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by misaki80sw

中国、農民暴動の頻発・・農村の実情は?


中国農民の“反乱”続発 警官隊と衝突、死者も
 貧富差、汚職に不満


 経済成長著しい中国で
 発展から取り残された農民らによる「反乱」の発生が
 十月以降、相次いで伝えられている。
 土地収用をめぐる地方政府への不満などをきっかけに
 当局や警官隊と衝突、
 死傷者が出るなど事態は尾を引いている。
 背景には根深い役人の腐敗や
 一向に縮まらない貧富の格差への反発が横たわり、
 発展の陰で広がる社会不安が顕在化しつつある。

 香港紙の報道などによると、
 「反乱」は主に内陸の農村部で発生。
 四川省では水力発電所、
 陝西省では経済開発区建設をめぐり、
 それぞれ立ち退きなどに不満を持つ農民多数が
 現場を取り囲むなどして警官隊と衝突、
 農民側に死者が出た。

 重慶市では役人の特権に反発する住民一万人以上が
 地方政府庁舎を取り囲んだほか、
 安徽省では年金に不満を持つ数千人が幹線道路を封鎖。
 広東省では橋の通行料徴収をめぐって数万人が暴動、
 河南省では漢族とイスラム教の回族が衝突、
 七人が死亡したとされる。

 胡錦濤政権は農民保護を重点施策に掲げているが、
 地方では農民から安値で土地を買い上げ、
 転売して収益を上げる強制的な収用、乱開発などが横行。
 中国誌によると、土地収用に絡む苦情の訴えは
 今年上半期だけで四千件以上にのぼる。
 都市と農村では所得格差がなお三倍以上、
 地方では役所が種々の名目で
 手数料を徴収する「乱収費」が後を絶たない状態だ。

   (西日本新聞)


昨日、産経新聞記者山本秀也氏の
「本当の中国を知っていますか」という本を読んだ。
そこにこのニュースが飛び込んできて
タイムリーと言えばタイムリーなので、
本の内容を紹介しつつ、
中国農民の現状を書いてみたいと思う。


<農村の貧困と過剰人口>

1978年に始まった中国の開放・改革路線。
それ以来、都市部と農村部の経済格差は劇的に開き、
今や2002年の統計で、
都市住民は平均年収入は7703元(約11万5500円)。
一方の農村部は2467元(約3万7千円)。
実に3倍の格差となっている。

貧しい農村では就業機会も無い。
中国政府の発表によれば、
農村から近隣及び遠隔地への出稼ぎ人口は一億二千万人。
このうち省の境を越えて移動する遠征組は4千万人に達する。
要するに、これが農村部の失業人口というわけ。

もともと革命後の中国では
農村は人民公社方式による全員就業が基本だった。
厳しい住民登録(戸籍)制度があり、
当局の許可なしに農民が都市に住むことを禁止されており、
「流動人口」なる概念が存在しなかった。

それが1982年、
憲法改正によって人民公社制度が廃止。
ここから中国農村は弱肉強食の市場経済に呑まれていく。
開放路線当初は農村を起点とした郷鎮企業の振興で
農村も潤うと期待されたが、
市場経済の現実はそんなに甘くない。
優秀な企業は残り、劣る企業はつぶれる。
多くの郷鎮企業はあっという間に淘汰されてしまった。
残ったのは過剰労働力。
そして「民工」と呼ばれる出稼ぎ人口の大移動である。

歴史をひもとけば、
たいていの歴代中国王朝は、
失政と飢餓とそれに伴う流民で滅んでいった。
流民団の首領が次の王朝の始祖となる。
このパターンの繰り返し。

私はかつての中国の人民公社方式を
手放しで礼賛する気など無いが、
この構想の根には、
農村問題が中国の死活を制するという発想があったと思う。


<宗族の復活>

中国農村の激変を促したものは、
改革開放路線による人民公社の解体と、
1980年代から始められた村民委員会主任の選挙。
村民委員会主任、要するに村長のこと。
村民が投票で村長を選ぶ。

これを中国政府は
「中国における基層民主主義」と宣伝し、
世界に向けてアピールしている。
その「民主化」についてあれこれ論じる気は無いけど、
中国政府の発想として、
古来からの
「村落の自治」、
「王権は村落の垣根を越えず」
などの歴史的なパターンに従ったものだろう。

ただ、この村民委員会選挙により、
共産党の地方に対するコントロールは弱体化した。
選挙制度開始直後は、
選ばれるのは村落の共産党幹部がほとんどだったが、
最近では一割に満たないという。
では、誰が当選するのか?

中国農村では「宗族」が復活しつつある。
宗族とは、有力な家族・家系を軸とした土俗的な血縁集団。
選挙も「~家」と「~家」、
宗族と宗族の争いと化しつつある。

現実問題として村の村民委員は、
有力な宗族出身の人間が当選した方が丸く収まる。
弱小の家の者だと村中が言うことを聞かないという。

宗族の内部は家父長的なピラミッド構造で、
「族長」と呼ばれる長老を頂点とし、
「族規家法」という、
家族内の秩序や資産管理を定めた規則を持っている。
これは一種の私法であり、私的制裁法であり、
この規則に従って山林の伐採権から治安に至るまで、
宗族内のルールと罰則を定めている。

これら宗族同士が利権を巡って相争うこともあり、
これを「械斗(シエトウ)」と呼ぶ。
これら械斗は中国各地で発生している。
たとえば1990年から96年にかけて、
江西省で発生した械斗は実に1392件とのこと。

大規模なものは
1991年5月に広東省遂渓県で起こった械斗。
揚家VS王家の争いで、
六千人が7日間に渡って戦った。
双方は手製の小銃の他に、
近隣の民兵工場から奪った高射機関銃を使って、
相手の村を掃射するという内戦まがいの争いだった。
結局、人民武装警察に鎮圧されるまで
この争いは続いたとのこと。

宗族の復活は共産党のコントロールの低下をもたらす。
宗族は血縁による利益共同体。
内部の人間は国法よりも共産党よりも
宗族の私的ルールを優先する。

彼らが共産党を押しのけて
村の実権を握る現象が中国各地で見られるという。
これを「村覇(ツンパー)」と呼ぶとのこと。


さてさて、
「本当の中国を知ってますか」に基づいて
あれこれと書いてきました。

総じて言えるのは「中国の先祖返り」ですな。

かつて毛沢東は、
「農民を縛る4本の大きな縄」として、

◇政権
◇族権(宗族の族長支配)
◇神権(宗教や迷信による支配)
◇夫権(男尊女卑)

この4つを挙げた。

このうち、族権は息を吹き返し、
共産主義理念の後退により
宗教は勢力を拡張しつつある。
また、農村における女性蔑視の風潮は根深い。

これに上記の
「農村の過剰人口と人口移動」を付け加えてみれば、
なんのことはない、過去の歴史の再現ではないか。

そう、中国は昔に戻りつつある。



本当の中国を知っていますか?
 山本 秀也 (著)



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by misaki80sw | 2004-12-03 21:13 | 中国・台湾関連