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by misaki80sw

鳥取県境港、北朝鮮有利の特区構想が却下。


もう一週間前のニュースになるけど、
12月8日、鳥取県の川上知事提出の特区構想が
国によって却下された。
特区の名前は「境港水産加工業振興特区」。
北朝鮮に対する経済制裁論議が盛り上がる中、
それに対する抜け道を開く特区構想だった。
その経緯を追っかけると・・・


来年3月から「一般船舶油濁賠償保障法」が施行される。

◇日本に入港する100トン以上のすべての船に適用
◇保険未加入の船舶は国土交通省が入港を禁止できる。
◇どうしても無保険船で入港したいなら、
 責任限度額までの支払いを保証する担保契約を付けること。

国土交通省:
 油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案について


当初は、座礁した貨物船などが油事故を起こし、
賠償金も支払わないのは困るとして作ったもの。

ところが審議を経るうちに、
あれよあれよと内容が厳しくなり、
政治的な思惑がどんどん上乗せされて、
法が成立した時は、こんな感じになった↓

改正油濁損賠法が成立 北朝鮮船の入港困難に

これによって、北朝鮮の船舶は90%以上が
入港は不可となる。

彼らの船舶は大半が保険などかけてないし、
かけようにも、北朝鮮船に保険をかけてくれるような
酔狂な保険屋など世界中に存在しない。

保険に関してまとめると以下になる。

◇日本入港の船舶は油漏れに関する保険をかけるべし!
  by 国土交通省

◇でも、北朝鮮船の90%以上は保険未加入だよ。
  どうしたらいいわけ?

◇保険をかけるには、
 「船級」という格付けを貰わないといけない

◇船級を与えられるのは
 英国法に基づいて認定された、
 国際船級協会連合(IACS)の正会員または準会員のみ。

◇IACSの正会員または準会員のリスト内に、
 韓国と中国はあるが北朝鮮はない。

◇大半の北朝鮮船は船舶構造などの規格に合致せず、
 船級は与えられません。

◇もし、加盟国が他国に船級を恣意的に与えると、
 協会から即日追放に。
 最低でも50年は復帰できない。

◇というわけで、
 やっぱり北朝鮮船の90%は入港不可です!
  by 国土交通省

ってな、感じなんですね。

拉致連絡板:
 一般船舶油濁賠償保障法についてのお勉強



で、来年の3月からこれが施行されて、
北朝鮮は大打撃を受けるのは必至。
実質上の経済制裁。

これに困ったのが鳥取県境港市。
境港は北朝鮮からベニズワイガニ、貝などの
魚介類を輸入しており、
2003年の輸入額は28億5000万円。
これを加工して輸出することで、
この市の経済は成り立ってきた。

もともと境港は魚介類を自前で水揚げし、
加工していたのだが、
日本海の漁獲高が減少するとともに、
北朝鮮からの輸入に頼るようになった。

1992年5月に北朝鮮・元山市と友好都市協定を締結。
相互の訪問団派遣、民間企業の経済交流を始める。
次第に北朝鮮船の入港が活発となり、
2003年には年間409隻が入港、
京都の舞鶴港を抜いて全国一となった。
また、去年には
鳥取県知事と境港市長が揃って北朝鮮を訪問した。

境港にしてみれば、「油濁賠償保障法」の施行は
地場経済を壊滅させる大問題であり、
県と市はあの手この手の対応策を協議した。

北朝鮮水産物安定確保へ 境港の水産業界

境港の業者支援に前向き 県議会で知事


で、今年11月24日に国土交通省に特区申請。
名称は「境港水産加工業振興特区」。

構造改革特区(6次)提案募集における
 構想・プロジェクト概要

 (7ページ目)

 鳥取県境港市は
 国内最大のベニズワイガニ水揚を誇る水産業の町。
 しかし近年の漁獲減少に より現在では
 外国より輸入したベニズワイガニを原料とした加工業が
 地元産業で大きな位置を占めている。
 2003年同港に輸入された原料は約7000トン、
 加工による生産額は180億円に上 る。
 改正油濁損害賠償保障法の成立により
 100トン以上の船舶に対し
 保障契約の締結が義務付けられる。

 境港に入港する外国船の多くは
 保険未加入の状態であるため、
 入港禁止が実施され た場合に
 地元産業の倒産など経済に与える影響は計り知れない。
 こうした事態を回避するため、
 境港においては保険加入義務を
 500トン以上に引上げる特区を申請する。


境港に入港する外国船=北朝鮮船は、
500トン以下だったら保険を免除してくれと。
早い話が、境港だけは
「油濁賠償保障法」をザル法にしてくれと。


そして12月8日に国土交通省からの回答。

検討要請に対する国土交通省からの回答
 (40ページ目)

 本規制は、わが国沿岸への座礁船の放置等により
 油防除措置や船体撤去等の費用負担を
 地方自治体が強いられることから、
 地方自治体からの強い要望も受け、
 本年4月に油濁損害賠償保障法を改正し、
 来年3月より施行するものである。
 
 放置座礁船として問題となる船舶は、
 比較的小型のものが多く、
 保険義務付けの 対象船舶を100トンから引き上げた場合、
 座礁事故等によって被害を受ける地方自治体や
 漁業者等に対する十分な保障が確保できないこととなる。
 また仮に、義務付けトン数引き上げが
 特定地域のみで実施されたとしても、
 当該特定地域以外の場所において
 対象船舶による座礁事故が発生する可能性があるため、
 当該特定地域のみならずそれ以外の地域においても、
 被害者保護が損なわれる結果となる。 
 このため提案された特区に拠る対応を行うことは
 不可能である。


却下されました(笑)。

まあ、当たり前だよ。
これで申請が通ったらブチキレものですよ。
こうして境港の特区申請はかくしてかくなり、
却下されましたとさ。

それにしても鳥取県側も国土交通省も、
互いに一言も「北朝鮮」と言わないのが笑える。
官僚だね~。


こういう事象は
歴史上ではしばしば起きること。
通商は相互の繁栄と同時に、相互の癒着を生む。
つまり「利益共同体」となってしまう。

境港とて、北朝鮮が好きなわけじゃないでしょう。
でも、自分とこの経済のためには
背に腹をかえられない。
結果的に、相手の利害の代弁者となってしまう。
特に力関係でいくと弱者側はそうだよね。

事実、特定船舶入港禁止法案が
国会に提出された際には、
朝鮮総連幹部が境港の水産団体を訪れ
「何とか法案に反対できないか」との打診があったとのこと。

電脳補完録:
 北朝鮮の入港日本一 境港市 唯一の姉妹提携市に逆風


この境港と北朝鮮の関係を拡大したのが、
日本の経済界と中国の関係。
日本から多くの企業が中国に進出し、
貿易で荒稼ぎしている。

で、最近、経済界首脳が中国の意向を代弁し、
「靖国参拝は日中関係を損なう」などの発言が目立つ。
利害共同体と化したわけですな。

娘通信♪:
 安倍氏、媚中財界人を批判・・財界の正気はどこに?


通商の恐さはここなんだよね。
交易繁栄・通商増大は、
相手の利害に引っ張られることと裏腹の関係にある。

境港の例は一つの教訓ですな。





ニュースの焦点:
 高まる緊張感 境港にも 北朝鮮船の検査強化


対北朝鮮貿易、昨年3割減 「経済制裁」発動前から萎縮

ローカルニュース:
 北朝鮮制裁の入港禁止法案 境港市に大打撃


ローカルニュース:
 境港の業者支援に前向き 県議会で知事


ローカルニュース:
 外貿船急増で職員数膨張 境港港湾合同庁舎


境港市-市政懇話会の概要報告:
 「境港市だけにはテポドンとかを打ち込まないように・・」

 (ページの下の方)

電脳補完録:北朝鮮船籍の港別入港状況
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by misaki80sw | 2004-12-18 11:33 | 日本(政治経済)