇独立が彼らにとってプラスに転化しなければ
 なんのために独立を志向したのだか分からない。

◇独立後の台湾を取り巻く国際環境や、
 経済状況が安定する必要がある。


<独立へのプロセス>

◇独立に至るまでのプロセスは以下の3つ。
  1、独立宣言
     ↓
  2、諸外国の信任
     ↓
  3、中国の信任(領土権主張の放棄)
 2まで達成できれば上等。
 3までクリアできれば完璧な独立。

 1,独立宣言:
   台湾島を領土とする主権国家の独立宣言。
   中華民国の亡霊にとどめを刺す。
   実質的な意味よりも精神的な意味が大きい。
   台湾人のアイデンティティの確立と、
   ナショナリズムや士気の鼓舞につながる。

 2,諸外国の信任:
   独立国家「台湾」の国際社会入り。
   これが本当の意味での「独立」。
   今、これが無いから苦労している。
   他国から「独立」を無視されればそれまで。
   
   世界の諸国は損得論で動く。
   敵対関係が絡まない限りは、
   大なる中国と小なる台湾を単純比較するならば、
   大を取るのが当然。

 3、中国の信任:
   台湾島に対する領土権主張の放棄

   これをクリアしなければ
   台湾は海峡を挟んで永続的に
   中国の圧力にさらされ続ける。

   条約に基づいて
   「放棄」をきっちりと宣言させること。

◇この3つのプロセスの観点から
 ここ数年内の早期独立を考察するならば、
 諸国の信任を得られる可能性は無い。
 むしろ、中国の武力侵攻を招くだけマイナス。

◇台湾周辺に武力紛争を呼び込み、
 それがいつ終了するかも知れず、
 経済等に与える影響も考えるならば、
 マイナスの方がはるかに大きい。

◇これは「大なる中国と小なる台湾」
 この構造自体に変化が無いから。
 局部的な戦闘に勝っても、この構造は揺らがない。
 大に対する信任に変化はない。


<台中対立の基本的な構造>

◇「大なる中国と小なる台湾」
 この両国の対立関係を戦争にたとえるならば、
 すでに台湾は構造的に負けている。

◇戦略的敗北は戦術の局部的な勝利では覆らない。
 所与の条件からして負けている。

◇これを勝ちに転化させる方法は以下の3つ。
  1,自分が中国より大きくなるか、
  2,中国が小さくなるか、
  3,他の大きな者を味方にするか
 構造的な劣勢を勝ちに変えるのは
 この3つのうちのどれか。

 1,これは無理。
   国力的に中国をしのぐのは根本的に無理。

 2,中国が内部で混乱や内戦を起こし、
   秩序が四分五裂の有様になったとき。
   国力の低下、政治システムの混乱、統一秩序の空白。

   この状況になれば台湾がつけいる余地は有り。
   外交次第で「独立への諸国の信任」
   「中国の台湾島への領土権主張の放棄」まで
   クリアすることも可能。

 3,大国が台湾の独立を支援すること。
   これは難しい。
   そこまでやる義理も無いし、利益も無い。
   ただし、本格的な米中対立が起きれば別。


<台湾の防衛について>

◇中国は90年代から営々と軍備拡張につとめており、
 2010年前後に台中間の軍備格差が最も開く。

◇この問題は「独立宣言問題」と
 切り離して考える必要がある。

◇これは「台湾の防衛」の問題であり、
 「台湾の独立宣言」という概念とは別個。
 両者は密接に関係しているが、概念としては別。
 混同すべきではない。

◇即ち、台湾が独立宣言しようがしまいが、
 軍備の格差は開く。
 宣言しようがしまいが関係ない。

◇つまり、独立を宣言したところで
 台湾軍の戦力がアップするわけでもなく、
 独立宣言はこの問題の解決には全く寄与しない。
 むしろ、中国軍侵攻の口実を与える分だけマイナス。


<中国の武力侵攻と米軍>

◇中国の武力侵攻時には
 現国際状況が持続する限りは、
 米国はこれに介入する。

◇よって中国の軍備増大と台湾侵攻は
 米国の後援の視点を外すべきではない。

◇中国が軍備拡張を続けて、
 ロシア製の航空機と艦船を揃えても
 米国の戦力には勝てない。

◇中国海軍の空母保有論。
 保有・戦力化は早くても2030年代以降。

◇空母は単艦のみでは戦力となりえない。
 ワンセットの艦隊を形成しなければ戦力にならず、
 護衛する駆逐艦や巡洋艦、対潜能力や対空能力、
 電子戦や高度な通信能力の開発が必要。

◇空母は単艦であれ、部隊であれ、
 運用するには一定のノウハウの蓄積が必要。
 中国にはこれが全く無い。
 少なくともここ10~20年は、
 中国版「機動部隊」はあり得ない。

◇よって、米国の支援関係を前提にするならば、
 中国の軍備拡張は台湾にとって
 国家の死命を制するほどの脅威ではない。

◇やれるのは脅しと
 弾道ミサイルを使った破壊攻撃のみ。


<台湾の核保有について>

◇この問題は「独立宣言問題」というより、
 「台湾防衛」の問題。

◇独立問題的にはマイナス。
 独立において最も必要なのは
 米国の後援と諸国の信任。
 核保有はこの2つを失う。

◇台湾防衛的にも、むしろマイナスの方が大きい
 1,米国との同盟関係に齟齬が生じること。
 2,核保有による効果は
   中国の核兵器を抑止することのみで、
   通常兵力の抑止にはつながらない。
 3,核兵器の技術開発には時間がかかる。
   弾道ミサイルへの搭載は10年単位。
   巡航ミサイルの開発と搭載は15年単位。
   原潜製造と核ミサイル搭載は20年単位。
   ここ数年単位では意味がない。

◇台湾の国家戦略は
 1,米国の後援
 2,日本との友好
 この2点を基軸にすべきで、
 核保有はこの両者を失う。

◇よって国益的にはマイナスの方が大きい。



とまあ、こんな感じですか。

箇条書きでもこの文量だから、
原文は無茶苦茶長かったです(笑)。

あれこれ書いてますが
結局、ポイントは1つです。
独立は自分が宣言するだけじゃ駄目で、
諸外国がこれを認めなければ意味がないということ。

であるならば、
諸外国からの信任を前提にして
独立宣言の時期を見定めるべきで
その見通しが立たない段階に宣言しても、
今の彼らの国際環境と全く変化はありません。
むしろ、中国軍の武力侵攻を呼び込み、
台湾経済にとって大打撃となります。

台湾が独立宣言をしようがしまいが、
中国の台湾侵攻を睨んだ軍備増強は続くのであり、
台湾経済の人質化を狙った、
中国の台湾資本呼び込みは続きます。
独立宣言は、この問題の解決に寄与しません。
宣言してもしなくてもこの傾向は続きます。


最後に一般論で締めくくります。

国家と国家の関係であれ、
企業同士や個人同士の関係であれ、
大なる者と小なる者の利害が対立した場合に、
大が小に術策を仕掛けるのはたやすいことですが、
小が大に仕掛けるのは難しいことです。
それには周到な準備と臨機応変の柔軟性と
的確なタイミングの読みが必要で、
少しでも歯車が狂えば自らを滅ぼします。
大に押しつぶされます。

歴史を振り返れば
その種の事例に事欠きません。
もちろん、時として小が大に打ち勝つこともあるでしょう。
それは決して不可能とは言いません。
しかし、リスクが大きすぎます。
一歩間違えば自らを滅ぼします。

小が大に勝ち易く勝つ道とは
自らが大となるか、相手を小に転落させるか、
他の大なる者と盟を結ぶか、
この3つです。
要は「小VS大」の構造的な部分を変化させることです。
これは国家・企業・個人を問わず、
世の全ての事象に言えることです。
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by misaki80sw | 2005-01-15 21:54 | 中国・台湾関連