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by misaki80sw

中国、EU「ガリレオ計画」に参入・・天空の欧中同盟。


中国:EU「ガリレオ計画」に参入、米GPSに対抗

 EU(ヨーロッパ連合)が進める、
 欧州独自の衛星測位システム「ガリレオ計画」に、
 中国が本格的に参入する。
 16日付で中国新聞社が伝えた。

 「ガリレオ計画」にかかる総費用は34億ユーロ。
 そのうちEUが32億ユーロ、中国が2億ユーロを負担。
 中国は、研究段階から、技術開発、地上設備、
 ユーザーサービスなどすべてのプロセスに参加する。

 EU欧州委員会は、中国との提携について
 「技術上の提携は政治面での友好関係構築にもつながる」と
 双方の利益になることを説明し、中国の参入を歓迎した。

 「ガリレオ計画」は現在、開発段階。
 今後は、年内に衛星2機を試験的に打ち上げ、
 2006-07年までに地上システムなど最終調整を進める。
 08年には完全に運営ができる状態を目指していく。

 米国のGPS(全地球測位システム)の
 ライバルにあたるこの計画は、
 正確な定位、サービスの充実、
 低価格などの優勢を持つことが特徴。
 これまでGPSの市場寡占状態が続いていたが、
 今後は市場の急拡大が見込まれる。
 また、08年の北京五輪開催時には、
 一般市民へのサービスとして展開されると
 大きな期待がかかっている。

 中国はすでに、有人宇宙飛行に成功しているため、
 人工衛星の発射、観測など技術面での豊富な経験が、
 「ガリレオ計画」の進行に大きく貢献するとみられている。

   (サーチナ・中国情報局)


中国が「ガリレオ計画」に参入。
はて、ガリレオ計画ってなんでしょ?

ガリレオ計画とは
EUが開発中の全地球規模の位置測位システムのこと。
同種のものに米国の「GPS」があるが、
精度はガリレオの方が上。

地球を12時間で1周する人工衛星30基を
高度約23,000㌔の上空に打ち上げ、
少なくとも3基からの電波を地上で受信することで、
現在地の緯度、経度、高度を測定する。
誤差の精度は1メートルで、ライバルのGPSの10倍の精度。
EUは2001年から計画を推し進め、
2004年から順次、人工衛星を打ち上げ、
2008年にも運用を開始する予定とのこと。

で、この欧州産のシステムに
なんで中国が一枚かんでるのかというと、
「ガリレオ計画」の誕生から今日に至るまでの
苦難の歴史を語らねばならんでしょう。

現在、世界では軍事・民生共用の米国のGPSが
圧倒的なシェアを誇っている。
ロシアにも「GLO NASS」というシステムがあるが、
GPSに比べて性能は劣る。

ここでGPSについてざっと説明すると、
GPSは元々は米国防省が軍事利用を目的に開発したもの。
Global Positioning System(全地球測位システ ム)の略。
24個の人口衛星を使って位置を測定する。

米国が1970年代から開発したGPSは、
ITを活用した「軍事革命(RMA)」の礎ともいえるもので、
精密誘導兵器の運用には不可欠な技術。
いわば米国一極体制を支える重要な武器というわけ。

一方、GPSは民間でも大いに利用されている。
カーナビなんかで使われていることはよく知られているけど、
他にも携帯の位置測定や、
測量・車両監視システムなどで活用されている。

EUでも、このGPSから位置情報を無料で受け取り、
民間用に利用しているけど
有事の際、GPSが軍事を優先することから
精度が劣化するとの懸念が常につきまとっている。

GPSは民間でも受信できるため、
敵対国家やテロリストが軍事用に利用する恐れがある。
そのため、測位精度を
意図的に落とす機能が付け加えられている。
これがSelective Availability、略してSA、
「選択利用性」と呼ばれる機能。

GPSは湾岸戦争後に初めて民間に開放されたが、
しばらく測定精度はSAにより、
100メートル程度に押さえられていた。
昔のカーナビの精度が、
100メートル程度といわれていたのはこのため。

2000年5月2日、時のクリントン政権がこのSAを解除し、
民間の受信でも誤差10メートル程度という、
高精度を実現することができるようになった。
しかし、米国は一朝有事にはSAを使って
GPSの民間用精度を意図的に下げることを明言している。
だけど、イラク戦争中には
一度もSAが行使されたことは無かった。
イラク軍もなめられたもんだな~。

で、この超メジャーなGPSに張り合って、
EUがガリレオ計画に乗り出したのは、
「全地球測位シスムが21世紀、
インターネットに匹敵する情報革新をもたらす」
との認識が強くあるため。

また、EUはガリレオ計画により、
年間400億ユーロ(約4兆6千400億円)の経済効果、
約10万人の雇用創出があると予測した。

うむうむ、経済効果は抜群だし、
こういうのは自前で持ったほうが軍事的にも優位になる。
なんだかんだ言って、
所詮、GPSは米国にコントロールされているわけで、
いつまでも他国に依存するわけにはいかぬ。
ってなわけで、EUは計画の推進に乗り出した。

これに危機感をおぼえたのは米国。
全地球規模の測位システムをGPSで独占し、
政治的・軍事的優位を狙っていたのだが、
さらに高精度の「ガリレオ」の登場で独占が崩れてしまう。

米国はEUに圧力をかけ、ガリレオを潰そうと図る。
2001年12月、米ウォルフォウィッツ国防副長官が、
ガリレオに反対するという内容の書簡を
EU加盟15ヵ国の国防大臣に送った。
ガリレオが米軍の使用するGPSの信号に干渉するうえ、
軍事目的に使用される可能性を指摘し、
高度な技術が敵国に利用される恐れもあると警告した。

この露骨な圧力によって、
ガリレオ計画に関するEUの決定が延期され、
計画自体の中止が囁かれた。
当時のEU官僚は「ガリレオは死んだ」と発言している。
この危機を救ったのはフランスのシラク大統領。

シラク大統領は、もしヨーロッパがガリレオ計画を推進しなければ、
「まず科学および技術面で、その後、産業および経済面で
米国の属国的な地位に甘んじることになる。」と語り、
ガリレオ計画実現に向け強いリーダーシップを発揮した。

しかし、米国に対する遠慮で、表面的には軍事色を薄め、
民生用を基本に掲げざるを得なくなったため、
採算性が問われることになった。
そのためにEUは
欧州域外も含め広く外国に開放する方針を打ち出し、
逆にこれが功を奏し、
米国のGPS一極主義に対抗する国が次々と参加を表明した。

ハイ、そうなんです。
ここで中国が参加を表明したわけなんですね~。

2003年9月、EUと中国は
「ガリレオ計画」の中国参加を合意。
翌月に正式に調印した。
また、北京にシステム利用のための技術者養成施設を
開設することも合わせて合意した。

参加希望国は以降も続々と。
インドは2004年中の調印を目指しているし、
さらに、ロシア、カナダ、韓国、
そしてイスラエルまでもが参加を表明している。

日本にも2003年11月にEUより働きかけがあったけど、
日米同盟への遠慮の為、参加を断っている。

このガリレオという世界規模の測位システムを保有する国は、
自動車・船舶・航空機の安全航行、農漁業開発、
資源の探査・開発、犯罪者追跡、
都市整備計画などの民生用の用途だけではなく、
軍事的にも、米国に依存せず、独自に行動できるようになる。
精密な位置データは高度な軍事行動にとって不可欠だからね。

ガリレオはEUの欧州独自防衛の強化と、
米国主導のNATO離れを加速する可能性があると言われてきたし、
米国の懸念もそこにあるわけだけど、
それ以上にこの「ガリレオ」が、
米国主導の世界体制に対抗する勢力の旗印となりつつある。
「米国嫌いな人、この指とまれ!」ってわけ。

中国がガリレオに参画したことの意味は大きいよ。
新聞の片隅で扱われたようなニュースだけど、
今後数十年、経済と軍事の両面で、
これの波及効果は相当のものになるだろうね。


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by misaki80sw | 2004-09-20 19:33 | 中国・台湾関連